1159回目 2022/5/16
無茶ぶりの『ノリツッコミ』をどうやればいいのかわからず微妙な感じになってしまいました。私の中の『ノリツッコミ』って、レパートリーが吉本新喜劇くらいしかないんですよねぇ……。
一回目
お題『おいでよパイロット』
必須要素(無茶ぶり)『ノリツッコミ』
文字数『999文字』 未完
タイトル『志願兵募集ポスター』
「『おいでよパイロット候補生! 我々地球連合軍は、君たちの若い力を必要としている!』……だってさ。どうする?」
「そりゃあ一大事だ! 早速役所で志願所書かないとな! ――って、俺たちがはしゃぐと思ってんのかねぇ、大人たちは」
「そーなんじゃね? 子どもはバカだから若くて人気のアイドルをポスターに起用して、ちょっと谷間を見せればみんな食いつくと思ってるんだよ」
「谷間は嬉しいが徴兵なんざクソくらえだ! 谷間は嬉しいが!!」
「そこ強調するなよ。ここ、男女共学校の廊下だぞ?」
女子生徒たちから白い眼と小声の悪口雑言を浴びながら、力強くポスター(の谷間)をガン見している同期生に溜息が漏れる。
少し前なら創作の中の話だった宇宙人による侵略を受けているこのご時世、ようやく地球の各国が一致団結して結成された連合軍は一人でも多くの兵士を必要としているらしい。
おそらくいろんな国で、似たような言葉を並べ立てて若者たちを戦場に送り出そうと躍起になっているんだろう。まぁ、俺の隣では半分成功して半分失敗している実例がいるから、効果がゼロとはいいがたい。
それに学校なんて、どこの国も軍学校しか残っていないんだから、効果がたとえ未成年人口の数パーセントでも相当な数になるんだろう。
成人したらほぼ全員が徴兵されて戦場に行くんだから、早いか遅いかの違いでしかないんだろう。けど、少しでも若い時に戦場へ出れば得難い実戦経験が積める。そうして優秀な兵士が増えれば、地球人類の生存確率も上がる……って算段なんだろうな。
それだけ戦況がひっ迫しているってことでもあるから、あまり希望は持てないと推測できるのが嫌になる。
「――俺、志願してみようかな?」
「そりゃあいい! だったら俺も、お前にならって志望動機はアイドルの谷間にダイブしたかったから、って正々堂々書いてやるか! ……とかいうとでも思ったか?」
「え。今の内に志願したらアイドルのおっぱい揉めるのか!? どこだ?! このポスターのどこに書いてある?! マジで書いてあったらマジで申請するから!!」
「冗談に決まってんだろ大馬鹿野郎が!!」
この同期はバカだバカだと思っていたが、ここまで愚かだとは思っていなかったよ!
鼻血を出しそうな勢いで目をかっぴらくバカの頭を一発殴り、正気に戻してからポスターの前から//(時間切れ)
二回目
お題『苦いアレ』
必須要素(無茶ぶり)『一人称』
文字数『1277文字』 完結
タイトル『ごちゃ混ぜの苦いアレ』
「――うっ」
にっっっが!? 口に入れただけで苦い。噛んだらさらに苦い。飲み込んでもなお下の奥が痺れて苦い。
こんなに苦い食べ物初めてだ。到底おいしいとは思えない。舌が慣れれば別かもしれないが、これ相当な時間が必要だろう。にっが。
「初めて食ったけど、すっげぇ強烈だな……ゴーヤチャンプルー」
「え? 違うぞ。ゴーヤーチャンプルーだろ」
何気ない呟きに反応したのは、対面で同じ料理を食べていた具志堅だった。ある有名な沖縄出身のボクサーと同じ苗字だが、親戚にいるわけじゃないと言っていたか。
沖縄出身なのは同じらしいとは聞いたが、何が違うんだ?
「俺、ゴーヤチャンプルーって言っただろ?」
「ああ。ゴーヤじゃなくてゴーヤーだから」
「……いや、ゴーヤはゴーヤだろ?」
「ちゃんと俺の話聞いてたか? ゴーヤーはゴーヤーなの。ゴーヤじゃないの。わかる?」
「……すまん、わからん」
え、何が言いたいの具志堅のやつ? ゴーヤはゴーヤなんだろ? 何が違うの?
「もしかして、本場のゴーヤは苦味が強いから偽物だ、とか?」
「いや味は同じだけど、発音が違うの」
「発音?」
「よく聞いといて。ゴーヤー。ゴーヤー。これはゴーヤ、じゃなくて、ゴーヤー、なの」
「えーっと、語尾を伸ばす?」
「そう。本土の人はずっとゴーヤっていうけど、本当はゴーヤーってヤの音は伸ばすの。それが本当の言い方」
あー、方言みたいなもの? 魚とかでも地域によって呼び方が違う、みたいな?
「何となくわかったけどよ、何でそんなややこしい発音なんだ? ゴーヤとゴーヤーって、そりゃ間違えてもおかしくないだろ」
「そんなこと言われても、ゴーヤーはゴーヤーだから。昔からそうだったし、これからもゴーヤーだよ。逆に何で沖縄以外の人はゴーヤっていうのか、こっちの方がわからないよ」
地元の話題で興奮してきたのか、若干沖縄のなまりが出始めてきたな具志堅。
「しかし、そこまでこだわることか? ヤとヤーを間違えたところで伝わるからそれでいいんじゃ?」
「そしたら君、お店で卵焼きって注文して甘い卵焼きが出てきたらどうする?」
「キレる」
「でしょう? 君は関西出身だからだし巻き卵が卵焼きなんだけど、関東では卵焼きって甘くて分厚い形じゃない。明石ではタコ焼きのことを玉子焼きともいうらしいから、呼び方っていうのは本当は大事な文化なんだよ」
むぅ……そう言われたら間違いだと指摘したくなる気持ちもわからんでもない。
「ゴーヤーは沖縄県民にとってすっごく身近な食べ物だから、間違えられると少し悲しいよ。そりゃあ、声を荒げてまで怒ることじゃないけどさ」
「……わかったよ。これからは気を付ける」
話がひと段落して、もったいないから最後まで食べようとチャンプルーに口をつけた。
「にしても、本当に苦いな、苦いアレ」
「ややこしいからって指示語にするのもどうかと思うよ」
なんだかんだ言いながら完食は出来た。しばらく食べないと思う。
私は関西人の方ですが、沖縄の『ゴーヤー/ゴーヤ』問題はどこからか聞いたことはあります。あとはウリミバエか何かの影響で、沖縄返還後しばらくゴーヤーが日本で流通できなかったとか小耳にはさんだくらいですかね。




