1112回目 2022/3/30
ジャンル的にはローファンタジーになりそうでならなさそうなストーリーです。この主人公に目的を与えたら物語にはなるかもですが。
一回目
お題『消えた錬金術』
必須要素(無茶ぶり)『鶏肉』
文字数『1206文字』 未完
タイトル『現代の錬金術師はフリーター』
人間社会の文明は日進月歩。
特に科学技術の発展は著しく、ここ二十年で携帯がスマホに代わったりテレビゲームがVRになったり、まぁいろいろ変化がすごい。
時代の流れがどんどん早くなってついていくので精いっぱいな人間もいれば、ちゃっかり時代の波に乗って一山当てるような人間もいる。
「ラッキー。鶏肉半額だったからチキンソテーにしよ」
ちなみに俺は前者。技術進歩にほとんど取り残された側の人間だ。
毎日のようにバイトして、帰宅してはスーパーで半額シールが貼られた食材で腹を満たすケチなフリーター。
やりたいことはあったが、ニッチすぎる分野で先輩はおろか後輩もほとんどいない。そんな場所に心血を注いだところで、明日の晩飯も買えないんだから世知辛い世の中だ。
「あ、みりん買い忘れてね?」
そう、わざわざスーパーに寄ったっていうのに、買い忘れた調味料があることに帰宅してから気づくんだから、世界ってのは理不尽にできている。
十分ほど調味料のストック棚を探したけど見つからなかった。テンションが下がる。今度はスマホにでも買い物メモを書いて保存しとこ。
「はぁー、しゃあねぇなぁ」
億劫だったから、ちょっと手抜きをすることにする。
上白糖と日本酒をボウルに入れて、後はちょちょっと特殊な素材を砕いて煎じて混ぜ込んで、っと。
「即席みりん完成、っと」
すりこぎで数分混ぜてできたのは、かなり効率が悪いみりんの作り方だ。
なお、これが俺のやりたいことだった錬金術を使った裏技である。
「材料さえあれば、理屈上すべての物質を作れるんだから、便利は便利な技術だと思うんだけどなー」
まぁ、その特殊な素材が希少かつ値段が高すぎて、普通に目的のものを見つけて買う方が手っ取り早いんだけど。
昔は未開の土地が多かったり、豊富に取れた素材があったりして、錬金術もそこそこ発展していた時代もあったらしいけど、人間自身の開拓や乱獲で必要素材が激減。
錬金術師の目標だった賢者の石も、個人で実験する上に研究結果を誰とも共有しなかったせいで素材の消費が一気に爆上がり。供給がストップしたせいで開発を中止せざるを得ない、なんて情けない落ちで夢に消えたんだしな。
「ま、そんな希少素材を買い忘れたみりんの材料にする俺もどうかと思うけど」
若いころは本気で錬金術で世界を取ろうと思っていた時期もあったが、今じゃもう目の前のチキンソテーをいかに美味しく焼き上げるかの方が関心がある。
料理も元々好きだったからな。錬金術は基本的に薬を作る薬剤師的な職業だったからか、実験工程が調理と似通っていてやりやすいのもあった。
それに料理の方が必要な材料を集めるのが圧倒的に楽な時代に生まれたのも大きい。錬金術で必要な物質は錬金術で作ることもできるけど、効果の大きいものを作ろうとすればh//(時間切れ)
二回目
お題『安い本』
必須要素(無茶ぶり)『四国』
文字数『1283文字』 未完
タイトル『古本はやっぱり当てにならない』
「迷った」
古本屋で買った四国ガイドブック、全然役に立たねぇじゃん。
なんか人生観変わるかなと思って、徒歩でお遍路挑戦してたのに、道がわからなくなったら意味ないじゃん。まだ一個も寺院周ってねぇっての。
というか、ここは本当に四国か? スマホも先月通信費が払えなくてただのポンコツになっちまったし、そもそもコンビニでおにぎりを買う金もない。
ニートの思い付きなんてそんなもんだ。貯金もなければ将来性もない。薄々わかってたよ、緩やかな自殺しているんじゃないか、って。
でも、食費を切り詰めて最後に買ったガイドブックくらいは役に立ってほしかったな。俺の人生、最後の買い物もうまくいかねぇのかよ。泣けてくる。
「遭難してるのに、意外と元気なのはどうしたもんか」
メンタルはすでにボロボロに近いのに、体はまだまだ動いてしまう。結構飲まず食わずで歩き回ったはずなのに、息が切れることもないし空腹ものどの渇きもない。
体感ではもう半日は歩き回っているんだけど、眠くもならない。森か山かを歩いて歩いて前に進んでいるけど、一向に外に出られる兆しもない。
疲れないのだけが嬉しいが、それ以外は最悪に近い。もう森だらけの場所は飽きたよ。土の地面もうんざりしてきた。コンクリートの道路が恋しい。コンビニに行きたい。買う金ないけど。
「お」
無言で黙々と歩いていたら、ようやく出口らしい光が見えた気がした。木々の合間から差すのは日光か人工灯か。頭上なんか大きい枝葉の傘で太陽がさえぎられてて、今が昼か夜かもわからない。
ずっと暗闇の中を歩いていたから、かなり心細かったんだよな。ひとまず光がある方に出て、ちょっと休もう。引きこもり気味だった体に徒歩行脚は無理があったんだ。
進む。根っこが邪魔だな。またいで乗り越えて跳び越えて……木の根っこデカすぎじゃね? 樹齢何年の木なんだよ? もう森の外に出るからいいけど。
進む。光が大きくなってきた。少し休むって決めたけどいつまで休もう? ひと眠りして自然と起きるまででいいか。もう黙々と考えるのも面倒になってきた。
進む。ようやく光に手が届く。ずっと暗いところにいたから、かなり眩しく感じる。太陽を直接見ないように手でひさしを作って、え?
「どこここ?」
少なくとも四国じゃない。青い葉っぱの木なんてあるわけないし。コウモリみたいな羽根をつけた爬虫類が空を飛ぶわけないし、山みたいなイノシシが大木を咀嚼しているわけがない。
急にファンタジー世界が目の前に現れた時の対処法って、誰かわかるモノなんだろうか? 一応、四国ガイドブックを開いてみたけど、さすがに載っていなかった。
「観光ブックにしておくべきだったか……」
とりあえず、有言実行はしないと。少し森側の暗いところに戻って、適当な木を背もたれに休むことにする。
「あー、えー、とりあえず、仮眠を取ったら来た道戻ろう」
さすがにこれ以上の前進をやりたいとは思わない。空飛ぶ爬虫類もそうだし、バリボリ森を食ってる猪にも//(時間切れ)
異世界転移物って割とこんな冒頭が多かったような気がします。この作品ではそのまま来た道戻って元の場所に帰れる予定で書きましたけど。




