表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
406/1238

406回目 2020/4/24

 ふと思いたって、青空文庫で小説を読んでみました。


 タイトルは『ドグラ・マグラ』――そう、日本三大奇書とも呼ばれる、夢野久作著のアレである。


 普段読んでいるのは『なろう』を主としたラノベ群なので、いろいろと落差が激しいチョイスではあるが、少し前から興味はあったのだ。


 主人公が精神病者であったり、主人公の関係があるとされる事件に精神病っぽい何かが関連していたりと、私が大学で勉強していた分野に似通っていたからだろうか。


 ともかく、何となく概要を目にしたときから興味を引かれていた作品を、何となしに開いてみたところ……なかなかページが進まない。


 作中の時系列は大正十五年ということもあってか、描写やら表現やらが現代とは若干異なるのも読みにくさにつながっているのかもしれない。


 まあ、一番は読み手を(けむ)に巻くような台詞や説明描写の数々だろうけど。


 今のところ私は三分の一ほどしか読めていないが、現状でも『そこそこ面白い』と思える程度には興味が持続している。ミステリーっぽくもありホラーっぽくもある、一種独特の雰囲気は割と好みだ。


 あとは、当時の精神病院や精神科医を痛烈に批判している『歌(?)』がなかなかに面白かった。聞くだけでかなりえげつない人間の所行を語っているのだが、声に出した音韻がちゃんとリズムを刻んでいて心地よかった。木魚がBGMらしいので、勝手に琵琶法師的なやつだと解釈している。


 他にわかることは、たぶん主人公は統合失調症っぽい? ということか。当時だとまだ『精神分裂病』なんて呼ばれていたものだと思う。


 序盤、主人公の一人称で話が進んでいくのだが、どうも被害妄想っぽい疑いをちょくちょく抱いているようで、描写から頭は良さそうだがちょっとまともな感じは受けない、絶妙なラインで描かれている気がしている。


 事前の評判? で後半になるにつれて徐々に狂気度が増していく、みたいな評価をどこかで見たことがあるので、今からちょっと恐ろしくもあり楽しみでもある。


 ただ、やっぱり昔の小説だからなのか、それとも私がラノベの読み過ぎなのかはわからないが、主人公の名前および記憶を呼び起こす作業に入ってから、すでに作中で死亡(いちおう変死)している教授の研究資料を長々と載せられたのはしんどい。


 上記した『歌』もその内の一つで、『胎児の夢』という教授が学生時代に卒業生の中で首位になった論文を読んでいる途中で、私の読書は止まっている。


 これ、マジで長い。しかし、途中で何か主人公に関係ありそうな描写が入ってきて一時的に興味が再燃するのがまたたちが悪い。


 ちょこちょこ寝落ちしそうな部分があったのに、いきなり覚醒させられる感覚はなんか作者にしてやられた感じがして、負けた気分になった。私だけかもしれないが。


 最後に、青空文庫を電子書籍っぽい感覚で読んではいるのだが、やっぱり疲れる。特にページ数が載っているわけでもないので、今何ページ読んだのかがわからないのが意外としんどい。


 紙の小説に慣れていると、後どれくらいで終わるかな? というのが残る紙面の量でおおよそわかるものなのだが、電子だとただスマホ画面をタップしているだけなので非常にわかりづらい。


 昔の小説なんかは今のラノベと違って、『一、二、三……』とか『●、△、★……』みたいな記号などを用いたわかりやすい章区切りを設けてくれていないので、よけいに止め時がわからなくなる。


 ついでに、一人の台詞が長いこと長いこと。主人公と直接話して記憶を呼び覚ます手伝いをする教授(前述の故人とはまた別)がいるのだが、まーこいつがしゃべるしゃべる。


 主人公が記憶がない上に名前も知らない、自我が薄い状態だからか発話量がほとんどないのに比べ、この教授は一ページまるまるしゃべり倒す勢いの文字数を語っていたりして、しつけぇなと思ってしまった。


 これが昔の小説の書き方としては一般的なのかもしれないが、やっぱりラノベばっかり読んでいるとダメなのかもしれない。もう少し一般文芸っぽいものも読んでみようかと思った今日この頃。


 ひとまず、『ドグラ・マグラ』を最後まで読み切ってみるのを目標としてみよう。だいぶ時間をかけてまだ三分の一なので、読み終えるまで時間がかかりそうだけど。


 ちなみに、私が読んだ範囲では『ドグラ・マグラ』って九州(長崎だったかな?)の方言を語源にしているっぽくて、意味もいろいろ書かれていたものの私は『堂々巡り』のニュアンスで記憶しています。


 作中に同名の著作物がとある精神病患者と診断された青年によって書かれているのですが、それもまた主人公と関わりがあるのかないのか……? みたいな状態ですね。


 この本は面白い人は面白いらしいけど、中身の説明があまりできないほど難解な内容っぽいので、がんばって最後まで読み進めてみようと思います。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ