1206回目 2022/7/2
『限界』は『限界』でも、能力ではなく我慢の方に解釈しました。失語症がこのようなブレーカーが落ちるように起こるものとは思っていませんが、フィクションなので大目に見てやってください。
一回目
お題『限界を超えた御曹司』
必須要素(無茶ぶり)『右手』
文字数『1245文字』 未完
タイトル『言葉を失った僕』
プツン――と、音を聞いた気がした。
「――? ――――?」
それからすぐに変な感じがした。
家庭教師の声が遠くなった感じ。聞こえない? というより、わからない?
今まで同じ言葉を話して聞いていたはずなのに、いきなり家庭教師だけが外国人になったような感覚。
口は動いている。音も、多分聞こえている。
なのに、言葉が理解できない。
さてどうしたものかと、僕は叱責をしているだろう家庭教師の顔をただ見上げていた。
「――――!」
もう家庭教師とは会話ができないと見限った僕は、渡されていたテキストを使って自習をしていたが、今度は父さんが僕の部屋に入ってきて怒鳴ってきた。
事ここに至って、僕は自分が何かマズい状況なのだと理解した。
父さんの言葉も理解できなかったからだ。
「――――!! ――――――!!」
表情を見るとすごく怒っているようだが、何について怒っているのかがわからない。内容も理由もわからない。言葉が理解できないって、かなり不便なのだと初めて知った。
これじゃあらちが明かないと、僕は右手でノートを破り文字を書いた。
『すみません。何を言っているのかわかりません』
「――!!!!」
――殴られた。
僕の本心のつもりだったが、さらに苛烈になるだみ声と唾から、僕がからかっていると思い込んでいるらしい。
相変わらず、父親は他人の話を聞かない人だ。自分の会社ではそれが当たり前だからって、家の中にまで持ち込むのは前々からどうかと思っていた。
直接的な暴力を振るうほど余裕がない大人だったんだな。ビンタで殴られた頬は痛いけど、父親への感想はどんどんと冷めていってる自覚がある。
さて、困った。今のところ話を聞いたのはいつの間にかいなくなっている家庭教師と父親だけだが、この分だと他の人の言葉も理解できない状態になっているらしい。
いきなり外国人の気分を味わるなんて、ラッキーとポジティブに思えばいいのかアンラッキーと現実を受け止めればいいのか。
それにしても、父親は何に対してこんなに怒れるんだろうか? 放っておいたら頭から湯気が出そうなほど顔を真っ赤にして喚き続けている。暇なんだろうか? それとも仕事のストレスを息子に怒鳴ることで解消しているとか? とんだパワハラ上司じゃないか。
まぁ、僕の父親が人間的に問題が山積みなことは小学校に通い出してからすぐにわかったけど。僕の名前と父親の会社を告げた途端、同級生があからさまに僕を避けだしたのを見て理解しない方がおかしい。
御曹司なんて言えば聞こえはいいけど、お金が多い家に生まれたらその分苦労も多くなる。毎日のように家庭教師が監視役みたいに僕の部屋に居座ったり、父親の横暴に耐えかねた母親が僕を捨てて出て行ったり、なかなか経験できないことを味わってきたと思う。
その結果が、僕だけ外国人になったっていうんだから、ちょっと笑えてきた。どうい//(時間切れ)
二回目
お題『来年の嵐』
必須要素(無茶ぶり)『オリーブオイル』
文字数『832文字』 未完
タイトル『青空が消えた国』
『ガガガ……ビーッ! ……ガギガ――の予報です。明日は今日よりもさらに発達した低気圧の影響で激しい雨や風が予想され、沿岸部でも高波が発生する恐れがあります』
「……また嵐かよ」
「ねー。最近の天気って嵐か大雨ばっかりだよね。ジメジメしてて気分も滅入っちゃう」
「感想がそれだけってだいぶ余裕あるよな、お前」
「騒いでたって状況はよくならないんだし、ありのままを受け止めるしかないんじゃない? というわけで、残りの備蓄食料ちょーだい?」
「ざけんな。節約して食ってくって約束だったろ。女でも俺より飯食うくせに食料せびってきてんじゃねーっつの」
「ケチー!!」
ぶっさいくに口の端を指でひっかけて伸ばしながら舌を出すアホ面を見せられ、こっちはため息が止まらなくなる。よりによってなんでこんな女と同じ場所に避難してしまったのか。
まだギャースカ騒いでいる女を無視して窓の外を見ても、大量の雨が打ち付けるせいでほとんど見えない。この嵐が落ち着いたころには町が全部水没していた、なんて馬鹿げた話も現実味を帯びてきて身震いする。
今、この国を襲っている嵐は自然発生したものじゃない。単なる勘だが、自然現象だったとしても数カ月間ずっと嵐が続いているとかおかしすぎる。
それこそ他国が開発した天候を操作する兵器を使われて攻撃を受けている、なんて与太話が信じられるくらいに非現実な状況にさらされ続けているんだ。
さっき電源を入れたラジオでも、連日異常気象と各地域にもたらされた被害を報道する声しか聞こえてこない。日を追うごとに受信できるラジオ局が少なくなってきているのも不安を加速させる。
人がいなくなったのか、建物ごと水没したのか、あるいはまた別の要因があるのか。
ともかく毎日が嵐ばかりの天候で、まともな生活を送れている人間は俺を含めていないことは認めざるを得ない。
ひとまず、バカ食い女に食料を奪われないよう、食料保管庫のせいりd//(時間切れ)
無茶ぶり的に、比喩的な方よりも本来の意味での『嵐』で使った方が書きやすいと思ったのですけど、そんなことなかったですね。




