203回目 2019/10/4
お誂え向きな記事が出ていたので、そちらをネタにします。
私がここで紹介するときにいつもお世話になっているまとめサイトより、『なろう初心者はテンプレを利用すべきか否か論争』という題でスレッドのまとめ? が載せられていた。
スレッドの一部を切り抜いた物のため、やりとり自体はそこまで長くなかったが、どうも焦点は『なろうでの書籍化』にあったような気はする。
趣味歴から私はさすがに『初心者』を自称するほど厚顔無恥ではないが、昨日投稿した内容と少々リンクしているように思えたので、引き続き考えてみる。
記事で紹介されていたコメントはだいたい悪口に近い口調で書かれ、『なろうテンプレ』を小馬鹿にする風潮であったがそれはさておき。
意見としては大まかに『テンプレに頼らず好きなもの書けばいい。それで失敗しても、テンプレに責任転嫁しないから成長しやすい』みたいなものが一つ。
この意見としては、『テンプレ』という道具に頼りすぎてしまい、作者が問題点を『自分の物語』ではなく『利用したテンプレ』に押しつける可能性を示唆していた。
小説の創作ハードルを下げる設計図の役割を果たすのが『テンプレ』であって、そこから頭一つ抜けるには基本の設計図だけでは難しく、工夫が必要ということだろう。
プラモデルを用いた模型づくりみたいな感じか。説明書通りに素組みしたプラモデルを適当な背景の前に並べるだけでは、塗装やダメージ加工を施しリアルなジオラマを作るのとでは評価が全く違うはずだ。
そのたとえで言えば、『評価が低かったのはプラモデルが悪い』という結論になり、同じ背景画像を流用した別のプラモデルを飾るだけ、みたいな方法にしかならないということか。
レスの中にも『テンプレだけを書いていれば評価される時期は過ぎた』などの意見もあったため、万能の設計図ではなくなったということだろう。
他にも『テンプレありきではなく、『書きたい物』を演出するためにテンプレを利用した方がいい。ウケたいなら、そこへ非テンプレの要素を盛り込んで個性を演出して差を出すのが大事』というものがあった。
要は物語を『テンプレ』ありきで書くのではなく、『書きたいテーマ』を中心に書くべき、という意見だろう。当たり前と言えば当たり前だが、ここで対象とされた作者は『初心者』に限られているため、難しい部分ではあると思う。
『初心者』はたいてい、『書きたいテーマ』がわからない場合が多い。というか、『なろう』への参入は『書籍化ねらい』みたいなイメージもついてしまっているため、『売れるため』に始める人も増えているはずだ。
名前を売りたいか、作品を売りたいか――商人欲求か金かは知らないが、作品の副次的利益にのみ目がいき商品として扱うなら、『テンプレ』ほど手軽な物はないだろう。
小説を書くことは本来、『自己表現』の一種だと私は思っている。乱暴に言えば、『作者はこういう思想を持っている! 読者はどうだ!?』という主張と問いかけが、小説という『手段』が持つ意味の一つなのだ。(まあ、たぶん文学寄りの考えだろうが)
そういう部分から見ると、利己的な理由で『テンプレ』の作品を書くと『薄っぺらい』などの酷評を受けるのも仕方ないのではないだろうか? 面白さが『設定』や『シチュエーション』だけなら、それこそ『ゲーム』で表現するのが適切な娯楽だと思うのは私だけだろうか?
『小説』でしかできない表現での娯楽を提供するために『テンプレ』を利用する、と比べるとやはりどこか違う印象を与える。見ている先が『市場』か『自分』かの違いかもしれない。
『小説』が得意なのは文字で『想像させる』ことと、登場人物や作者の心に『触れさせる』ことだと思っている。『マンガ』や『アニメ』や『ゲーム』よりも、『小説』だからこその強みだろうから。
かなり説教臭くなってしまったが、『初心者』でも『書きたいテーマ』は持っていた方がいいのはそういう一面があるからだ。
『小説』は『文字』でしか勝負できないため、作者の内面がもろに出る『恥ずかしい表現方法』でもある。『絵』や『音楽』などの化粧やごまかしが利かない、すっぴんでの戦いを強いられるからだ。
それなのに、『他人の受け売り(テンプレ)だけ』を知ったかぶりで吹聴し、悦に浸りながら『どうだ、すごいだろう!(ドヤ顔)』と鼻息を荒くして、誰が評価をしてくれるというのか。
ならばせめて、『だから自分はこう思う(アレンジ)』という『自分らしさ(オリジナリティ)』を添えた方が、立ち止まって聞いてくれる人も多いと思う。
『テンプレ』のご利用はよく考えて計画的にしよう、ということなのかもしれない。
最後に、同じまとめサイトの記事の中で、以下のような台詞をネタにしていたものがあった。
そのまま引用する。
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なろう主人公「現代知識ドヤァァァァ!」
女キャラ「素敵! 抱いて! 孕ませて!」
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いわゆる『内政チート』系の作品を揶揄したものだろう。
対して、一応インテリキャラで通している拙作の主人公が最近した発言はこちら。
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拙作主人公「『強姦』は『魂の殺人』と呼ばれているほど、『人間の尊厳』を傷つける。その深刻さをよく理解しろよ」
その場にいた女性・子どもキャラ「……(シラァァァァ!)……」
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現代の『社会通念』を披露したのにドン引きされた。
なぜだ?
『面白さ』を追求するなら読者を意識することも大事ですけど、『個性』を残すなら読者を意識しすぎないのも大事ですよね。
私の悩みは『展開の遅さをとってまで我を通すか?』という、『面白さ』の低下を招くかもしれない分岐点です。自分だけを見過ぎれば、ただの自己満足でしかありませんし……。
でもまあ、ひとまず自分が好きなようにやってみようかと思います。これでうだうだ悩んで続きが書けなくなったら、それこそ本末転倒ですから




