1239回目 2022/8/4
本当ならタイトル通り『教会』とお題の『謎の修道女』を出すところまで書きたかったんですけど、前置きがどんどん長くなってこうなってしまいました。短編むずい。
一回目
お題『謎の修道女』
必須要素(無茶ぶり)『ピアノ』
文字数『1033文字』 未完
タイトル『教会が垂らす旋律』
~~♪
「……ピアノ?」
退屈だった授業を抜け出し、かといって学外でやりたいことも思いつかず。中途半端に高校の敷地内でブラブラ時間つぶしをしていると、耳に馴染みのない音が流れ着いてきた。
楽譜も読めなきゃクラシックにも興味がない俺にとって、この曲の題名なんかわかるはずがない。テレビやSNSから流れてくる音楽と比較しても、聞いたことがない曲だった。
「まぁ、暇だし」
自分に言い訳でもするように、一日不良体験を続行してみる。ピアノの音の大きさだけを頼りに足の向きを変え、歩を進めていく。
「……どこまで歩くんだよ」
正直、音楽室とかに続いているとばかり思いこんでいた。俺を釣り上げたピアノの釣り糸は、どうも普通の校舎から垂らされていたわけじゃなかったようだ。
中庭を抜け、校舎を通り過ぎ、それでも先から聞こえてくるのは裏山の奥。
うちの学校は山の途中に作られるくらいには田舎で、そのくせ俺のように授業をボイコットする生徒も学級崩壊を起こすような生徒もいない、真面目な雰囲気を維持して日々を過ごしている。
俺はここの二年生なのに、この先に何があるのかは全く知らなかった。一年前にもらった学校の案内図には載っているかもしれないが、今この場にそんな都合のいいものがポケットの中に入っているわけもない。
ワンチャン、学生証に敷地内の地図があったかもしれないが、そんなものを毎日持ち歩くほど思い入れがあるわけでもない。もはやポケットを探す労力すらひねり出そうともしない。
木々の中に作られた道は、整備された感じは全くない。人間が踏み鳴らした獣道、という表現がぴったり合うくらいには道に見えるが、逆を言えばその程度の道らしさしかない。
「あ」
すると、背後から授業の終わりを告げるチャイムが聞こえてきた。意味不明だった数学の授業が終わったのだろう。次は、確か古典だったか。
成績からして文系の俺にとって、数学はフケても問題ないが古典は少し成績に響くかもしれない。しかしまだ、獣道の先からピアノの音は聞こえ続けている。引っかかった音の釣り針は、まだ簡単には取れそうもない。
行くか、戻るか。意図せぬ選択肢を迫られ、少しだけ足を止めたが、決断はすぐだった。
「もう一時間くらいサボっても問題ないだろ」
選んだのは前進。今日の授業は全部捨てるつもりで、好奇心の赴くままにピアノの奏者を一目拝もうと歩き出す。
裏山n//(時間切れ)
二回目
お題『捨てられた冤罪』
必須要素(無茶ぶり)『ダイアモンド』
文字数『1290文字』 未完
タイトル『出所後の冤罪人A』
ガチャリ、と扉にカギがかかる音が背後で聞こえた。
「もう二度と来るなよ」
もはや日常の一部のようについていた監視役の看守が、捨て台詞を残して俺から離れて行った。運動の時間に何度も浴びたはずの太陽光が、この時ばかりは余計に眩しく感じられた。
刑期を終えた俺に残されたものは、刑務所の中でやってきた刑務作業で得られたガキの小遣いくらい。刑務所の外に財産も家族も、もはや残っちゃいないだろう。
ほとんど空っぽなカバンを背負い直して、ひと先ず長い事住まわされた刑務所を後にする。忌まわしい場所だった。看守が言うからではないが、二度と行きたい場所ではない。
「……仕事、探すか」
以前は確か、フリーターだったんだっけ。職歴の最後は、スーパーのアルバイトだったはず。その時の知識も技術もとうにないが、勤務経験があるだけまだマシかもしれない。
あまり近寄りたくはないが、背に腹は代えられない。近くの交番でハローワークの場所を聞き出し、生きるために仕事を探すことにする。
「あれ、金井?」
と、これからの方針を決めたところで、懐かしくも不愉快な声が俺の耳朶を打った。
「おいおい、お前何シャバに脱走してんだよ!? こりゃあ110番案件か?!」
「……鴨居」
名前を呼んだ後で訂正とか否定とかしようと思ったが、やめた。そうしたところで俺の労力が全て無駄に終わることを知っているから。
鴨居は自分が見たいものしか見ないし、聞きたいことしか聞こえない。割と厄介なタイプで話が通じないタイプの人間だ。
こんなのに話しかけられる人生を嘆くべきかもしれない。小学校が一緒、なんて繋がりがなければここまで絡まれることもなかっただろうに。
「あ、そうだ金井! お前ちょっと顔かせよ!」
「断る。用事があるんだよ」
「そういわずに! ほら、あそこの喫茶店でいいだろ!? 一杯奢るぜ!?」
やたら強引な鴨居に不信感が募るものの、金がない状態で奢るというワードはとても魅力的に思えてしまった。
さっき立てた予定をいとも簡単に崩してしまい、付き合いたくない人間の甘言に乗せられてまんまと喫茶店に入店していた。
「コーヒーとサンドイッチ」
「俺はお冷で」
注文をしたのは俺だけで、向かいに座った鴨居はずうずうしくも水だけでこの場をしのぐらしい。
「……本当にお前がここの会計を持つんだろうな?」
「もちもち。だから節約の為に自分の注文を断ったんだろ?」
奢る、っていうんならもう少し羽振りのいい振る舞いをして欲しいものだ。これでは俺が鴨居にたかっているクズに見える。
「で、何を聞きたい?」
「単刀直入に聞きたいんだけどさ――二十年前のダイヤモンド、本当はどこに隠したんだ?」
あらかた予想は出来ていたとはいえ、あまりに予想通り過ぎる俗な質問にため息も出ない。
最初に配膳されたお冷に口をつけつつ、警察や裁判ではっきりと口にした事実を久しぶりに話した。
「知らない。俺はダイヤモンドの盗難事件について、全くの無実で冤罪だ」
//(時間切れ)
自分で書いてて思ったんですが、本人は犯行を否認していて冤罪を主張し続けているのに、誰からの援助もないまま刑期を終えるってあるんでしょうか?
まぁ、最大の味方になってくれるはずの家族から見捨てられれば、こうなってもおかしくはないんでしょうかね?




