1195回目 2022/6/21
想定していた流れとしては、主人公の両親は事故ではなく殺されていた、みたいにしようと思っていました。その後の展開は、その場その場の思い付きによって変わっていたかもしれません。
一回目
お題『暴かれた嘘』
必須要素(無茶ぶり)『醤油』
文字数『1088文字』 未完
タイトル『嘘の愛情』
人は親から『嘘をついてはいけない』という建前を教えられて大人になる。
私もそうだ。私が生まれてすぐに事故で死んだ両親の代わりに育ててくれた叔父夫婦にも、『嘘をついてはいけない』とよく叱られた記憶がある。
それは私がことあるごとに嘘をついていたからかもしれない。子どもの頃、私は早いころに叔父夫婦が本当の親ではないこと、そして本当の両親がすでに他界していることを知らされた。
その日から、私の記憶にある限り物事の分別がつくころまで、叔父夫婦に何度も嘘をついて困らせていた時期に入った。
明確な理由は覚えていない。小学校三年生くらいまでずっと、小さな嘘から人の命にかかわりそうな嘘まで、とにかく私は叔父夫婦にだけ嘘を伝えてしこたま怒られた。
叔母が隠していたお菓子を食べた時は『家の中に入ってきた猫が盗んでいった』と言ったし、学校の友人とかくれんぼをして遊んだ後、一人だけ疲れたのか隠れた場所で眠ってしまったことを知っていながら『あの子がどこにもいない』と不安を煽り、警察沙汰にまでなったこともある。
その度に叔父夫婦は私を叱った。小さな嘘なら呆れながらも諭すように説得していたが、警察沙汰になった時は平手でぶん殴られた挙句、叔父と叔母に一晩中かわるがわる説教された。
正直、ある程度の年齢になってからどうしてあんな無駄なことをしていたのか、自分のことながら不思議だった。が、もしかして、と思える理由なら大学の授業で小耳にはさんで知ることが出来た。
養子として里親に引き取られた子どもが起こす『幼児返り』がそれだ。わざと部屋を散らかしたり、ご飯をひっくり返したり、布団の中でおもらししてみたり、年齢不相応な行動を取るようになるらしい。
講義で聞いた時には、『養子になった子どもが新しい親の愛情をはかるため、わざと怒らせるようなことをして困らせるとされている』、と説明を受けた。
私の嘘も、おそらく『幼児返り』と同じ理屈だったのかもしれないと思えるようになってからは、子どもの私は浅はかだったのだなとため息が出た。
思い返せば、私が叔父夫婦から『本当の子どもではない』と知らされてから、バカみたいに嘘を吐くようになっていた。赤ん坊のころから世話されておいて、肉親じゃなかったと知ってすぐに愛情を試すとか、どんだけ生意気な子どもだったのだろう。
そんな子どもでも、叔父夫婦は根気強く接してくれたのだから頭が上がらない。育ての親としては申し分ない愛情をもらったと思っているし、これからもそう思うだろう。
「――ねぇ、ほんとうなの?」//(時間切れ)
二回目
お題『名前も知らない電撃』
必須要素(無茶ぶり)『人間使用不可』
文字数『1129文字』 未完
タイトル『真夜中の狩猟』
暗く湿った空間を走る。走る。走る。
俺もお腹が空いたし、巣で待ってる家族もお腹を空かせている。今日も食べ物を確保して、子どもたちに腹いっぱい食べさせてやらないと。
しかし、今日は湿気がひどくてひげが重い。こういう日は感覚が鈍るからあまり動き回りたくないが、仕方がない。食べなければ死ぬ。まだ食料が豊富な場所に作った巣だけど、ずっと安全安心とは限らない。
いつもの狩場へ続く穴に近づいてきた。少しだけ明かりがこちら側に差し込んでくる。
すぐには飛びださない。俺が子どもの頃、無警戒に飛び出した弟がそのまま帰らなくなった。いなくなる直前、チューチューと断末魔が聞こえたから、おそらく何かにやられたのだろう。
俺は油断しない。重いひげを何とか動かして、穴の外に生き物の気配がないか探る。
……おそらく、大丈夫。少しだけ顔を出して自分の目でも確認してみる。
いない。狩場には巨大な生き物がいて、見つかったら追いかけ回されて殺される。その話は子守唄代わりに両親からも聞いていたし、自分の子どもにも言い聞かせている。
狩場にいる巨大な生き物は夜にほとんど見かけなくなるから、自然と俺が行動を起こすのも夜になる。真っ暗な中でもひげの感知を頼りにすれば、危険になることは早々ない。
覚悟を決めて、穴から飛び出し狩場へと足を進める。できるだけ足は止めない。気配はないと安心してのんびりしていたら、いきなり巨大な生き物に遭遇する時もある。
姉がそれで捕まった光景は、今でも忘れられない。面倒見の良かった姉は、俺を含む下の兄弟たちに狩りの仕方を見せてやると言って、夜に穴から飛び出し帰らなくなった。
その日は、夜だったはずの狩場が突然光に包まれた。そして朝や昼にしか動かない巨大な生き物が夜を壊して動いていた。
巨大な生き物は時間をも操る。そうして戯れに俺たちを探して、見つければ、すぐに殺そうと動き出してくる。俺たち兄弟は、姉の死と引き換えに巨大な生き物の恐怖を知り、狩りの不安定さを体の隅々まで理解させられた。
走る。走る。走る。
巨大な生き物が自分たちの生活の為に作った巨大な空間である狩場は、俺たちにとってはとても広大で天井も高い。巨大な生き物が使う空間も限りがあるとはいえ、それでも俺には世界のほぼすべてが巨大な生き物の支配下に置かれているように思えてならなかった。
少し時間をかけて柱をよじ登り、少し平たい地面に足をつける。来るたびに種類が変わる色んな食べ物が放置されている狩場だ。
俺や妻、子どもたちが食べられそうな食料を物色する中、壁に空いた細長い二本の並行した穴が目に映った。
悪魔の穴だ。//(時間切れ)
擬人化したネズミ視点でした。『巨大な生き物』が人間で、『悪魔の穴』がコンセントのつもりで書いています。『夜を壊して』あたりの描写は、夜中に目を覚ました住人が部屋の電灯をつけただけ。
きちんとネズミ視点になっているかどうかが心配ですね。




