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187回目 2019/9/18

 執筆速度がどんどん遅くなる原因を考えてみました。


 実感として、長編小説は書けば書くほど続きを書くために使う時間が増えていく。特にすべての章である程度の連続性を持たせようと思えば、よけいに筆が止まりやすい。


 理由はわかっている。物語の整合性をとろうとして、設定や本文中で言及した言動を確認する手間に加え、続々と出てくる新たな理屈を説明できるだけの資料集めが膨大になるからだ。


 本来ならばプロット作成の段階で必要な資料を集め、それを参考に小説を書いていくのが主流だろう。しかし、私の場合半分はライブ感で執筆している部分があり、都度説明のための資料を集めることはザラだ。


 そうした『書いている最中の手間』がどんどん増えていくことで、続きの文章を書くこと自体が遅れてしまい、一歩エタに近づくことになる。


 それに付随して、単純に労力が増えることで執筆に心理的な抵抗を覚えてしまうのも痛い。あれやこれやしなければいけないことがいっぱい……となると、いくら好きなことでもうんざりしてしまうのだ。


 まあ、『なろう』の場合は主人公の言動がブレッブレになることもままあるので、このサイト内だとある程度であれば問題にならないのかもしれないが。


 他には、シリアスとコメディのかねあいも少しある。私の場合、作品のベースはシリアスに偏っている場合が多いが、そうなると少しシリアスの暗い雰囲気に飲まれやすくなる。


 序盤は精神状態が割とフラットなので平気なのだが、時間をかけていくうちに自分が書いた作品にダーク要素が浸食してきて、書き進めるのがしんどくなるのだ。自分で書いたのに。


 一方で、反動からかたまに書くコメディ部分が一気に進むこともある。ずっと停滞していた筆が嘘のように動き、キャラと一緒にバカやって楽しむ感覚を味わえる。


 じゃあずっとコメディ調でやればいいのでは? というとそうでもない。コメディ中心はコメディ中心で、読者を笑わせようとする仕掛けを考えて仕込むのが難しい。


 芸人さんの大変さは推して知るべし、人間の感情の中でも『笑い』は他人に意図して起こさせるのが非常に難しいものだと思っている。


 もちろん、『笑い』にはある一定の理論や正攻法は存在するが、人を笑わせるネタは長く続ければ続けるほどバリエーションを求められる。


 一つのネタや手法でやり通そうとすれば、読者はいずれ飽きてしまうためだ。どれだけツボに入る『笑い』であっても、同じものを見続ければ『笑い』は鈍っていくものだ。


 漫才やコントなどを見ていればわかるが、同じ漫才師でもボケやツッコミのやり方はほぼ一貫していても、話題やシチュエーションはネタによってまるっきり違うのが普通である。


 それは観客を飽きさせないための工夫であり、長く生き残るために必要な戦略でもある。要するに、『笑い』とは、長く生き続けるためにかなり広い分野への興味関心(アンテナ)を必要とするエンタメなのだ。


 特にやりやすいのは流行に乗って、定石(常識・定番ともいう)を崩すことだ。流行が広く知れ渡った時期に限定されるが、誰もが知っている話題は理解があり、おふざけも乗りやすい雰囲気が醸成(じょうせい)されている。


 ただ、私は流行に疎い上に小説という媒体が『一時的な流行に弱い』という欠点がある。時事ネタを放り込む癖があるので痛感しているが、流行がすぎても長く残りやすい小説は『その場のノリ』との相性が悪い。


 風刺の意味合いでは社会情勢との相性はいい(その当時の社会はこうだった、という後世への説明や証拠になる)が、水物(みずもの)生物(なまもの)な流行は時期を外れればさめるだけだ。


 話がだいぶそれてきたが、結局『笑い』は長編のメインにおくと飽きられやすいという問題と向き合うことになるため、また別の方面で神経を使うことになるのだ。


 長編は気を使えば使うほど、いろんな問題に目がいってしまい先を進めるのがしんどくなってくる。


 これに耐えられる体力や慣れを身につけるためには、やはりいっぱい書いていっぱい失敗するしかないのだろう。


 確実な対処法はほぼ一つ、ひたすら小説を書くしかない。


 小説の数をこなす、という面では短編をいっぱい書くのが手っ取り早そうですが、短編と長編では重視される技術が違うのでやりすぎるとどちらかが書けなくなりそうな気はします。


 私はほぼ最初から長編が中心でやってきたので、短編に苦手意識が強いですね。難しいんですよ、物語をコンパクトでまとめるの。


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