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401回目 2020/4/19

 最近、節々(ふしぶし)が衰えてきたおっさんの訴えです。


 嚥下(えんげ)力が弱ってきた気がする。


 というのも、ここでちょこちょこ『やせるやせる詐欺』をしている私だが、少しでも効果があればとちょっと前から咀嚼(そしゃく)回数を増やしだしたのだ。


 一回の頬張りで五十回を目安にモグモグしている。その前までは十回未満でゴックンしていた大食い・早食いバカだったので、食事で顎が疲れるのは当たり前になってきた。


 咀嚼(そしゃく)回数を多めにしたところ、たしかに満腹感は増した気がする。ご飯を食べ終わった直後に『小腹が空いたな』とアホなことを考えることはなくなった。


 他にも、前述の通り顎が非常に疲れるようになってきた。筋肉か骨かわからんが、とにかく食後の倦怠感は筋トレと大差ない。今までどれだけ顎を使っていなかったか、如実に示されている形だ。


 後は『()むって消化活動なんだな』と改めて思い知らされた。何を当たり前な……と思うかもしれないが、私は『()み不精』だったのでのどを通る食物は基本的に元の形が割と残っている状態が多かった。


 しかし、咀嚼(そしゃく)を増やして食べ物を口の中で()み砕く(あくタイプ・物理・威力80・命中100・PP15・対象1体・20%の確率で相手の『ぼうぎょ』を1ランク下げる)と、どんな食べ物もドロドロの流動食のようになる。


 それを飲み下したある時、ふと『あぁ、これも消化活動なんだな』と急に悟ったのだ。


 咀嚼(そしゃく)をしっかりすることで胃腸の負担を避け、満腹感も得られて大食いを避けられ、顎が疲れる。まさに一石一鳥(メリット2-デメリット1)だな、と。ここで『顎が鍛えられる』と考えられないところが私のネガティブ思考の所以(ゆえん)だろうか?


 それはともかく、嚥下(えんげ)の話に戻ろう。


 いずれ効果があると願って咀嚼(そしゃく)を黙々と続けているのだが、ちょこちょこ悩みどころが発生する――そう、流動食を飲み込むタイミングである。


 今まではノリと勢いに任せ、口に放り込んで適当に()んで飲み込む、みたいなリズムを取っていたのだが、急に()む行程を引き延ばした結果、『いつ飲み込めば……?』と戸惑いが生じたのだ。


 口の中で咀嚼(そしゃく)されたドロドロの何かは、以前まで飲み込んできた食べ物よりも確実にスムーズにのどを通るはずだ。そうじゃなければ、なんのために咀嚼(そしゃく)してきたというのか?


 しかし、なぜか咀嚼(そしゃく)マシマシの食べ物たちは一拍(いっぱく)以上置かないとのどへ通す気になれない。『あ、これ気管に入るやつじゃね?』と謎の危機感におそわれるのだ。


 というのも、ここ数年食べ物や飲み物がのどにつっかえる感覚を覚える頻度(ひんど)が増えていた。あわてて食うのは変わらなかったので、そろそろ年齢(とし)か~なんて思っていたが楽観視してもいられない。


 このまま放置すれば、いずれ私も正月に餅を詰まらせて死亡する人の中にカウントされてしまう。餅の脅威は老若男女、すべての人間に与えられる神からの試練なのだ。


 みなさんも覚えはないだろうか? 食べ物っていつ飲み込めばいいんだろう? という悪魔のような神のささやきを。


 あれは我々人類の選別を行う神の意志――いわば『ノアの方舟(はこぶね)』の逸話(いつわ)をなぞった世界浄化の前段階なのだ。


 甘美な食べ物にして人間を死に追いやる禁断の果実――おもちを用いた聖別によって、年の始まりに私たちは神への信仰心を試されている。


 おもちを飲み込める者は信心深い敬虔(けいけん)な信徒であり、飲み込めない者は堕落に身を預けた邪教徒なのだと、我々の意識の外にて評価されるのだ。


 ゆえに、私は来るべき日に備えてきちんと咀嚼(そしゃく)を繰り返す。


 いつか訪れる聖別(おもち)を、なんの障害もなく受け入れられるように……。


 途中から自分はなにを書いているのか? と思わずにはいられない怪文書でしたね。本当、何を言っているんだ私は?


 要するに『年齢(とし)食ったら(めし)食いづらい』ってだけです。こういうささいなところで、地味に老化を感じていく毎日ですよ。


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