1114回目 2022/4/1
お題の趣旨からはちょっと外れる扱いでしたが、『愛した』ことに変わりはないかなぁと思うことにします。
一回目
お題『彼が愛した水』
必須要素(無茶ぶり)『靴紐』
文字数『1186文字』 未完
タイトル『減量ランニング』
「おらー、キリキリ走れー」
「へあっ! ひえっ! ぜうっ! ひゅふぁっ!!」
「なんつー息継ぎしてんのお前」
「うっせ!! チャリ、つか、や、てめぇっ!!」
「えー、切れんなよ。ダイエットするから付き合えって言ったのお前じゃん」
ものすごく遅い速度で走る……走る? まぁ、本人的には走っているであろう徐行速度の肉だるまが、荒い息をそのままにこちらを睨みつけてきた。
っつーかチャリでついてきてるのは事実だけど、ほとんど手押し状態で楽ができているとは思えん。どんだけ足が遅いんだと、早朝ランニングが始まった直後にペダルから足を離したことにこいつは気づいているのだろうか?
「ひょほぅ! ふぇふぃっ! がうるっ! へぶふぉっ!!」
「お前が苦しそうにあえぐ息って、無駄にバリエーションあるよな」
「だぁってろぉああええぇぇぇへぶしっ?!?!」
「あ、こけた」
しかも顔面から……うわー、痛そー。
「息も絶え絶えなのに喋りながら走ろうとするからだよ。ほら、立てるか?」
「……じ、じめん、つめたくて、きもちいい……」
「なるほど、重症だな」
秋口に差し掛かったところで朝も少し冷えてきたとはいえ、体から湯気を発生させるほどヒートアップしているとは思わなかった。見てて飽きない。
というか、さっきいきなり転んだけど足がもつれたりしたのか? ……あー。
「おい、靴紐切れてないか?」
「はひ?」
そろそろ息ぐらい整えろよ、気持ち悪い返事しやがって。
「ほら右足」
「ぅー、あー! あぁぁ……」
「なんだよ面倒くせーなと思いつつ足元を見たらばっちり靴紐が切れててマジふざけんなと思ったけどこれでもう走らなくていい口実が出来たと安心した表情してるんじゃねーよ」
「ひとのかおいろをよむなあぁぁ」
「読みやすい百面相する肉団子が悪いだろ」
っつーかいい加減うつぶせに倒れたままでいるの止めろよ。誰か来たらなんて説明すればいいんだよ?
「まだ休むか? それとももう少し歩いて公園の水でも飲むか?」
「……みず」
「おー、歩くのか。このまま野垂れ死ぬものだとばかり」
デカい体を揺らしながら、かわいそうになってくる膝を叱咤して歩きだす。そんなに水が欲しかったのか?
距離もそこまで遠くなく、亀の歩みながら公園には到着した。
すぐさま水場に駆け寄っていく背中を見届け、走れるんじゃねーかと文句が出てきそうになったのは俺のせいじゃないと思う。
「んぐっ! ぷはっ!! 生き返った!!」
「はいお疲れさん。じゃあ帰りは一人でどうぞ」
「はぁ?! なんでだよ俺頑張っただろ!? 帰りはそのチャリに乗せてくれよ!!」
「悪いけどこの自転車、耐荷重百キロまでなんだ」
「確かにデブだけど百キロまでいってねーよ」//(時間切れ)
二回目
お題『春の投資』
必須要素(無茶ぶり)『右肩』
文字数『1322文字』 未完
タイトル『春と秋を取り戻すために』
「季節保護基金?」
ものすごく胡散臭い話を持ってきたのは、ここ数年音信不通だったらしい近所のお兄さん。大学生って話だけど、学校にも行ってなくて休学状態だったのが、最近になってようやく音沙汰があったとは聞いていた。
でも、一度実家に帰ってきたと思ったら、なにやら変な話を持ってくるようになったそうだ。今の私にしているみたいに。
「そうそう。俺が知り合った先輩がやり始めたNPO法人の活動なんだけど、ちょっとだけでもいいから寄付してくれると助かるんだけどなぁ?」
「えぇ……」
九十パーセント以上の確率で詐欺だとわかる誘い文句に、取り繕う余裕もないまま引いてしまった。
これがマジで詐欺だったら、私のご近所さんは一気に犯罪者扱いされてしまうことになる。何とか踏みとどまらせなければ。
「あの、悪いことは言わないので詐欺は止めた方がいいかと」
「……やっぱり詐欺だと思われちゃう?」
「むしろ詐欺以外のなんだというのかと」
「あー、うん。家族にも友達にもさんざん言われてきた」
はぁ、とお兄さんから重たい溜息がこぼれる。あれ、案外まともな反応のような?
「違うんですか?」
「一応、活動自体は真面目にやってるんだよね。分類としては環境保護団体的な? あ、これホームページね」
お兄さんがスマホで表示したのは、確かにNPOっぽい感じのページ。海外ボランティアのイメージに近いかな。外国の子どもと遊んでいたり、記念撮影していたりする写真がアップされている。
「海外で活動されてたんですか」
「音信不通とか思われてたらしいけど、まぁそういうこと。国際電話は通話だけでも高すぎるから、日本からの連絡をなるべく出ないようにしてたらこうなったみたいで」
「事前にご家族と相談されなかったんですか? それなら少なくとも、プチ行方不明扱いはされなかったんじゃないかと思うんですけど」
「だって恥ずかしいじゃん? 本来の目的が『四季のバランスを取り戻す』って活動なんだし」
「あれ、災害ボランティアとかそんなのじゃなくてですか?」
「それもやってるけど、メインは最初から言ってるように環境保護活動と広報活動かな」
わかるようなわからないような……っていうか、『四季のバランス』って何?
「わかりやすくいうなら、温暖化とか寒冷化とかテレビで言われてるでしょ? 異常気象っつった方がいい?」
「あー、天気予報でゲリラ豪雨とか言い出したころからよく聞きますよね。寒冷化、はテレビじゃあんまり聞きませんけど」
「どっちかはまだわかんないけど、統計データを比較すれば昔と比べて気温差とか災害件数とかは明らかに増えたり大きくなったりしてるじゃん? それに伴って、夏や冬が長く感じたりしない?」
「残暑とか厳しいですもんね。九月の運動会で倒れる生徒も増えたから、六月くらいに変更になった学校も多いとか」
「そうそう。正にそれ。日本だと夏と冬の中間にあたる春と秋が短くなってるような気がするじゃん? 計測した気温も夏日が増えてたりするわけで、やっぱり春夏秋冬のバランスは崩れているんだよ」
うーん、りくつはわかr//(時間切れ)
もっと怪しい方向性に舵を切った方がよかったかもしれません。グラフの『右肩』上がり、とかなんとか言って。ちょっとマイルドにし過ぎたと反省しております。




