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295回目 2020/1/4

 続けてまとめ記事で見た内容です。


 もはや劇場版みたいな戦闘シーンが印象的なTVアニメから有名になった『鬼滅の刃』の原作マンガについて、ツイッターで挙げられたコメントが紹介されていた。


 どうも『セリフやモノローグで全部説明しているのが受け入れられない』らしく、マンガの内容というより『表現方法』に拒否感が出たのだという。


 私も原作のマンガを週間雑誌で読んでいるが、特に気にしたことはない。そこまでマンガに詳しくないとか、深入りしてないとか、いろいろな理由があるにせよ。


 ともかく、その人は『読者はすべてを言葉で説明しないと理解できない』という感覚が理解できないらしい。(余談だが、『ワンピース』もセリフが増えたからという理由で読まなくなったそう)


 その流れから、『鬼滅の刃』とは違い余分なセリフがないマンガの一例として『チェンソーマン』が挙げられていた。


 こちらも内容を確認しておりさほど詳しくもないが、どうやらちょこちょこB級映画をオマージュした描写を入れるらしく、作者の方が映画好きな模様。


 それはさておき、私の印象でも『チェンソーマン』は『映画のフィルムを切り張りしたようなマンガ』だと思っている。一コマ一コマがカメラで撮影したようなカットで、会話もモノローグも少な目な印象がある。


 マンガの表現技法としてどちらが優れているか? といった論評は素人の私にはできないので、得意分野に置き換えて考えてみる。


 要するに、『鬼滅の刃』は『情景・心情描写が丁寧(ていねい)かつ緻密(ちみつ)=描写過多でテンポが遅い』小説に近く、『チェンソーマン』は『展開が早くスピード感がある=描写密度が少なく意味を(とら)えづらい』小説に近いと考えられる。


 前者の場合、目に付くものを事細かに書いてしまったり、キャラクターの感情を強調するために同じ意味合いの言葉を何度も連続で使うなど、とにかくわかりやすさ重視で説明を増やすタイプに似ている。


 まあ私もついよけいなことを書きすぎるきらいはあって、ストーリー内の経過時間に比べて読了までの時間が長すぎる出来になってしまいがちだ。


 それは文字がだらだら続いて読む気力が奪われる代わりに、普段から本を読まない人でもキャラクターの心情や状況が理解しやすいため、ある意味『初心者向け』の仕様といえる。


 後者の場合、さりげなく出したセリフが他の有名な著書に出てくるシーンを臭わせているとか、難読漢字に膨大な状況説明をぶち込むとか、ある程度の読解力を読者に求めるタイプに近い。


 元の対象はマンガなので純粋な比較はできないが、コマに収まった絵をよく見れば先の展開の伏線が仕込まれていたとか、コマがキャラクターの視点で描かれ心情を代弁しているとか、そういう風にセリフを廃した作りを意識しているのだろう。


 つまり、その媒体や作品ジャンルに慣れ親しんだ『玄人(くろうと)』でなければ、十二分に面白さを理解できない表現方法とも考えられるのだ。


 もちろん、一概にどちらが優れているとはいえない。潜在購買層をメインターゲットにしやすい『初心者向け』と、常連購買層をメインターゲットにしやすい『玄人(くろうと)向け』、双方に需要と裏返しの欠点がある。


 細かいところは消費者の好みによるとはいえ、すべての需要を満たせる作品などないのだから、作者は開き直って自分のやりたいことをやるしかない。


 私の中で結論はいつもそこへ絞られるのだが、実践するのは難しい。


 人の目を気にしないですむならそうしたいが、気にしてしまうのは条件反射のレベルで染み着いてしまっているのだから。


 コメントの中には『流行作品なら楽しめるはず』、みたいなニュアンスを含んだ言葉もあったので、有名になりすぎるのも考え物ということかもしれませんね。


 創作界隈(かいわい)では『99の賞賛は1の批判で相殺(そうさい)される』なんて言葉もありますし、自分の作品が作った波に対してどのようなメンタルで向き合うかも、作者に求められる資質なのかもしれません。


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