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340回目 2020/2/18

 くしくも、前回の話題につながるエッセイを見つけました。


 とある作家様が経験した、投稿作品の内容でプチ炎上した話をエッセイにされていたので、拝読させてもらった。


 何でも、(ないがし)ろ系令嬢物語(ニュアンス的に『シンデレラ』の前半部分に近い、ヘイト的境遇を歩んだ高貴な身分の女性のストーリー)の感想欄にて、『主人公に共感できない』や『主人公いじめが過激な作品を書いた作者はおかしい』などの攻撃的な意見が集まったらしい。(感想は意訳で表記してます)


 どうやら他サイトでの経験らしく、『なろう』内にはまだ作品が残っているそうだが私は未読である。エッセイを読んだ後の衝動でこれを書いているので、時間がなかったと言い訳しておく。


 それはそうと、上記のヘイト意見において前者は『キャラへの攻撃』、後者は『作者への攻撃』となっている。どちらも作者にとってはつらい言葉だろう。


 それにその作者様にとって、当該作品の主人公はとても愛着のあるキャラクターだった模様で、『作者への人格攻撃』と相まってとても落ち込まれた様子だった。


 ただ、ちょっとこの話は少しややこしいところがあり、どうも当該作品は『その方が別で書いた小説の別視点(スピンオフ)小説』であるらしく、元小説の主人公からすれば『悪役』にあたるキャラを『主人公にした作品』だというのだ。


 つまり、あくまで設定からしたら『ヘイトを集めやすい役柄』にいたキャラクターということになる。


 その上、その作者様はどうも『物語を()せる』よりも『主人公の人生を見せる』ような書き方をしているらしい。(あくまでエッセイ内での文章から受けた、個人的な印象ではあるが)


 要は、元から『悪役』のバックストーリーであるわけだから、『シンデレラ』的な物語構造を進みつつも後半部分に『逆転要素』や『見返し(ざまぁ)要素』などを用意していない、落ちるところまで落ちる系のストーリーらしい。


 作者側からしたら『愛着のある悪役視点の番外編』みたいなもので、『読ませたいから』よりも『書きたいから』執筆した作品のようだ。


 加えて、きちんと作品のテーマも設定されていたようで、『主人公の周囲がおかしい環境の中で、どのように自立するか?』や、『悩んでいても解決せず、しかし軽々な行動だと身を滅ぼす苦境(ジレンマ)をどう解決するか?』などを描きたかったらしい。


 読者側の目から奇異に映る行動にも、きちんと理由があってのことだと説明もされていた。(ネタバレらしいが……)


 しかし、読者側には『主人公が周囲から見捨てられるだけ』に見えてしまったと思われる。実際、展開の一部に性暴力のシーンがあり、少々過激な表現も含まれていたとのこと。


 それは、おそらく物語脚本の王道(テンプレ)に近い道筋をたどっただろう本編(大げさに言えばシリーズ原作・転生ありの悪役令嬢ものっぽい)と、だいぶ毛色が違った物語となっただろう。


 正しく作者側の意図が伝わらなかった結果、『作品が不快だ』みたいな感想を食らうことになってしまった……なんて話を読んで、こちらも書き手として他人事(ひとごと)ではいられない。


 作者が『書きたいもの』と読者が『読みたいもの』にズレが生じることなどままあるが、読み始めに抱いた期待を途中で大きくはずしてしまえば、読者側としても『裏切られた』と思うことは仕方のないことだ。


 私も以前、読者側の立場から似たような感情を抱いた経験がある。


 作品名は忘れたが、『実は強いおっさんが拾った少女を義娘(むすめ)にして旅をする』みたいなあらすじの『なろう』発の書籍化作品があった。


 なお、私は残念ながら途中でウェブ版を読まなくなったため、記憶にはあるが小説の雰囲気はわかっている『元読者』という微妙な立ち位置である。


 それでも、人づてにその作品の結末を聞いたとき、心の底から『はぁ!?』と思ったものだ。何をとち狂った展開にしてんd――失礼、頭おかしいだr――失敬、いい中年(とし)した主人公の倫理観どうなってんだよ、と感じたのだ……その作品のファンでもないのに。


 途中で脱落してしまった身ではあれど、かなりイラっときたということは私も『当該作品の雰囲気は好きだった』のだろう。それをまるっきりひっくり返されて、『ふざけんな』と感じてしまった。


 でも、『作者』は『それ』が書きたかったから書いたはずだ。私のような『にわか読者』を含む、大勢の読者から反感を買う覚悟があった……かまでは知らないが、『書きたいものを書いた』のだけは間違いない。


 こうした『ファンをアンチにしてしまう問題』は、私見だと多くは『作家側の責任』にあると考えている。


 エッセイの作者様の場合は、おそらく単純な『描写不足』か『あらすじやタグなどでの宣伝・注意換気不足』が原因だと思われる。


 特に『タイトル・あらすじ・タグ』は私もよく適当にすませがちな部分であり、ウェブ小説だと『読者のフィーリングと作品説明のマッチングミス』が生じやすい部分でもある。


『描写不足』は作者が腕を上げるくらいしか改善案がわからないが、『タイトル・あらすじ・タグ』ならそこまで大きな労力を払わず改善できる部分だろう。(ちなみに、『描写不足』はエッセイ作者様も反省している様子だった)


 特に今回エッセイを書いた方の場合だと、プチ炎上作品の『あらすじ』で『※この作品は○○の番外編/スピンオフです』、などと一言あるだけでも違ってくると思われる。


 作者側から言及がない限り、新規の読者はその作品を『世界観が独立した作品』と判定するし、元作品からきた読者からしても『こういうキャラクターだ』とあらかじめわかってるわけだから、誤解が少なくなる。


 創作系エッセイだと、『タイトル・あらすじ・タグ』において『期待感をあおるやり方』に注目して書く人が多い印象だが、それと同じくらい『不快にさせやすい要素への注意や配慮』も必要なはずだ。


 なにせ、一般が抱く『ウェブ小説家』のイメージは『表現者』ではなく、『娯楽(ひまつぶし)提供者』でしかない。『楽しませるもの』以上に、『不快にさせないもの』にしなければたたかれてしまう――そういう立場になってしまったのだろう。


 とはいえ、これもまた『創作者は作品をお粥にして消費者の口元に運ばなければならない』状況の一例なのかもしれない。


 プチ炎上作品を読んでいないため断言はできないものの、『作家側の描写不足問題』とは別に『読者側の読解力不足・解釈違い問題』も、まったくないわけではないのだ。


 今回はおそらく別ケースだと思われるが、中には『読者側の誤解』から作品や作者を中傷するような感想が送られることもあるだろう。たまに、エッセイランキングでもその話題を見かけたこともあるし。


 こうなると、十分に読者へ配慮した(つもり)の作家側からしたらどうしようもない。個人的には『わかってもらえなかったんだ』と開き直って、別作品への出会いを推奨する『お祈りメール』を送る程度の対処法しか思いつかない。


 結局、『すべてを気にしていたらキリがないが、反省しなければいけないところは同じ過ちを繰り返さないようにする』……みたいな一般論しかいえない気がする。


 最後に、(くだん)のエッセイを書いた作者様の意見で、わりと共感した文章を書いておく。


・主人公に共感できないといわれましたが、わざわざ共感する主人公を小説では書く必要があるのか。


・完璧な人間などいないのに小説にまでそのことを何故求めるのか不思議で仕方ないなと思いました。


 これも立派な『作家の個性』であり、たとえ周囲から反対意見が集まっても『曲げなくていい部分』だと思っている。


 まえがきでは『前回の内容とつながる』と表記しましたが、いざ書き上げてみると『かすった』程度の内容だったような気が……。


 何はともあれ、『創作って難しいよね!!』ってまとめられる程度の話題でした。


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