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240回目 2019/11/10

 声に出して読みたい日本語 ~思いつき編~


 という悪ふざけしかネタが思いつきませんでした。


麹町(こうじまち)

 言わずと知れた『極楽とんぼの加藤浩次(こうじ)』さんと『歌人の俵万智(まち)』さんのカップリングを揶揄(やゆ)した俗語(スラング)


 のちに、偶然にも同じ地名が日本国内にあったということでネットニュースで話題となり、『浩次(こうじ)×万智(まち)を盛り上げる会』の拠点としてその名は全国区に広がった。


 しかし、一部では反対勢力が『浩次(こうじ)×万智(まち)』カップリングに異議を唱え、過激な抗議活動を行うようになる。


 中でも『吉川晃司(こうじ)』さんと『近藤真彦(マッチ)』さんこそが正統な『麹町(こうじまち)』だと主張する『腐れ歌連合会』が連日に渡るデモ活動で声高に主張していた。


 警察を巻き込んだ大騒動に発展することも少なくなく、2018年3月、ついに双方が『指定暴力団』に認定されてしまった。


 こうして争いは終結……ということもなく、国からの弾圧だと両組織が猛烈に反発。より過激な活動を行うようになり、主に永田町で武力衝突が頻繁に起こるようになった。


 そして、かの有名な『赤い梅雨事件』と呼ばれるようになった2019年6月、有楽町で『浩次(こうじ)×万智(まち)を盛り上げる会』と『腐れ歌連合会』のトップが正面衝突。


 組織関係者や一般市民を含む、死者236人、重軽傷者500人以上の被害を出し、国内における戦後最大の組織間抗争として歴史に刻まれる大事件となった。


 逮捕者は優に1000人を超え、事件の引き金となった両組織のトップは抗争のどさくさに紛れ、今もまだ逃亡したまま行方知れずとなっている。


 なお、逮捕された両組織の幹部は調べによると、『カップリングは男女でこそ成立するもので同性を無理やり縛り付けるのは人種差別に当たる』や『男同士の純愛を理解できない人種は万死に値する』などと意味不明なことを述べており、警察は余罪を追究する模様。


 なお、この物語はフィクションであり、実在する事件、人物、地名、団体などとは一切関係がないことを明記しておく。


稚内(わっかない)

 あらゆる(わっか)状の物質において内側に必ず存在する『穴』について考察した、紀元前から探求されている哲学や量子物理学の一分野。


 海外では『ドーナツの穴問題』としても知られ、日本国内では和訳の際、日本人になじみの深い『稚内(わっかない)』という意訳が規定されている。


『ドーナツの穴問題』は(わっか)状の物質における代表例として菓子=食べ物を設定することで、世界中の人々により広く認知させることを目的とした新説であり、『穴』についての概念研究は『稚内(わっかない)』の方がはるかに歴史が長い。


 そもそもの始まりは縄文時代中期、作成された土器の丸い縁取りを見た制作者の一人が『穴とは何ぞや?』と疑問を抱いたことが起源とされているが、現代まで残る資料がほとんどなく起源については諸説ある。


 そこから時代は流れ、奈良時代のとある農民が『穴の中に手を入れたら、(ひじ)から先が切断された』という事件に巻き込まれた。


 最初は被害者の妄言(もうげん)と思われたが、のちに犯罪者の刑罰に『穴』を用いて首を入れたところ、証言通り数秒後には首から上が綺麗に切断されていた。


 確かな現象として証明されてしまったために、当時の天皇陛下は国をあげて『穴』の原理解明につとめるよう指示したが、ついぞ『穴』の謎は何一つとして解明されないまま、原因不明の逆流現象により『穴』は自身の内部へと吸い込まれて消えていったという。


 次に国内で『穴』が発見されたのは安土・桃山時代の本能寺だと噂されている。かの有名な織田信長が自害したと言われるタイミングで『穴』が自然発生し、寺の一部を丸ごと飲み込んだ――という討ち入りに参加した百姓の日記が残っていた。


 事実、織田信長の遺体は骨の一つとして発見されておらず、焼き討ちされた本願寺をいくら探してもその場にいた形跡すら残っていなかったそう。明智光秀も自身の手記にて『狐狗狸(こくり)の所業にて討ち損じ、無念にて(そうろう)』と悔しさをにじませていた。


 その後は『穴』の目撃例はぱたりと途絶え、平穏を取り戻したかのように思えたが、1964年……()しくも東京オリンピックの最中に出現した。


 それは開会式の折り、ブルーインパルスが行った航空ショーにてジェット噴流の軌跡から作られた五輪の一つが『穴』の基点となり、来場者全員の目に『穴』の実在を証明することとなった。


 ただし、このときの『穴』には歴史書に残るような力場を発生することなく、陽炎のような屈折現象を引き起こしただけで消失。当時は日本側の演出と認知され、世界各国から賞賛と畏怖(いふ)の声がマスコミで多く取り上げられた。(のちに日本政府が公式見解で『国の関与はデマだ』と否定している)


 こうして記憶に新しい事例の確認で『穴』における論争は加熱化し、2020年の東京オリンピック開催によって再び『穴』についての議論が盛んに行われるようになった。


 ネット上では次の『穴』出現候補が続々と挙げられており、『聖火台』や『安倍首相が出てきた土管』、『ブルーインパルスの奇蹟再来』や『新体操のフープ演技中』などの予測が立てられている。


 流言飛語(りゅうげんひご)蔓延(まんえん)した状況に『稚内(わっかない)』専門家は連日マスメディアで警鐘(けいしょう)を鳴らしており、『根拠のない情報に惑わされず、理性的な行動を』と訴えかけている。


 なお、この物語はフィクションであり、実在する事件、人物、地名、団体などとは一切関係がないことを明記しておく。


●サンタモニカ

 日本国内における芸能界でTOP3とされている、三名のタレントを示す略語。


 順に『明石家【さん】ま』さん、『【タモ】リ』さん、『【二階(にかい)】堂ふみ』さんのことで、それぞれの名前から二文字ずつとって『サンタモニカ』と呼ばれている。


 この三名は芸能界のみならず、法曹界、政界、経済界に加え、噂では皇室にも影響力があると言われているほどの権力を有している。


 ただ、通例として任期が長いとされる【サン】枠や【タモ】枠と違い、【ニカ】枠は変動が激しくポスト争奪戦が常に繰り広げられている。


 事実、前任の『自民党所属衆議院議員【二階(にかい)】俊博』氏は政治との両立が難しくなって引退と報道されているが、実際は世間に公表できないスキャンダルを握られ、脅迫に屈したとの見方が強い。


 当然、現在【ニカ】枠に収まっている新人の『【二階(にかい)】堂ふみ』さんも例外ではなく、常に一人で行動することは避けており、メディア取材においてもボディガードとして武装した警官を最低十人つけるほど、身辺警護を徹底している。


 一部からは『公的権力の濫用(らんよう)だ!』などと非難の声が上がっているが、つい先月のドラマ撮影の際に二十人以上もの暴力団構成員からの襲撃を受けたばかりとあって、世間からは同情の声が多く寄せられているのが現状だ。


 そこで気になるのは同じ『サンタモニカ』を襲名している『明石家【さん】ま』さんと『【タモ】リ』さんだが、彼らは自衛手段をすでに確立して久しく、襲撃者をことごとく撃退していることで一種の英雄として国民から支持を集めている。


 それぞれ『明石家【さん】ま』さんは軍用シラットの使い手として、『【タモ】リ』さんはコマンドサンボの師範代として武勇を(とどろ)かせており、殺人に発展した事件に何度も巻き込まれながら正当防衛による不起訴を合計100件以上も経験していると記録が残っている。


 いずれにせよ、一国が有する『権力の終着点』である『サンタモニカ』は人々からの畏敬(いけい)を集め、一説では八百万(やおよろず)の神を降ろす憑代(よりしろ)としての役割もつとめなければならないため、与えられた力にのしかかった重責は常人に耐えられないほど大きいとされている。


 実際【ニカ】枠の『【二階(にかい)】堂ふみ』さんが先日、ブログで体調不良を理由に芸能活動休止を発表したばかりであり、密かに次の【ニカ】枠についての候補選出が行われているようだ。


 なお、この物語はフィクションであり、実在する事件、人物、地名、団体などとは一切関係がないことを明記しておく。


赤坂見附(あかさかみつけ)

 別名『離縁坂』とも呼ばれる、一種の都市伝説における舞台。出自は定かでなくこれから紹介するのは複数ある記録の一説である。


 ある夫婦が急な坂の近くに家を構えており、仲(むつ)まじく暮らしていたそうだ。


 しかしそんな幸せも長くは続かず、見知らぬ女性がおくるみに包まれた赤子を抱えて夫婦の家を訪れ、『奥様の子です』と差し出していった。


 身に覚えがない妻は混乱し、浮気されたと思いこんだ夫は激怒して妻に詰め寄る。夫婦の間には子宝が恵まれず、子供好きな夫は大きく悩んでいた。そのことが、夫の怒りをさらに助長することとなった。


 妻は必死に落ち着けようと言葉を尽くすが聞き入れてもらえず、事情を聞こうと見知らぬ女性の姿を探すがすでにその場からいなくなっていた。夫との口論の間に、子供を残して去ってしまったらしい。


 仕方なく、妻は手渡された赤子を寝室へ移動させ、何とか誤解を解こうと根気強く説得を試みるが、夫の激情は収まるどころか勢いを増す。


 口論は数時間にもおよび、ついに夫は感情にまかせて三行半(みくだりはん)=離縁状を突きつけてしまう。


 覚えのない不貞(ふてい)をなじられ、心を引き裂かれるような言葉で面罵(めんば)されてもなお夫を愛していた妻は、離縁だけはと夫にすがって許しを()う。


 それでも夫は冷静になることができず、妻を引きはがすばかりか髪をつかんで外へと引きずり出した。そして『二度と顔を見せるな!』と怒声を残し、家から閉め出してしまう。


 訳も分からず失意のどん底に落とされた妻は地面に座り込んで泣きはらしていたが、次第に悲しみが己を信じてくれなかった夫への憎しみに変わっていく。


 そのまま一晩が経過し、夫が仕事のために玄関の戸を開けた瞬間、妻が唯一所持していた三行半(みくだりはん)で急襲。


 もみ合いの末、妻が夫の頸動脈を三行半(みくだりはん)で切断し、あたりに鮮血が飛び散った。


 崩れ落ちる夫の姿を見て、しかし妻は少しも(いきどお)りを押さえきれずに倒れた体に馬乗りになると、太い血管ばかりを執拗(しつよう)に狙って三行半(みくだりはん)で切り刻んでいく。


 そうして太陽が高く昇った頃には、家の前の坂は夫が流した血液によって赤く染まり、周辺住民は『昼前に夕焼けに染まった道を見た』と驚いていたという。


 その後、妻はどうなったかというと、数キロほど離れた村落に住んでいた住民にも聞こえるほど大きく狂ったような笑い声をあげて、すぐに聞こえなくなったらしい。


 不審に思った村民が様子をうかがうと、次第に赤子の火がついたような泣き声が聞こえてきた。


 慌てて足を早めてみれば、妻は倒れ伏す夫の死体ごと貫くように、三角錐(さんかくすい)の形にしてから血で固めた三行半(みくだりはん)を己の心臓に三度(みたび)突き刺し、事切れていたという。


 まるで漏斗(ろうと)のように、妻の心臓からはおびただしいほどの血液があふれ出し、夫の血液と混ざりあいながら坂を下る様子に、村民は黄泉比良坂(よもつひらさか)を見たとおののいたそうだ。


 さらに不思議なことに、村民が聞いたという赤子を保護しようと家の中を捜すも、どこにも見つけられなかった。ただ一つだけ、おくるみに使われた布だけが、寝室に残されていたという。


 こうして夫婦の血袋(からだ)からあふれ出した赤によって着色された坂から、出所不明の赤子を連れたとされる女は『赤坂女』と呼ばれるようになり、三行半(みくだりはん)を凶器に用いた凄惨な様子から『三突き』事件として世に広まった。


 いつしか、その話が巡り巡って事件名ではなくその土地の名として定着するようになり、『赤坂見附(あかさかみつけ)』という名前に変化したと言われている。


 なお、この物語はフィクションであり、実在する事件、人物、地名、団体などとは一切関係がないことを明記しておく。


船頭(せんどう)多くして船山に上る

 指図する人が多くて方針の統一がとれず、物事が目的をはずれた方向に進んでしまうことのたとえ。


 これらのホラ話を書いている最中、自分は一体何を書いているんだ? という疑問で埋め尽くされていました。


 私が言うこっちゃないんでしょうけど、何なんでしょうね、これ?


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― 新着の感想 ―
[良い点] 赤坂見附が一番好きですね。三行半で殺人の絵面がすさまじい。 [一言] アンサイク○ペディアでは……?いや好きですが。アンサ○クロペディア。
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