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1142回目 2022/4/29

 無茶ぶりが『スマホ』だったのでファンタジー路線が私の中でほぼ潰れたのが痛かったです。それでも何とか完結できたのはよかったですけど。


 一回目

 お題『冬の処刑人』

 必須要素(無茶ぶり)『スマホ』

 文字数『1180文字』 完結


 タイトル『指先の仕事と有給休暇』


「はぁ……」


 白い吐息が漏れ出る様子を眺めながら、電源を切ったスマホを机に置いた。


 鳴り響く通知や呼び出し音がうるさかったからだ。しばらくは休みが取れたから、連絡を絶っても問題はないだろう。


 しかし……やることがないな。仕事ばかりにかまけていたら、あっという間に無趣味になってしまった。家庭を持つ余裕もなかったし、今から作ろうとする気も起きない。


 一人をさみしいと思ったことはなかった。でも、虚しいと思うことは今までもあった。


 今は……昔感じた以上の虚しさが、胸にぽっかりと空いている気がする。


「俺が殺したわけでもないのに。おかしいな」


 椅子に座って、背もたれに体重を預ける。天井を見上げて、また白い息が昇っていった。


 俺は刑務所で働く刑務官だ。勤務時間のほとんどが書類仕事だが、犯罪者を相手に声を張り上げることもある。


 この仕事に何かあこがれがあったわけじゃない。誇りなんてあるはずもない。ただ公務員の仕事が安定しているから、なんて理由で務めているだけだった。


 数日前。


 とある死刑囚の刑に立ち会った。


 俺以外にもう二人、刑務官が呼ばれた。事前に通知はされていて、了承した上で集まった三人だ。


 改めて説明を受けた内容も、事前に渡された書類に書いてあったものを読み上げたものだった。頭では理解していても、言葉は耳をそのまま通過していった。


 ボタンが三つあった。俺と、二人の刑務官の前にそれぞれ一つずつ。俺たちは、これを同じタイミングで押す。それだけでよかった。


 それだけで、その日の仕事は終わり、一週間も休暇がもらえる。有給休暇だ。ありがたい。ありがたいはずだ。


 それに、実際に刑が執行される場面を見るわけじゃない。ボタンがあるこの部屋からは、死刑囚と絞首台は見えない。俺たちはただ、ボタンを押すだけでいいんだ。


 そして、立ち会った上司に促されて、タイミングを合わせて、ボタンを押した。


 無事に刑は執行されたらしい。短くねぎらいの言葉をかけられて、俺たちはそのまま帰宅した。


「……腹、減ったな」


 今日は、優雅な休暇の、二日目だったか。


 ニュースでは大雪に警戒しろ、とか言ってたっけ。今季最大の寒波だとかなんとか。あぁ、寒いわけだ。


「あれ……もう夕方じゃんか」


 まずい、朝食も昼食も食べた覚えがない。


 はぁ、とため息がこぼれてまた白い息が出た……あぁ、今さら気づいた。暖房をつけていない。寒いわけだ。


「たかがボタンを押すだけで一週間なんて、って思ってたのにな」


 億劫に立ち上がって、エアコンのリモコンを探す。


 これがあと五日は続くのか。


 果たして俺は、ボタンを押す前の俺に戻れるだろうか?


 長くて短い休暇が俺を癒してくれるかは、まだわからない。




 二回目

 お題『騙された成功』

 必須要素(無茶ぶり)『悲劇』

 文字数『781文字』 未完


 タイトル『勇者と魔王がもたらした悲劇』


 ――勇者の手により魔王が討たれた。


 その報が人間の国にもたらされた瞬間、すべての民が歓喜に沸いた。


 魔王は人間の国と隣接する魔族の国の長。そして、長らく人間の国に侵攻を企てていた敵でもあった。


 すでにあちらこちらで魔族による被害が報告されていた中、魔王の討伐は人間の国に安堵と、これからくるだろう平和の予兆をもたらす慶事であった。


「この者を捕らえよ」


 だが、すべての人間にとってそうであるとは限らなかった。


「なっ?! 何故です、国王陛下!! 私は陛下のご指示通り、魔王の討伐を成し遂げたというのに!!」


 人間の国の王宮、謁見の間にて。


 勇者とされた男が近衛兵士たちによって拘束され、ひざまずいたまま動けない。


 その様子を、高くしつらえられた玉座より見下ろす国王の瞳は、どこまでも冷たく暗い。


「何を世迷言を。魔王とはすなわち魔族の王であり、治める民、領土、文化は違えど同じ国主だ。それを己が身勝手な正義で征伐するなど、神をも恐れぬ愚行に相違あるまい」


「っ! 陛下!! 御身はおっしゃられた!! 魔王さえ討てば、人の世は平穏を取り戻すと!! 明日をも知れぬ脅威から人々を救い出せると!! それは偽りであったのか!?」


「黙れ! 貴様が犯した罪により、隣国では魔王による統治を失ったことで多くの魔族が難民として我が国に流れ着いておるのだぞ! 平和をうたいながら、この世を乱した元凶がきれいごとをぬかすな!!」


 歯ぎしりをする勇者と呼ばれた男は、薄く引かれた笑みによりすべてを察する。


 国王は最初から、勇者という存在を祭り上げた後は切り捨てる心算であったと。


 魔王討伐が失敗すれば、一人の愚か者が血気はやって犯した愚行と下し、成功しても世界に広がる混乱を招いた張本人として沙汰を下す。


 勇者と肩書をかざら//(時間切れ)


 国王は勇者をだまして魔王を殺させたが、勇者は『魔王死後の平和を約束する』と契約して魔王を殺す許可を得ていた。が、国王が勇者を殺したことにより契約不履行となり、人間の国の中枢で魔王が復活して滅茶苦茶に。


 みたいな筋書きで書いていましたが、やっぱり間に合いませんでした。短編っぽい内容でしたが、やっぱり仰々しい言い回しをすぐに脳内変換できないと書けませんね。


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