268回目 2019/12/8
体調を崩しそうな気配がすると、つい寝過ぎてしまいます。
ネタが思いつかないので久しぶりにまとめ記事から書いていく。
いわゆる創作ネタ関連の記事で、少し『ヒロイン』の見せ方について考えさせられるタイトルが二つあった。
一つは『量産型ヒロインを出すよりも、一人のヒロインを掘り下げてほしい』と題打たれ、もう一つは『(恋愛系)ラノベはヒロイン一択にしないで、ヒロイン戦争をしてほしい』と書かれたものだ。
指摘するジャンル的に、前者は『なろう系のバトルファンタジー』に対して、後者は『ラブコメ系ラノベ全般』に対して向けられた意見だろう。(マンガなどにも当てはまるかもしれないが)
結局はスレッドでのやりとりの中で出てきた人(もしくはスレッドをたてた張本人)が、個人的に思っている一意見なのだろうが、こういう『好みの主張』にすべて応えられる作者はそう多くないと思っている。
こういう『好み』の問題は読者に限らず、作者側にも存在するからだ。しかも、読者が求める『好み』と合致する作者の作品が『有名になる(=大多数の読者の目に留まる)』可能性はかなり低い。
出版社や編集者の意見で流行を取り入れるよう指示される商業作品であっても、実際に『売れる作品』となるのは『作者が好き(得意)なジャンル』である場合が多いのではないだろうか?
アマチュア作家の希望的観測かもしれないが、やはりプロット段階でネタが『好き』か『そうでもない』かで、モチベーションはかなり変わってくると思う。たとえ、生活資金を稼ぐためであっても、だ。
技量の差はさておき、大なり小なり創作物には創作者の熱が見え隠れするもので、モチベーションが低くなるほど読者に伝わる危険はつきまとう。
『なろう』では、感想欄で展開の変更を強要するような意見に従った結果、無理のある展開になってしまって読者を離れさせるきっかけになってしまった、などという噂を聞いたことがある。
今では規約で『感想などでの作者に対する強要行為』は禁止になっていた(はずな)ので、こうした事例は少なくなっているだろうが、ここでも多少のモチベーション問題を含んでいると思う。
読者の声に押され、作者が望まない展開へと書いたがために『つまらなくなった』、ともとれるからだ。プロであれば誤魔化す術もあるのだろうが、素人だとモチベーションの低下も顕著に表れるだろう。
『好き』と『面白さ』は比例しない。『面白さ』は創作者側の技量が大半を占める(と思っている)ため、『好き』でなくとも演出はできるのだろう。
だが、『好き』と『面白さ』は無関係でもない。たとえ技術が追いつかなくとも、『好き』が伝われば応援してくれる人も増えるだろうし、貫き通せば『個性』となって『面白さ』につながる場合もある。
結局、『面白い作品』を出せる人が社会に求められるのは変わらないし、『作者の気持ち』なんて消費者側が考えてくれることなどほとんどない。よほど熱心なファンでもない限り、消費者は『面白ければそれでいい』というスタンスなのだから。
上記の『ヒロイン』に関する扱いについても、それぞれ個人の意見ながら『面白くすること』を前提にして、『なぜ作者たちはこんな風に作らないのか?』と暗に含んでいるように思える。
それは消費者側から見る『生産者側(=作者の他に編集者なども含む広い意味で)』に対して、『書けない』ではなく『書かない』だけだと考えてしまっているからではないだろうか?
『書かない』はさておき、『書けない』理由は色々あるだろう。作者の『好み』からはずれている(真逆)とか、『売り上げで見た需要』からはずれているとか、それはもういろいろと。
中には、求められている内容に応えられると知っていながら『書かない』と突っぱねる変わり者もいるだろうが、おおむね『書けない』理由があるように思う。あってほしい。
特にラノベに限って言えば、流行ジャンルにいち早く乗って読者を取り合う意味では『人気商売』とも考えられる。『作者の個性』よりも『流行に乗れる』ことが重視されがちな印象だ。
あくまで体感としてだが、ラノベだと『作品』に関して語られることは多くとも、『作者』を取り上げて話題になることはきわめて少ない。(『ツイッター炎上』など負の話題はのぞく)
一般文芸と比べて、『作者A』が出す『作品1』が好きとか『作品2』が好きとかで盛り上がる場はほとんど見ない。たいてい、『特定のジャンル』で『作品B』が好きとか『作品C』が好きとかで話題が広がっていく。
そこに、ラノベの『ジャンルとしての不安定さ』があるように思えた。今までの『ラノベ』が作り上げてきた風潮が、『作者』を軽視する雰囲気を作ってしまったのではないか? と。
とはいえ、『ラノベはそういう読み物』と言われてしまえばそれまでの話だ。私としては業界批判と言うより、『そう考えられないか?』という無責任な立場で考えを書いているだけだし。
途中から自分が何をいいたいのかわからなくなる、いつもの主題迷子になってしまったが、『面白い』の追求って本当に難しいことだけは確かだ。
『読者の需要』で生計をたてる創作者たちは、しかし『読者の声』に傾きすぎれば失敗しやすくもある。創作の腕もそうだが、『内と外の価値観』に対する『バランス感覚』も重要なのだろう。
私のように『内=自分の価値観』に自信がもてない作者だと、すぐに足場を見失って動けなくなってしまうため、良くも悪くも『無視できる鈍さ』がほしいところだ。
そういえば、温まった布団の中は『やさしいせかい』で、冬の冷たい空気が漂う布団の外は『やさしくないせかい』だ、という考え方を目にしたことがあります。
どうして人は、『やさしいせかい』だけで生きられないのでしょうね……。




