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23回目 2019/4/7

 私は純文学など書けない。


 パチリ、とパズルがはまる感覚はたぶん好きだ。


 とはいえ、私自身パズルを趣味にはしていない。


 前にやろうとしたことはあったが、すぐに飽きてしまった。


 いや、正確には『手を動かすことができなくなった』だろうか。


 私の新しい一歩は、おそらく人より重い。


 小説のネタにしても、思いつくのは唐突で()るのも楽しいが、いざ文章に起こすとなるととたんに無精(ぶしょう)となる。


 根っこが面倒くさがりではある。


 それでも、自分が好きなこと、極めたいことでもこれでは、さすがに自分が情けなくなる。


 これは己への不信感の現れだ。


 真っ白な紙を、メモ画面を、ワード画面を汚すのが、自分でいいのか?


 そんな強迫観念が肩にのしかかる中、私はいつも文章と向かい合う。


 私は私の(から)から、脱し切れていない。


 自分を表現したいという本音と、自分を出してはいけないという本音がぶつかり合う。


 それに、私は上記のパズルのような感覚は好きなのだ、やっかいなことに。


 だから自然と、主根(しゅこん)から派生する側根(そっこん)のように、伏線を意識し張っていこうとする。


 物語が複雑になり、風呂敷を畳むのが難しくなるのにも関わらず、何かしかけたくなる。


 パチリ、という快感を求めて。


 私が小説、というかラノベを読み始めたのがミステリー系だった影響もあるだろう。


 元々、どうも完璧主義で綺麗な状態を好ましく思う性格だったのもあるだろう。


 整合性のある物語が好きで、過不足ない物語に(あこが)れて、常に実力以上の結果を己に課して求めて、小説を書く。


 私は自分に甘いのか厳しいのか、時々わからなくなる。


 甘いからこそ怠けてしまい、厳しいからこそそんな自分に絶望する。


 そんなことを繰り返す毎日が、嫌でしょうがない。


 理想と現実のギャップ。


 すでに十代で卒業しておくべき、自分と世界の齟齬(そご)


 私はまだ、それをうまく調整できていないのだろう。


 年齢だけ重ねた子供。


 恥ずかしながら、そう称するしかない出来損ないだ。


 ポジティブに、適当に、大ざっぱに。


 そんな生き方がしたいのに、私は気づけば自分のアラを探してばかりいる。


 私を見つめる私の目は、やはり厳しいのかもしれない。


 頭が良くないのに、頭がいい振りをしているのだろうか?


 私が書きたいと思う作品の主人公は、割と高確率で策を(ろう)するタイプが出てくる。


 自分の願望が鏡のように浮き出るのが、物書きが残した小説なのだ。


 だから、私は私が見て感じ入り、描写に選んだ世界の醜悪(しゅうあく)さに時々驚かされる。


 私はこう思っているのだろう。


 一筋の光を強調するために、大多数を陰惨(いんさん)の暗幕に閉じこめたのが、世界なのだと。


 だけど、最近は彫刻をするように小説の文章を探している。


 だから、自由に、気軽に、適当に、なりたい。


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