1131回目 2022/4/18
自分でも思いますけど、ペルソナとかそういうの好きだなーって。まぁ、小説のために大学で心理学専攻したくらいですしね。
一回目
お題『自分の中のむきだし』
必須要素(無茶ぶり)『うっ』
文字数『1049文字』 未完
タイトル『弱い自分を受け入れて』
誰しも人は本当の自分を隠す。ペルソナなんて言ったりもするけど、誰だってむき出しの自分を隠して生きているものだ。
好ましい人間像は国や文化の壁を越えて共通している。だからこそ、人は無意識に自分に向けられる敵意を減らそうとテンプレートな善人の仮面をかぶるのだ。
中には取り繕わない人や、あえて嫌われる様な振る舞いをする人もいるだろうが、少数派だろう。本当の自分をさらけ出しているつもりで、あえて作り出したキャラクターを自分の人格だと思い込んで歪んでしまう人もいる。
誰かに見られているという意識は、自分が考えている以上に自分の人格形成に多大なる影響を与えている。
人が育てる人間性は、周囲からさらされる鋭い視線で研磨された原石の結果なのだ。
「あの……これ……」
「おー、さんきゅー」
「うっ」
昼休み、学校の購買までお使いを頼まれた僕は、買ってきた総菜パンを奪われるようにして手放した。
そのまま自分のグループに戻っていくその人の背中に、手を伸ばそうとして、やめた。
頼まれた総菜パンは、僕のお金で買っているのに、また今日もお金をもらえなかった。
「……はぁ」
自分の席に戻って、ため息をつく。鞄から弁当を取り出して、ふたを開けた。
節約もあるけど、スーパーなどにある出来合いの食べ物は舌が合わなくて、毎日自分で作っている。本当なら学食や購買にも用はないのに、昼休みになるといつも誰かのグループの食べ物を買いに行かされている。
いじめられている、のだろうか。やっぱりそうだろう。この状況は、いわゆるパシリだ。せめてお金を出してくれないと、弁当で節約した意味がなくなる。
明日こそお金を出して欲しいって言おう、と毎日思っている。思っているだけで、僕は何もできない。
本当の自分が出そうになるのを何度も堪えている。何度も何度も失敗したから、僕は今の自分の中に閉じ込めたむき出しの自分を大事に大事に守っている。
本当の僕は、誰も幸せにさせられない。それに気づかされたから、高校からずっと大人しくしている。意識して、弱い自分を受け入れている。
親に迷惑をかけ続けて、ようやくその境地に達したのだ。もう本当の自分なんて必要な
「――おい橘ぁ!!」
弁当が半分なくなるころ、教室中に僕の名前が響き渡る。
ホワイトボード側の入り口を見ると、うちの高校に近い有名な不良高校の生徒が僕に視線を剥けていた。
「なんですか?」
「てめぇか」//(時間切れ)
二回目
お題『茶色い善意』
必須要素(無茶ぶり)『イギリス』
文字数『1094文字』 未完
タイトル『私の初恋は茶色くて苦い』
私には好きな人がいる。
「鳥山ー。今日はお袋がなんか寄ってけってさー」
「……悟くん。そういうの大きな声でいうものじゃないと思うんだけど」
放課後、いきなり自分のお母さんからの伝言をクラスに人がいる中で叫んじゃうような人だった。
「ええっ!? 鳥山さんと乾くんって、そういう仲なの!?」
「親にも紹介済みって……もう夫婦じゃん!!」
あぁ……中学生になったばかりのクラスでそんなこと言ったら、変に騒がれるのなんてわかってるはずなのに。
「夫婦じゃねぇよ。友達付き合い長いからそんなもんだろ」
「小学校でも、長いことクラスが一緒だったし、家も近かったからね」
「そーそー。よく互いの家に遊びに行ってはお袋にどやされたもんだ」
「それは悟くんだけだけど……」
ちょっと、いやかなり恥ずかしい思いを我慢して平然と答えていると、クラスの女子たちがキャーキャー言い出した。そういうの好きそうだなーとは思っていたけど、自分が恋愛ネタを提供する側になるとは思っていなかった。
「それって、いわゆる幼馴染的な?」
「まさかやったんか!? もう大人の階段上っちまったんか!?」
「いや友達だって。付き合いも小三くらいからだから、幼馴染って程じゃねぇと思うぞ?」
女子とは違って男子は変な盛り上がりを見せている。下品。
そして悟くんは律儀に応えなくてよろしい。
「はぁ。悟くん、帰ろう。おばさん、用事があるんでしょ?」
「おう。なんだっけ……確か料理教えるとかなんとか? うちのお袋で女子力磨いて使いどころあんのか?」
「……だからそういうの言わなくていいから」
生ぬるい視線が一気に増した……。ひそひそと花嫁修業とか聞こえる……。意識しないようにしてたのに……だってうちの両親、料理できない人だししょうがないじゃない。
「悟くん。あんまり学校で仲良くするの、よくないんじゃないの?」
「なんで? 鳥山とは友達なんだから、家に呼ぶくらいいいだろ?」
実は友達って強調されるの、少し傷つくんだけど……。
まぁ、自分の気持ちも素直に伝えられていないから、文句を言うわけにもいかないけどね。
「そうだ、久しぶりにいれてやろうか? 俺の紅茶、前はよく飲んでただろ?」
「あぁ……いらない。あれ激苦だからね?」
思わず嫌な顔をしてしまったけど、実際味は最低なのだ。
悟くんがいれた紅茶は何故か茶色になっていて、渋みがものすごく強い。多分温度とかいろいろ間違えているんだろうなとは思う。
でも厄介なのが、それが私の初恋の味だということ。//(時間切れ)
プロットとしては『いじめられていたところに手を差し伸べてもらって、ついていった家で激苦な茶色の紅茶を飲まされた』、ってシーン一本で書き始めたものです。
前フリが長くなりすぎて経緯の説明ができませんでしたね。やっぱり短編は苦手です。




