258回目 2019/11/28
毎日くだらないことを書いていますが、ときおり魔が差した考えが浮かんだりします。
●散骨
(1)実戦で用いられた古武術の技の一つ。人に使えば『一撃で骨を粉々に砕く』とされる、強力な当て身技にして奥義。
基本の原理は『鎧徹し』の一種であり、徒手空拳の状態における自衛技だったものを極限まで鍛え上げた結果生まれた。
修得までのステップはいくつかあり、最初に『打撃の衝撃を物質越しに伝える』ことから始まる。
初めの段階では薄い畳を利用したり、麻布を重ねて分厚くしたものを利用したりして、手のひらや足やひじや膝などを使って打撃を加える練習を行う。
次第に威力が貫通するようになると、銅板や鉄板などの金属を用いるようになり、最終段階では家屋の壁越しに殴った相手の心臓を止められれば『及第点』に至る。
次に『打撃の威力を集中させる』ため、多方面からの殴り方を身につける訓練を行う。
『衝撃を徹す』訓練で用いたものはすべて板状のもの――『平面』を対象にしていたため、鎧を着用した人相手だと失敗の可能性が高まる。
そのため、丸太のように曲線を帯びた物へ『衝撃を徹し』、段階を経て対象を動物や人へ移行して、威力を殺さない経験を体に覚えさせる。
さらに『いつどんな状況でも確実に衝撃を徹す』よう、実戦を繰り返して精度を引き上げる。
具体的には通り魔や道場破りなどを行い、徹底的に『対人戦闘』の経験を積んで技の成功率とダメージ量を上昇させる。
本来は多くの場合、最後の訓練で傷害・殺人事件に発展して身柄を拘束されるため、技の完成を見ない者がほとんど。
挑戦者のほんの一握りが、まさしく人間凶器のような『散骨』を身につけられる。
修得者の中には、『バーゲンセールの時、邪魔な人垣を蹴散らすときに便利!』や『ブラック企業の上司の闇討ちに成功し、証拠も残さずとても効果的でした!』など、好意的な意見がネット上で散見される。
最近では高齢者や主婦層をターゲットとした『散骨フィットネス』も流行しており、近い将来『痴漢を複雑骨折で撃退できる社会』が日常になるかもしれない。
(2)2020年2月に発売予定の加熱式タバコ。いわゆる『アイコス』と呼ばれる種類の一つとして発売されるが、コンセプトは今までの加熱式タバコとは真逆の路線を公言している。
つまり、『体にすこぶる悪いタバコ』だ。商品名である『散骨』も、『アイコス』の語感を踏襲しつつ『吸い続けたら骨までボロボロになる』という、警告文の意味も含めて採用されたほど。
ニコチン・タール・一酸化炭素の量が通常のタバコと比べ数倍の濃度を有しており、利用者の満足感や中毒性が著しく増大している。
ただし、『アイコス』を模した加熱式タバコであるため、副流煙のリスクは可能な限り下げられているのもメリットの一つとして挙げられている。
近頃は禁煙社会もすすみ、喫煙者の肩身が狭い状況が続いているため、『誰にはばかることなくシケモクを楽しもう!』をコンセプトに発売された。
広告の段階でもすでに一定の評価が集まっており、禁煙時代に取り残されたヘビースモーカーたちが次世代の救世主として『散骨』に注目しているらしい。
なお、この言葉の説明はどちらも嘘八百であり、実際の名称や事実などとは露ほども関係がないためあしからず。
ここで書いた内容を小説の設定に流用……できるわきゃねぇわな、と。




