525回目 2020/8/21
今回の二敗は、個人的に相性が悪かったです。
この日、最初に『即興小説』を始めて出たお題は、『無意識の地獄』。どちらも概念的というか抽象的というか、はっきりしない単語を合体させられている。
で、それに方向性を見いだそうと確認した必須要素(無茶ぶり)は『切符』と、ある意味で場所指定がかかっただけになった。
『切符』といえば電車が真っ先に思いつくが、描写する現場はいろいろある。ホーム、喫煙所、たち食いそば屋、切符売り場なんかもそうだ。
まあ、今時間があるからこそ思い浮かぶ候補であって、執筆当時は『電車内』しか思い浮かばなかった。そこから『無意識の地獄』にどうつなげるか、で自然と浮かんだのが『痴漢』だった。
『地獄』という言葉で、すぐ連想できたのは『犯罪』である。ついでに『無意識』から『夢遊病』という言葉が浮かび、『意識の無いまま犯罪を犯してしまう男』というキャラクターが浮上した。
『無意識』の部分を多重人格にするか、それこそ夢遊病の一種にするか。そこまで当時は考えが及ばなかったものの、不思議な体験・体質を持つ男を主人公に据える。
とはいえ、『無意識の犯罪』に戸惑うような感じを描写でどう表現するか? でもたついてしまい、『794文字』書いたところで未完に終わってしまった。
んー、まあ、読み直してみたところ雰囲気はよく出ていたと思う。ストーリーよりも描写に気を使っていたおかげか、あんまり違和感などは感じなかった。
でも、やっぱり完結できなかったので短編としては落第と言わざるを得ない。最後まで終わらなかったのなら、評価の対象にすらあがらないからだ。
そういう意味では、『15分』でやる場合の『即興小説』では適当な『雑さ』が求められる。こだわりすぎたら前に進めず、中途半端で終わってしまう。
そこら辺をまだ割り切れないところに、私の欠点であり利点が潜んでいるのだろう。
……できるだけ客観的に分析しようとしてはいるが、はたしてどこまでアテにしていいものか。自分に自身がなく、疑心暗鬼になっている人間では判断が難しい。
まあ、あんまりとやかく言っていても始まらないし、次の挑戦に期待しよう――と始めたお題はというと、『激しい少数派』なんて状況把握が難しいもの。
どんなジャンル・カテゴリーにおける『少数派』なのかを先に決めないと、なにが『激しい』のかも判断が付かない。
とりあえず必須要素(無茶ぶり)に目を向ければ、『日本酒』という小道具を渡された。酒……昨日やったばかりだというのに。
雑念は置いておいて、『少数派』と『酒』で幸運にも『居酒屋』が思い浮かび、『激しい』の部分で言い争いのシーンが浮かんだ。
そこから導き出された情景は、『日本酒などの酒を飲んでいた酔っぱらいが、女性のなにに対してエロさを感じるか? を激論』という、ものすっごい下世話な場面だった。
いちおう、『823文字』まで書いたところで、本当に中途半端なところで強制終了を受けてしまった。これは、たぶん私が選んだシチュエーションが悪かった。
というのも、『エロさ』を語るといっても『少数派』の意見を考えて出す、と決めてしまったため、それはもう、よくわからない特殊性癖を持つ男どもが集まってしまったのだ。
『15分』という切迫した時間制限の下、私の妄想の中にできた居酒屋に集まったのは、『厚着に興奮する男』、『裸族に興奮する男』、『髪の毛に興奮する男』、『爪に興奮する男』の四名。
それぞれ自分が書いておきながら、なに言ってんだこいつら? とこぼしてしまいそうな発言を繰り返しており、かなり引いた。
なにを思ったのか、『髪の毛』の主張の中で『味』を判断材料に入れてしまったのはちょっと後悔している。キャラ付けとはいえ、それは価値観が特殊すぎた。
想像するほど気持ち悪い奴らがオールスターで登場してしまったカオス居酒屋は、しゃべらせればしゃべらせるほどドツボにはまりそうだったので、『15分』で終わってくれてよかったのかもしれない。
そもそも、『女性のエロさ』という題材に選んだこともまずかったのだろう。居酒屋という場所からして、交わされる話題は下品なものが大半だろう、という偏見もよくなかった。
慣れないことをしたら、こういうことになるのだと改めて知る。しかし、挑戦時は『書ける!』と思うのだから不思議だ。冷静な状況なら、どうしてこうなった? と言うしかないのに。
もしかしたら、昨日の酒が残っていたのかもしれませんね。……うん、そういうことにしておきましょう。




