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256回目 2019/11/26

 前回は日付を軽く越えてしまいましたね。


●抗酸化

 お笑い芸人・タカアンドトシが得意とする印象的なつっこみの一つ。


 本来の使い方は『高三か』というフレーズであり、受験を控えた高校三年生が口にしそうな台詞をボケとして用い、何度も投げかけられるボケをツッコミで処理するスタイルを指す。


 ただワンフレーズ一辺倒ではなく、いわゆる同音異義語の形を取って同じ音でも違う切り口のツッコミを可能とし、よりボケを多角的な視野を持って広げることができる。


 その中のバリエーションの一つが『抗酸化』であり、たとえば『オリーブオイルでお肌ツルツル!』→『抗酸化!』などの形で使用される。


 他にも母音のみを残した派生系も存在し、聴衆が共有できる普遍的ワードが発見できればボケもそれに応じて変化させられるため、非常にネタを作りやすいツッコミ方式といえる。


 頭文字を変えるだけでも、『王さんか!(昭和のホームラン王)』、『硝酸か!(危険薬物)』、『象さんか!(パオーン)』、『坊さんか!(南無妙法蓮華経)』、『郷さんか!(A・CHI・CHI・A・CHI!)』、『倒産か!(絶望への入り口)』、『硼酸(ほうさん)か!(ネズミは消毒だぁ!!)』、『毛さんか!(中国共産党のあの人)』などが考えられる。


 彼らのネタで用いられる短時間かつ高頻度のボケとツッコミは、小さな笑いを積み上げて観客の空気をつかみ、最終的な満足感を大きな笑いを得られたものと同等にする効果をねらっている。


 さらに、ツッコミの文言が短く、初見の人でも覚えられて汎用(はんよう)性が高いのも認知度を広めるのに大きな役割を持っていた。


 一度聞いたら忘れられないキャッチーさに加え、誰もが使いたくなる便利さと、職業的な笑いに変えるためには工夫が必要な専門性を求められるため、まさにお手本のような『名刺的な決め台詞』といえよう。


 残念ながら『抗酸化!』のフレーズで使われるボケはさほど多くなく、登場頻度としてはかなり気象と言わざるを得ない。


 だが、お笑いファンとして劇場に足を運んだ際は、是非『抗酸化!』のワードを拾ってみてはいかがだろうか?


 なお、この解説は多少の独自解釈が含まれており、実際に『抗酸化』を初め例示したワードを用いたツッコミをご本人が行っていたかの保証はできないためあしからず。


 このごろはいくら寝ても寝足りない体調で日々を過ごしています。


 試してみたい方は一度、炭水化物を極限まで削る生活を送ってみてください。永遠に眠っていられると信じていた、青春真っ盛りな十代の気持ちを味わえますよ。


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