1103回目 2022/3/21
『演技』と見たらすぐに『嘘』と連想するあたり、私の思考回路はやや捻くれているのかもしれません。
一回目
お題『わたしの嫌いな演技』
必須要素(無茶ぶり)『2000字以上』
文字数『1345文字』 未完
タイトル『嘘に耐えられない女』
わたしは嘘が嫌いだ。
それが悪意のあるものでも、善意のサプライズでも、見え見えの下手くそな演技を見せられるから。
「ごめんなさい」
「な、なんでだよ?! いきなり別れたいって、理由くらい教えてくれよ!!」
「言っても納得してくれないだろうから、言わない。じゃあね」
これで何人目だろう? 恋人に下手くそな演技を見せつけられたのは?
今回は、何だったんだろう? 今日は確か、彼が私に告白してきて1カ月だっけ? 記念日ってやつ? それであんなそわそわされてたら、百年の恋も冷めるわ。
「ただいま」
ちょっとお高めだったディナーを抜け出して、帰ってきたのは華やかな男遍歴に不相応な安アパート。住むところにも食べるものにも持ち物にも、あまりお金を使う必要性が感じなかったから、気づけばこんな生活になった。
コース料理の半分も食べずに帰宅したから、お腹減ったな。またスーパーの半額総菜でも狙おうかな?
「いつまでこんな生活続けるんだろ、わたし?」
オシャレ着から普段着に着替えて、近くのスーパーで色が変な刺身をかごの中に入れる。
わたしは嘘が嫌いだ。それは人がつくものも、自分がつくものも同じ。
人は皆、誰しも嘘を吐くときに変な行動を取る。大きなものであれ小さなものであれ、普段の行動とは違う確かな違和感をサインとして出すからだ。
わたしはそれが、昔から見つけるのが上手かった。上手すぎた。
くだらない嘘から重要な嘘まで、分別のつかなかった子どもの頃は全て言い当てて、親からも気味悪がられた。
あぁそう、父親が浮気していて離婚騒動になった時も大変だったな。どっちも親権を放棄したがって、わたしを押し付け合って、怒鳴り散らして。
でも、普段見せていた両親の姿より、悪魔のような顔で罵倒し合う両親を見ている方が安心していた。どちらも下手な嘘をつかず、正直に言葉をぶつけ合っていたから。
下手くそな嘘で表面を取り繕われるより、よっぽど人間らしいと思った。唾を飛ばしながら汚い言葉を吐き続ける方が、気持ち悪い笑顔で嘘を垂れ流す口よりよほど素敵に見えた。
そんなわたしだから、人間活動に支障をきたすのだろう。
「ありがとうございましたー」
レジを通した食品を、以前に購入したレジ袋を取り出して詰める。
店内アナウンスでは、もうすぐ閉館の時間だからさっさと帰れ、とうるさい。もうすぐ出ていくんだから、静かにしていろと言いたい。
仕事は何回も変えた。幸い、要領がよかったのかどこの仕事でもすぐに成果を出せたが、いかんせん人間関係ですぐにつまずいてしまう。
同僚にも部下にも上司にも、下手くそな嘘を吐くやつ相手に割く労力を減らしていったら、どこの職場でも仕事が回ってこなくなった。
そうなってからは会社から辞職を促されるか、自ら辞表を書いて去るのが通例。仕事がなければ金を稼げない。さっさとやめてしまった方が双方の時間を無駄にせずに済む。
かわいげのない考え方だとわかっていても、わたしはわたしだ。自分を変える事なんて、そうそうできることじゃない。
「ただいま」
二度目の帰宅も、返事はない。独り身には慣れている。//(時間切れ)
二回目
お題『消えた霧』
必須要素(無茶ぶり)『血痕』
文字数『1280文字』 未完
タイトル『神隠し』
東京は色んな人やビルがごみごみしていて騒がしい場所だし、それ相応に事件や事故も多いけど、だからといってこんなものがすぐに見つかるほどヤバイ街じゃなかったはずだ。
「……血痕?」
学校からの帰り道、ふとアスファルトの地面に見慣れない模様を見つけて目を凝らすと、見るからに血の跡らしきものがぽつぽつと続いていた。
「け、ケンカでもあったのかな?」
ビビりながら少しだけ跡をたどると、すぐ横の路地裏に続いていた。
思わず後ずさる。ケンカして鼻血出した、くらいだったらいいけど、万が一刃物とか持ち出した事件だったら、巻き込まれるのが怖い。
「ど、どちらにしても、けが人はいそうだし、声をかけるくらいは、してあげた方がいいよね……?」
一人で下校してたから、誰に聞くでもなく自分に言い聞かせて、血痕が続く路地裏に顔を覗かせる。
「あ、あのー。誰かいますかー?」
呼びかけてみたけど、返事はない。隣同士の建物の距離が近いのか、路地裏は暗く先の方もあまり見通せない。
窓や配管みたいなのが壁についていて、室外機が通るのには邪魔そう。血の跡もなくなってくれていないかなー? と淡い期待を持ってみたけどやっぱり奥に続いているみたい。
「様子を見るだけ。見るだけだから……」
防犯用に持たされたスマホで、すぐに119へ連絡できるように準備をしてから、怪しげな路地裏に足を踏み入れる。
ネズミとかゴキブリとかいないみたいでよかった。ああいう汚い動物って嫌いなんだよね。それに、ゴミ袋とかもなくてよかった。臭いのも嫌いだし。
「大丈夫ですかー?」
ぐいぐい路地裏を進んで度胸がついたのか、少し声を大きめに張ってみる。相変わらず返事はないけど、血痕も相変わらず足元に点々とついたまま。
早く様子を確認して戻ろう……と思っていたところで、変なことに気付いた。
「あれ? ここ、こんなに長い道だったっけ?」
時間まで計っていないから自信ないけど、もう数分くらい路地裏を歩いていない?
それに、いつの間にか霧みたいな蒸気が周りに漂っていて、薄暗い上に視界がさらに悪くなっていた。
「っとと……へ?」
極めつけは、ちょっとバランスを崩して建物の壁を支えにしようと伸ばした手が、何も触れずにするっと通過したこと。
私はずっと路地裏を歩いていた。両腕を伸ばせば簡単に両側に手がつくほどの隙間しかない路地で、何も感触がないなんてどう考えてもおかしい。
「え? なにこれ? どうなってるの!?」
軽くパニックになって走ってみれば、もうここは路地裏なんかじゃないと嫌でも理解させられた。
アスファルトが地面になっていて、でも血痕は消えてなくならないまま。走っても走っても室外機にぶつかることもなく、空き缶みたいなゴミもない。
霧は一層深くなっていく。完全に迷子になった自覚はあるのに、どこを迷っているのかすらわからない。
「そうだ、スマホ!!」
しばらく走り回って、ようやく冷静さを取り戻したところでてもとの//(時間切れ)
思いついたシチュエーションだけなぞった感じです。ストーリーとかまるっきり考えずに書いたので、今後の展開は私も知らないままです。




