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17回目 2019/4/1

 新元号は『令和れいわ』だそうですね。


 嘘は便利だ。


 相手を傷つけないように、(けむ)に巻くことができる。


 嘘は厳しい。


 後になればなるほど、小さな嘘は膨れ上がって抱えきれなくなる。


 嘘は楽しい。


 私たち小説家が面白おかしく語っているのも、大きなくくりでは嘘だから。


 嘘は悲しい。


 相手が悲しむとわかっていても、辛くなるとわかっていても、言えないことだから口走ってしまうかさぶただから。


 嘘は薄い。


 ほとんどがその場でとってつけた内容・理屈だから、誰の心も動かすことはできない。


 嘘は重い。


 努力目標や大言(たいげん)壮語(そうご)もその時の自分は成し遂げようと本気で信じていても、現実に(はば)まれ諦めてしまえば嘘になってしまう。


 嘘は(みにく)い。


 一説では、エイプリルフールは新しい年の始まりが変わったことを知らない人たちをあざ笑ういたずらから始まった、というものがあるらしい。ぼーっと生きてました。


 嘘はまぶしい。


 本当のことの方が暗く汚く(みにく)いものだったなら、それがいやなものだと気づかないように強い嘘の光で照らしてやれば、その人は見えなくなってしまうだろう。


 嘘はきれい。


 薄っぺらで、その場しのぎで、ただの時間稼ぎにしかならない厚さしかないと、その向こう側にある真実が透けて見えるから。


 嘘は深い。


 嘘を隠すための嘘をつき、その嘘を真実に思わせるために嘘をつき、その嘘がばれないようにまた嘘を塗り固めて、抜け出せない穴になる。


 嘘は高い。


 自分はすごい、才能がある、他人よりも優れている……そうして攻撃される自分に嘘を突き続ければ、中には本当に嘘の階段を上がっていってしまう人がいる。


 嘘は難しい。


 真実でないこと、事実でないこと、存在しないこと、それをあたかも実体があるかのように理屈を組み立て、あるかもしれないと、そうに違いないと思わせなければならない。


 嘘は汚い。


 嘘をついてはいけない、ろくな大人になれない、嘘は泥棒の始まり、そう教えている側の口は、どれだけの嘘を塗り固めて『(ほんとう)』を語っているのだろうか。


 嘘は(はかな)い。


 いつかはバレてしまい、偽物だからこそ砕かれ捨てられ見向きもされなくなってしまう。


 嘘は強い。


 でも、まるで難攻不落の要塞みたいに基礎も素材も構造も堅牢であれば、誰かから広がった世界をもだますことができる。


 嘘は悪い。


 だから、使い方が、難しい。


 予測変換で『零話プロローグ』とか出たらどうしよう。


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