435回目 2020/5/23
愕然とした気づきとグチと落胆です。
――うそ、私のラノベ、キャラ薄すぎ!?
……実際、年収も壊滅的に低いのは完全なる余談だがそれはさておき。
これを書く直前くらいに『なろうエッセイ』を読んだ。『現代文小説』と『ラノベ小説』を比較して考察している方の作品で、タイトルを見ればだいたいわかっていただけると思う。
私が目を通した作品では、登場人物の扱いにおいて『現代文小説=人物像』を、『ラノベ小説=キャラ属性』を重視している、と書かれていた。
もう少しつっこんで書くと、『現代文小説』は読者に行間を読む力――読書力と変換できるかも――を必要とし、完全なる『主人公目線』から登場人物の『人物像』を想像させるようにしているらしい。
なので、『主人公のフィルター』を通した情報しか『読者』には与えられず、たとえば主人公に『誤解』が発生すればそのまま読むと『読者』もミスリードしてしまう作りになっている……ものが多い。
それを読者が正しく読み解くには、行間を読む――登場人物の仕草、台詞、表情などの描写から『人物像』を解読する――という力を必要とする。
逆に『ラノベ小説』では読者の理解力を補助するため、地の文に少なからず『神様視点による説明』が入っているそうだ。
つまり、『第三者視点』を用いた『主人公目線』以外の部分を描写する・重要な世界観設定に触れる説明を挿入するなど、『読者が』物語を理解するために必要な部分を補足しているのだ。
エッセイ内の例では『他者視点(『なろう』ではおそらく俗に言う『side使い』も含む)』をあげられていた。あとは直球に『三人称・神視点』を用いて『世界観や設定』を地の文に差し込む、などがそうなる。
表現が適切かはわからないが、私なりの解釈で説明すると『現代文小説』は『主人公の疑似体験』を行う小説であり、『ラノベ小説』は『読者の物語鑑賞』を行う小説になる。
(エッセイ内でも、『ラノベ小説』における『読者』とは『観客』である、みたいな表現があった)
さて、それをふまえて私が書いてきた作品をおさらいしてみると……この二つで比較すれば私の描く『キャラクター』はかなり『現代文小説』寄りな作風である可能性が高い。
さらには自分で『ラノベ』だと思っていた原因として、『世界観や設定』が『ラノベ小説』寄りにしていたためであり、結果として『すっげぇちぐはぐな小説』を書いていた事実が浮かび上がってきた。
上記で説明した『ラノベ小説』における『読者の理解を補助する要素』で、『神様視点による舞台説明の挿入』の他に『キャラクターの属性化』も、エッセイ内では触れられていた。
要は『読者』が『事前に知りうる人格・配役』を『登場人物』に当てはめる、ということになる。ツンデレを例に取って、台詞であれば『別にあんたなんて~』、仕草であれば『主人公に触れられると赤面~』などが指摘されていた。
こうした『キャラ属性』は――二人以上の似たキャラクターを出さない限り――『読者』からすれば他の登場人物との識別が簡単になって、『物語の理解を助ける効果』を発揮している。
そう……私ができていない部分が『これ』なのだ。
『キャラクター』を『属性化』させていない、もしくは『属性化』をしていても『細分化して似たようなキャラ属性を二人以上登場させている』……と、気づいてしまった。
前者は私が書く短編に多い傾向がある。これは私自身の性格の問題もあるのだろうが、どうにも昔から『ラノベ小説』特有の『突出した個性』に苦手意識があった。(ラノベが書きたいのに、この時点で致命的である)
故にどうしても『現実にいそうなキャラ』へ登場人物を無意識に寄せてしまい、全員が『アクの弱いキャラ』になってしまっていた。『読者』が理解するには、どうしても『行間』を読まなければならない部分が残っているともいえる。
後者においては『行間』の読ませ方がさらに際だつ。何せ、『性格』は違えど『台詞の雰囲気』がかぶっているキャラをすでに複数出した前科もある。
たとえばヒロインだと、『敬語キャラ』が共通した『腹黒インテリ』と『天然ドジっ子』、『乱暴口調キャラ』が共通した『ツンデレ風コミュ障』と『友達想いな狂犬』と『漢勝りな乙女』などを採用している。
……文字に起こせばちゃんとキャラ立ちしてるようにも見えるが、実際に読むと『ひと目では区別しにくいキャラクター』のように描写している。私の『台詞描写』にバリエーションが少ない証拠だろう。
だからこそ、私の書くキャラは『ラノベ』というジャンルにおいて、ことごとく『地味』なのだ。ともすれば、趣味も特技も白紙の履歴書みたいな『人物像』に映っているかもしれない。
私はずっと思うように書いてきたがために、『ラノベ』において必要な『読者全員が簡単に理解できる仕様』をあまり考慮していなかったことになる。
『なろう』……はこの際おいておくとしても、『ラノベ』においては『わかりやすさ』こそが最も重要な表現方法なのだ。『絵本』や『児童文学』とまではいかなくとも、そのつもりで書いた方がむしろいいまである。極論、『読者』が『頭を使わなければ勝ち』といえよう。
以上から、『キャラクターの属性化』が今後の私の大きな課題になると推測される。
『ツンデレ』みたいに一言で説明できるキャラ造形はマジで苦手だが、私に不足している部分なのは事実。きちんと学び、取り入れよう。
私は『ラノベ』から読み始めたのにどうして『キャラの属性化』が苦手なのか……考えればやはり、最初に『ミステリー』から『ラノベ』を読んだのが原因でしょう。
一応『ラノベ』ですからキャラが薄い、とまではいきませんが、ファンタジーやバトル要素のある『ラノベ』と比べると、『ミステリー系ラノベ』って主要キャラ以外は薄味の印象でしたので。
あとは『世界観・設定の開示』においても、『ミステリー』は暴露しすぎたら『魅力が薄まる』というデメリットがあるため、通常の『ラノベ』よりは控えめだったのも大きいのでしょう。
これがまだ『ハルヒ』とかみたいな、ゴリゴリに『キャラ』が立った小説から入ればまだマシだったのかもしれません。今さら言っても遅いですけど。




