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417回目 2020/5/5

 最近エッセイランキングで『短編ガチャ』という言葉をよく見かけます。


 少しだけ内容をのぞいてみればその表現も納得で、要は『ランキングをねらえるような長編ネタの試金石として、プロローグを短編形式で投稿すること』らしい。


 確かに私も、短編内で物語が完結していない作品にはそこそこ出会ったことがある。中には長文タイトルで示されたあらすじ部分すら履行できていない段階の物もあった。


 これらに対して、一部の作者・読者様から大きな不満を生んでいるようで、エッセイとして意見を寄せている人が増えたのだろう。


 このごろスランプ改善の一環として、短編をちょこちょこ投稿している私にとっても他人事ではない話題だ。実際、『元英雄』とかは長編にできそうだと思ったネタを短編に落とし込んだわけだし。


 まあ私の場合、短編に書きたいことを収めようとしすぎて、平気で文字数がかさむという別次元の問題を抱えているのはさておき。


 個人的には『短編ガチャ』はさほど気になったりはしない。なぜなら『短編』を面白いと感じて評価点を入れても、『長編』になった同タイトル作品を読むことはほとんどないからだ。


 私にとって『短編』は一期一会のものであり、いくら気になるところで切られようと『それまでが作者の表現したかったこと』だと思って、勝手に自己完結して満足することが多いからである。


 ときどき、日刊総合ランキングをふらふら~っと眺める機会があると、以前に『短編』で読んだことがあるタイトルが『長編』として掲載されていても、ほとんど興味を引かれないのはそれが理由だろうか。


 ある方は『物語の続きを人質にして、読者様から評価を強請(ゆす)っている』みたいな表現をされていたが、言い得て妙だと感心する一方で『それも戦略の一つか』とも思う。


 同じような表現を拝借(はいしゃく)すると、以前から『長編ガチャ(短期間に複数の長編を投稿し、序盤における読者様の反応が一番よかった作品に注力し、他は全部エタor削除)』みたいなものはあったわけだ。


 あるいは、SNSで自作を宣伝して多くの人から読んでもらうとするのも、目的を考えれば上記の方法とも意味合いに大差はない。


 いわば『短編ガチャ』は宣伝戦略の一つなのだ。膨大な作品数になってしまった『なろう』で、自分の『長編』をより多くの人に読んでもらう工夫として生み出された手法と言えよう。


 もちろん、『短編ガチャ』にネガティブなイメージを持っている人の気持ちも分かる。私とて、『短編』と設定された小説を読むならオチまで全部ひっくるめた内容で読みたい派である。


『短編ガチャ』はたいてい、ストーリーが中途半端に終わるか、悪いとマジでプロローグ部分だけで終わる作品さえある。


 作者側からしたら『引っかかったら儲けもの』程度の認識でも、読者側からすれば消化不良もいいところだ。『長編ガチャエター』と同等以上の反感を持つのも何ら不思議ではない。


 だがまあ、私としては『集客のために手段を選ばないチャレンジスピリッツ』は決して嫌いではない。『読まれるための努力』をしなければ読まれないのが『なろう』の現実なのは変わらないし。


 かくいう私も『カ○ヨム』を参照(オマージュ)して、タイトルにあおり文を、あらすじに作者の執筆動機を書いた変則投稿を実験的に先月やったばかりである。


 作品ではなく作者の主張を前面に出しすぎたせいか、PV数はほとんど伸びなかったものの評価点数は意外ともらえたのは驚きだった。


 もう私の作品では二度としないだろう『評価クレクレ』を後書きに載せてみた結果かもしれないが、少なくとも『あおり文タイトル』で読んでくださった読者様の満足度は高かったのだろうと思っている。


 大規模集客には(たぶん)失敗したが、顧客満足度を高められたと考えれば、『あおり文タイトル』にも多少の効果はあったのだろう。読みたい物を読みたい人に提供できたと思えば、純粋にうれしいものだ。


 そうした『宣伝手法の工夫』と思えば、『短編ガチャ』を全否定もできないというのが私の偽らざる本音だ。決して私の奇行を正当化するための言い訳ではない。


 そうでなくとも、作品は『タイトル』や『あらすじ』や『ジャンル』や『タグ』など、多くの要因で読者様を無意識に選別しているのだ。


 今さら『投稿戦略(たんぺんガチャ)』によって一部の読者様が離れたところで、それ以上の認知度・集客率を稼げるのであれば作者側にとってメリットは大きいと言える。


 結局は『やったもん勝ち』とか『(名前が)売れれば正義』とかの論調で収束するのだ。それが『資本主義社会』の一側面である限りは、どれだけ非難されるような手法でも正当化されてしまう。


 私の中にある『妥協』は、そうした『競争社会へのあきらめ』が根底にあるのだろう。私は人との競争を嫌う割に、人の目をかなり気にしてしまうタチなので、いろいろこじらせている自覚はある。


 私たち現代人には『品定めをする時間』がほとんどないのだから、『質を高めれば勝手に売れる』みたいな昭和思想を捨て、『質が高いことを効果的に知らせて売る』というビジネスモデルを確立していかなければ生き残れないのだ。


 ……まあ、その『効果的な宣伝方法』がわからないから、私の小説はぜんぜんPVも評価も集まらないのだろうが。


 おまけに遅筆で生産効率も悪いので、あまり上等な作者とは言えませんね。


 駄作を書いて上達してなんぼの世界とわかっているのに、実践できないのは我ながら情けないです。


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