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453回目 2020/6/10

 創作論の話、ではなく創作における姿勢の話です。


 業界の粗製濫造は問題かもしれないが、作家個人に限定した作品群おける粗製濫造は必ずしもデメリットばかりではない。


 過去、何回か自分に言い聞かせるように書いてきたことではある。要は『下手な鉄砲、数打ちゃ当たる』の精神だ。


 昨日、リモート収録がされた『芸人先生』という企業コンサル的な番組を見ていた。教師役は『チョコレートプラネット』の二人。和泉元彌さんとIKKOさんのモノマネで知名度を上げたお笑いコンビである。


 視聴は途中からだったので序盤はわからないが、どうも企画についての悩みを受けてネタづくりの話をしていたようだった。


 で、チャンネルを変えたばかりのタイミングで語られていたのは、『とりあえず企画案を出してみる』という話。


 思いつきでも現実的でなくとも何でもいいので、売れそう・面白そうと思ったものをとりあえず出してみて社員同士で共有することが重要、みたいに説明された。


『チョコプラ』の元彌(おさだ)さん曰く、『最初は思いつきでクオリティが低いネタだったとしても、後からブラッシュアップする機会も可能性もある』、というように話されていた。


 具体例として相方のIKKO(まつお)さんのモノマネについて言及があった。


 初期は見た目からしてかなり雑な仕上がりだったが、芸人仲間がご本人のトークについて教えてくれたり、ご本人から着物をプレゼントされたり、IKKOさんのマネージャーさんから細かい言動やコスメ(だったかな?)などについても教えてもらえたらしい。


 モノマネ業界だとここまでマネ元が協力的になってくれたのは特殊な例かもしれないが、周囲の協力も得て松尾さんはIKKOさんのモノマネをよりブラッシュアップでき、今や代名詞的なキャラとなっている。


 このことから、ネタや企画や作品を生み出す段階において、スタートダッシュの完成度は必ずしも高い必要はない。気軽に作ってウケそうなものを選ぶ戦略もある、ということを語っていた。


 私にいつも言い聞かせなければいけない考え方である。最初からある程度の完成度を求めてしまい、初期から手が出なくなることは本当によくあることだ。


 長編、では厳しいだろうが短編くらいであればいくつも作って完成させて次にいけるサイクルはできる。クオリティを気にしなければ、だが。


 ネタ帳のメモ用紙に書く感覚で短編を書ければよさそうだ。頭ではわかっているが、いざ実行できるかと言われれば自信はない。


 それに、このテレビでの話において小説の創作だと適応しにくいものもある。『他人からの協力・補助』がそれだ。


『なろう』で小説を公開したとして、感想で届く『批判』は割と具体性に欠けていたり文句を言いたいだけの人格攻撃だったりと、ブラッシュアップになりうるものは比較的少ない。


 私の作品だと今のところボロカスにけなされるような感想は届いていない(もしくは自覚がない)が、『批判』にあたる感想もそこまで多くなかったと思う。


 感想を書く側にとっても、『批判』は書き方次第で作者に意図が伝わらないかもしれないと警戒する人も多い。私も、なにが地雷になるかわからないので他作品に感想は極力書いていない。


 いい点は教えてもらえるが、改善点はなかなか届きにくいという環境では、『ブラッシュアップ』はなかなか難しい課題といえるだろう。ランキングに乗るなりして人気作品にでもなれば話は別だろうが。


 まあ、質を高めるのは『宣伝して、人気を集めて、一定以上の認知度と感想が集まったとき』に考えればいいのだろう。それまでは、たとえ低クオリティでも好き勝手に書いていけばいいのかもしれない。


 無名の内に必要なのは『チャレンジ精神』なのだ。私に足りないのは、『気になった部分をスルーする勇気』だろう。


 自分で書いた小ネタ文章に笑っていたあのころが懐かしい……。今はミスを笑えなくなってしまった。


 ちなみに、『チョコプラ』のネタでヒットするネタはだいたい100~200個に一つくらいだとの話でした。


 創作という広い範囲に置いて、小説もそれくらいの覚悟を持って乱造していってもいいのでしょうね。


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