329回目 2020/2/7
前回の『キャラ萌え(?)』についての続きです。
小説に登場させる人物の『キャラクター』として好きな要素を、もう少し考えてみた。
物語の構成として『好き』と思ったのは、『反逆』と『成長』と『教訓』だったが、やっぱり『キャラクター』の単体属性で何かこだわっている部分があるはず。
というわけでいろいろ検討した結果、私が重要視しているキャラ属性は『インテリ系』ではないか? と候補を絞ることに成功した。
考えてみれば当たり前のことで、私はプロットの段階でも基本的に『バカを主人公にしにくい』傾向がある。これは『天然』であったり『不思議キャラ』であったりも含む。
元々の性格としてそこまでぶっ飛んだ人物ではないと自己評価しているのもあるが、どちらかというと『書けない』より『書きたくない』が正しい。
あくまで私の考えではあるが、『バカ』は思考パターンや言動に論理的な整合性を取れない場合が多く、自分でも予測不可能な突拍子もない行動をしでかそうとする。
端的に言えば、『制御が難しい属性』なのだ。
それに程度にもよるが、『バカ』は人の話を聞く能力が低く、説明をされても理解するのに時間がかかる。そのため、作者目線から『バカ』に理解させようとすると『余分な文字数を食う』ことになる。
すると、他のキャラを動かして何とかわかりやすく説明しなければならないため、多少ながら作家側の負担が大きくなるのだ。比喩を使ったり、具体例に言い換えたり、見えない労力がのしかかる。
まあ、そこらへんは作家側のさじ加減次第であるのもわかっているが、どうしても『バカ』は書いていて疲れる。それは『理解力』だけにとどまらない。
前述したとおり、『バカ』とは他人が理解できない理屈で突拍子もない言動を行いながら、時に正鵠を射るような言動をとったりもする。(少なくとも、私の中で『バカ』とはそういうキャラクターだ)
この話で用いるたとえとして適切かはわからないが、『ワンピース』連載初期の『ルフィ』なんかは私の考える『バカ』像に近い。欲を言えば、『ルフィ』をさらに(かなり)頭悪くしたら理想だ。
『ルフィ』の場合はきちんとした持論や信念をもって、他人からしたら『バカ』みたいなことを口にしたり行動に移したりする。他人にとやかく言われても、自分の判断基準に従う姿はここぞの場面ですごく格好良くなるし。
世の中には『天才とバカは紙一重』なんて言葉があるように、意図して私が描きたい『バカ』は『滑稽な存在』ではなく『常識から離れた存在』なのかもしれない。
だからこそ、『バカ』を書くのが難しいと感じてしまう。私の中で、『バカ』は『天才』とイコールで結ばれるくらい『複雑で異質な存在』になっているのだ。
私が考えすぎなのかもしれないが、そもそも『バカ』ってどんな人間を指すのか? 理解が遅いだけなら調整可能だし、きちんとした定義はどこに? ……深みにはまると、『バカ』がゲシュタルト崩壊を起こしそうになる。
ともかく、『好き』なキャラクターの話に戻れば『インテリ』にひかれるのは間違いない。ラノベの入り口がミステリー系だったのが大きな影響を与えていそうだ。
単純に頭がいい人物を『格好いい』と思うから『インテリ』好きなのかもしれない。中学の時、自分よりも成績が上だったクラスメイトに尊敬とあこがれを抱いていたこともあったくらいだし。
今まで読んできた作品の中で特に印象に残っているのが、『テストで必ず平均点をとる』という手法で頭の良さを表現した主人公だった。
結果だけ見ると『平均点=普通』と評価されるのが当然なのだが、この主人公は『テスト当日における同学年の全生徒の体調などを観察して把握し、試験前に平均点を逆算してわざとその点数にあわせて答案用紙を埋める』、という方法で『平均点』を取得していた。
これを読んだ瞬間、当時十代だった私は衝撃を受けた。今まで想像もつかなかった『頭の良さ』を表現する方法であり、確かにそんなことが可能であれば『この主人公は絶対に頭がいい』と思えたからだ。
残念ながらマイナーな作品っぽいので知名度はなさそうだが、私の創作観の中ではかなり大きな影響を与えたことは間違いない。
なので、キャラを賢く見せるのが難しいとは知りながら、私は『インテリキャラ』を好んで書くことをやめられない。
『キャラ萌え』がいまいち理解できない私が唯一、『好き』と自信を持っていえる属性だからだろう。
そう考えると、私もやっかいな属性に惚れ込んだものだ。描写方法を少しでも間違えたら、とたんに嘘くさくなる属性が『インテリ』なのに……。
ちなみに、『○○バカ』みたいな言われ方をする、『一つの知識に特化した社会不適合者』は好きだったりします。これは『天才』の部類に入るからですかね?
とぼけていて、おマヌケで、ひょうきんな感じの『バカ』って、結局は『そう見えるように描写しなければならない』ため、狙って書くのが難しい属性なんです。
まあ、そんなことを言い出したらどれもこれも書くの難しいんですけどね。男の身からしたら『女性』なんてまだまだ未知なるブラックボックスなんですし、ちゃんと『女性』を描けているのかわかりませんもん。




