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332回目 2020/2/10

 異論はあれども、一つの意見として心に留めたいことです。


 またまた『読み速』さんのツイッターまとめ記事になるが、ツイートの主いわく『作家は「読者の意見」を聞いたらいけない』とのこと。


 見出しだけ見れば読者様サイドの反感を買いそうだが、理由を見てみればわりと納得できる内容だったので、私としても記憶しておきたいと思ったのだ。


 というのも、ここでいう『読者の意見』とはぶっちゃけ『ストーリーの本筋も結末も知らない人の要望』にすぎない。


 未完成の段階でそれらを知っているのは(当たり前だが)『作者だけ』であるため、『読者の意見』を考えなしに丸ごと応じてしまえば『確実に物語が破綻する』。


 それを、ツイートの主は『船頭多くして船山上る』と表現した。


 完結への道を知っている『作者』がリーダーとして指揮をとれば目的地(ゴール)にたどり着けるが、別の目的地(りそう)を見た『読者』の意見で進路を変更し続けると、現在位置さえわからない迷走状態になってしまう――というわけだ。


 これは感想などで『作者』が『読者』と交流しやすい環境が整った、ウェブ小説という媒体に起こりがちな問題だろう。意見を容易に出せるからこそ、各々(おのおの)の感性からズレれば修正したくなってしまう。


 だが、『読者』が提示する『こうすればもっとよくなる!』は作中で提示されている情報のみで判断されたものであり、物語全体が見えている『作者』の青写真にとって『異物・違和感』になる可能性が非常に高い。


 そこまで読んでくれた『読者』が『面白い』と思ってくれていたのは、『作者』が物語に詰め込んだ『面白い』の核心部分がしっかりしていたからでもある。


 そこを『別の感性』で曲げてしまえば、『作者だけの感性』がゆがみ、それまで表現できていた『面白さ』が壊れてしまうのだ。


 よって、『読者の意見は無視していい』と結論づけられるわけだが、必ずしも『全部の声から耳をふさぐ』わけではない。


 中には『自分の価値観』にはなかった新鮮な意見を聞ける場合もあるため、そういうところは取り入れた方が創作に反映できる表現の幅が広がる。


 前述した『読者の意見』との違いは、『鵜呑(うの)み』にするか『参考』にするかの違いか。ツイートの主は、それを『集合知』と表現していた。


 要は『自分自身』のマネキンに新しい腕や足や頭をくっつけるのではなく、洋服やアクセサリーなどで着飾っていくような付け足し方により、『集合知』として『自分の価値観』を洗練させられるのだ。


 忘れてはいけないことが、『自分自身』のベースとなる形をしっかり保持することだ。私はよく、『作家の芯』や『自分の好き』などと表現している『個性』の部分である。


 まあ、ある特別な体験などから『自分自身』の価値観や考え方が激変する機会がないとも限らないが、少なくとも制作前にコンセプトが固まった『創作物』において、途中からテーマを曲げるのはあまりよろしくない。


『変えてはいけない部分』と『変えてもいい部分』の区別はきちんとつけておかないと、創作物として完成させられることはほぼ不可能――と、考えておいた方がいい。


 話題の共感と共有がウケる現代においても、すべてに迎合(げいごう)していては『面白いもの』など作れやしない。


 そも、『創作物』とは『作家』という生き物が抱える『個性』のぶつけ合いだ。


 芸術性と有益性が合致する『(タイミング)』次第で、同じ作品でも傑作になったり駄作になったりする。


『創作』の専門家として『作家』は作品を生み出し続けることに集中して、作品を『売りたい』ならば『売る専門家』に任せるのが理想的な形である。


 ならば、『作家』は自分の世界のままに創作し続ければいい。


 そんな強い気持ちを、ずっと持ち続けていたい。


 まあ、この意見の行き着く先は『だったら書けよ』というブーメランになるわけです。


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