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327回目 2020/2/5

 今回の迷走は『好き』の方向性についてです。


 ふとしたきっかけがあって、改めて意識することになった『自分の好き』について。


 まず結論から言えば、私は『自分の好き』を詳しく把握できていない。


 というより、たぶんだが『集合』としての理解であって『構成要素』まで細分化して理解していない。(考え方は高校の数学Aでやったやつ)


 一言で言えば、『自分の好き』に対しての認識が『薄い』上に『浅い』。


 こういうのが『好き』とか『面白い』とか、胸を張っていえるものが具体的に思い浮かばないのだ。


 これは私自身が自己分析を苦手としているところもあるのかもしれない。短所は結構ぽろぽろ思いつくのだが、長所が浮かんでこないという『自尊心』が致命的に足りていない体たらくのままである。


 日々を漫然と生きるだけならさほど問題にならない(……いや、初めて履歴書を書くときめっちゃ苦労したか)が、創作においては少し事情が異なる。


 創作する側にとって、身も蓋もないことをいってしまえば自作とは『自身の性癖』を詰め込んだ理想の具現だ。芸術関係に重心がかたむくと事情は異なるが、エンターテイメント系は特にこの傾向が強い。


 で、私も自称・エンターテイメント派作家であるからして、読者様へとアピールするためにも『自分の好き』を前面に押し出す必要がある。


『自分の好き』に共感してくれる、いうなれば『性癖の同志』を募集するように自作へ闇鍋よろしくあれやこれやをぶち込むわけだ。


『なろう』ではその宣伝かつ工夫として、タイトルやタグやあらすじに『こんな感じの話やります!』とサイトを通りかかった読者様へと呼び込みをしているのである。


 ひるがえって私はというと、前述の通り『自分の好き』に対する理解が『浅い』状態でここまできた。日記と備忘録とグチをかねたこの作品でも、さんざん創作の『芯』が弱いことを暴露している。


 はてさて、私の『好き』とはいったいどこにあるのであろうか? 何が私を創作に駆り立てるほどの『好き』足り得ているのだろうか?


 マジで今さらながら、真剣に『好き』について考えてみることにしたわけだ。


 とりあえず、知り合いからアドバイスを受けるに、いわく『自分が今まで見てきた創作の中で、強く記憶と心に残った作品の要素を抜き出して比較する』と見えやすくなるらしい。


 比較した上で、『お気に入り作品を構成する要素の中から共通した部分』を見つけることができれば、それは『自分の好き』に限りなく近いものである、というのだ。


 要するに『帰納法』的に作品の構成要素をあぶり出せば、『自分の好き』にたどり着きやすくなるってこと。


 方法が見えてきたところで、実際にやってみようと頭の中で今まで触れてきた創作物を思い浮かべるが……ちょっと量が多い。


 私の場合はアニメよりもラノベの方が多く、しかも雑多に買いあさっていた時期があったのでより絞り込みが面倒くさくなってしまっている。


 もっとも多いのは、電撃文庫系のラノベだろうか。それも、メディアミックス(漫画家・アニメ化など)をされていないような作品にその割合が高い。


 影響を受けたものでいえば、かなり昔に存在が消えた富士見ミステリー文庫のミステリー系ラノベも結構読んでいる。私がラノベに足をつっこんだのがこの文庫のラノベだった。


 そこから裾野(すその)を広げていって、どれくらいの数を読んだかわからないくらい積み重ねてきたが、思い出せる(印象が深い)作品をピックアップして構成要素の共通点を探すことになる。


 ……あ~、だるっ。(本音)


 そうして、未熟なりに考えて抽出できそうな要素を考えると――『反逆』と『成長』と『教訓』だろうか?


『反逆』は、文字通り『大きな障害に対する反抗心』のこと。小説のテーマ的部分でよく意識する『理不尽』に対する反応として、主人公はどのような形であれ立ち向かおうとする姿を見せるのが好ましい。


『成長』は、どれだけ遅くてもいいから『初期状態から明確な精神的変化』を伴うこと。特に十代のキャラクターなら迷って悩んで苦しんで、その先に『自分だけの正しさ・答え』を持ってくれるとありがたい。


『教訓』は、メタ的視点から『読者側へ影響を与えられる力』を有すること。寓話(ぐうわ)的な物語みたいに、読後の価値観が揺さぶられるような『理想』か『反面教師』になれば言うことがない。


 今のところ、私が思い浮かぶ要素はこれくらいだ。


 一応、真剣に悩んではみたがこれが本当に私のもっとも優先すべき『好き』なのかはわからない。


 しかし、少なくともこれらの要素が入った作品を高い確率で『好ましい』と思うのは間違いない。


 あとはこれらを、自分の技術がおよぶ範囲で自作へ詰め込むことができれば、いずれ私の『芯』になってくれると期待していいだろう。


 ……とはいえ、『反逆』や『成長』はさておき『教訓』を入れ込むのは相当な設定の練り込みが必要になりそうだけど。


 テーマ関連の表現は、ともすれば『作者の押しつけ』になりやすいので、あからさまに前面へ出す部分じゃないのがよけいに難易度を引き上げる。


 本当に、こういうところで自分のハードルを上げるから続きが書けなくなるって言ってんのに……。


 たぶん、エンターテイメント作品にとってはかなり基本の部分かもしれませんが、それでも『自分が重要視している要素』を見直すのは大事だと思いました。


 なお、この考察によって私が『キャラクター愛』に目覚めにくい傾向にあるのもわかりましたね。『ツンデレ』とか『メイド』とか『語尾にゃ獣人』とか、キャラの属性について一考すらしませんでしたし。


 特定の『キャラ属性』に『好き』の全力を注げる人って、作品全体がどう見えてどんな評価をしているのか気になりますね。『その子がいればそれでいい』みたいな意見なんでしょうか?


 数多くあるラノベの定義の一つが『キャラクター(を前面に押し出した)小説』らしいので、私も少しは『キャラ属性』という片道切符の深淵(ぬま)について、知った方がいいのかもしれませんね。


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