333回目 2020/2/11
とあるエッセイを読んで思ったことです。
そういえば、『ラブコメ』を書きたいと思ったことはあっても、男性向けの『恋愛小説』を書きたいと思ったことはないなぁ、と。
私が日刊のエッセイランキングをのぞいた時点でトップだった作品を読んだ後、率直に思ったのが上記のことだった。
読んで字のごとく、『恋愛小説』とは『ラブコメ』から『コメディ要素』を省いた、『恋愛関係』や『恋愛観』についてキャラたちが真面目に考えて真剣に行動する物語、と思っている。
当たり前っちゃ当たり前かもしれないが、『男性』が『真面目』に『恋愛する』ってのがエンタメ要素に特化した『ラノベ』で、となると結構相性が悪い。
一般小説だったら普通に『男性主体の恋愛小説』もありそうではある。私はあまり一般小説を読むタイプではないので、あくまでイメージの問題だが。
しかしラノベは……というか男性向けに作られたエンタメ作品では、少なからず『ご都合主義』かつ『ハーレム要素』が含まれている場合が多い。
エッセイでも指摘されていたことだが、『男性側』が物語の序盤から『主体的』かつ『大まじめ』に『恋愛』に向き合うことなど、あまり見かけない。
少年向けの某有名週刊マンガ雑誌などを見ても、たいていは『女性側』の方から『男性(=主人公)』へ積極的にアプローチをかけ、『真剣』に『恋愛』を成就させようとしている。
つまり、エンタメ作品における『男性』の『恋愛』にかける労力は、相対的に見て『女性』より『小さい』のだ。
しかも、少年マンガ系だとほぼ必ずと言っていいほど『ラブコメ』の『コメディ部分』が入ってくる。イベント的・ハプニング的な要素を含め、悪い言い方をすれば『恋愛を茶化す要素』だ。
ラノベでも昔はよく聞いた『微エロ』という要素と共通しているところで、『男性向け』のコンテンツにおいて『恋愛要素』とは『エロ系アクシデント』の有無みたいなイメージすらある。
要は『体の性差=肉体的関係』がメインであり、『男女それぞれの気持ち=精神的関係』は二の次として描かれる(最悪、放置されている)とさえいえそうだ。
……まあ、ターゲット層が『少年=思春期男子』と考えれば無理からぬことではあるけれど。エロに目覚めたばかりの男子なんて、『恋愛』方面においては精神的に未熟である場合が多いし。
その点、肉体的にも精神的にも早熟な女性は『恋愛要素』には『精神的関係』――心情描写に重点を置いているイメージがある。これまた、少女向けコンテンツなんて知らない私の偏見である。
だからこそ、少女マンガの中には結構えぐめな『肉体関係』をにおわせる描写が入っている場合でも、メインコンテンツは『恋愛模様』であるとして発禁には至らないのだ。(百パー偏見)
一応、ここまで私が知りうる範囲での考察をつらつらと書き捨ててきたが、やはり『男性向けの恋愛物』って『需要』が少なそうに思う。
こんなことをいったら男性からも批判を受けそうだが、現実として『恋愛』について『真剣』に考えたことのある『男性』って、明らかに少数派だと考えられるからだ。
ぶっちゃけ、世の男性の半分くらいは『恋愛=肉体関係になれるかどうか?』くらいの認識でしかない可能性すらある。動物としての『人間』が持たされた本能なのだから、すべてを非難はできないが。
そんな中で『男性視点で恋愛に向き合う物語』って、ごく少数の狭くて濃い(?)需要にしか対応できない『過疎コンテンツ』といえなくもない。
いつの時代も『ハーレム的要素』が廃れず残っているのは、『複数の女性からのモテ要素』が『男性』にとっての『理想の形』である裏返しだからだ。これは事実として受け止めねば始まらない。
それを覆して『恋愛物』を描こうとするなら、なんか『エロ』を『理性』で押さえられるだけの強靱な精神を持った主人公でないと難しい気がしてきた。
それこそ、加齢によって得てきた人生経験によって自然と精神的に成熟した、中年以降の男性でないとまともにフォーカスできないかもしれない。いや、下手したら初老から、か?
ともかく、十代・二十代の男性の設定でそこまで達観した人間を描けるだろうか? と首を傾げてしまう。無理やり書こうと思えば書けるけど、リアリティは……出せるかなぁ?
結局、自分でも何が書きたいかわからなくなってきたが、『男性ならではの恋愛』を書くのも面白そうだなぁ、とは思った。
この話題でのミソは『ラブコメ』ではなく『恋愛』を描けるか? という部分にあると思います。
女性向けの『なろう小説』を読むと心情描写が長めにあったりするのに、男性向けの『なろう小説』だとまず『容姿』や『社会的身分』から入るのが多いイメージです。
すべての作品がそうだとはいいませんが、『なぜ好きか?』や『だから相手にどうしたいか?』の突き詰めは男性向けだと甘くなりがちですので、私が書くならそっちを重視してみたいですね。




