1075回目 2022/2/21
ここまでひどくはなくとも、私生活は自分のものと通ずるものがあります。私はダメ人間です。
一回目
お題『わたしの好きな昼』
必須要素(無茶ぶり)『個室』
文字数『1180文字』 未完
タイトル『不自由な生き様』
人は集団生活をする生き物だけど、集団の中で苦痛を感じる人間もいると、どれくらいの人間が知ってるだろう?
少なくとも、わたしの家族は理解してくれなかった。
「……はっ」
短く息を吐いてみる。意味はない。でも、寝転んでただ天井を見上げるだけの時間が、とても贅沢なものだと感じて頬が緩んだ。
わたしは一人が好きだ。むしろ誰かと一緒の方が苦痛だから、一人が好きになったんだと思う。
騒がしいのが嫌いで、目の前を動き回るのが気持ち悪くて、鼻につく臭いが耐えられなくて、触れられただけで虫唾が走った。
わたしは生まれつき、人間を拒絶していた。そうとしか思えないほど、過剰に他人の存在を忌避してきた。
成人した今でもそうだ。リモートワークで事足りる仕事を必死に探し、休みの日には家の中で一人、何もしないで無為に過ごすことがとても楽しい。
趣味らしい趣味も、ついにできなかった。一人でできるインドアの趣味を中心に色々手を出したけど、人と関わるのがどうしてもキツくて、やめてしまう。
一番長く続いたのは読書だったけど、本屋で店員から釣り銭をもらう時、指を触られてから本自体が嫌いになった。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、みたいな。
わたしの趣味遍歴は、だいたい似たような理由で終わっている。わたしの人間性が悪いのか、持って生まれた感性が間違っているのか。
それでも、わたしは孤独を愛している。たとえ衣食住のすべてに人の手が加わっていて、ただ生きているだけでも人間と間接的に関わっていると知った上で、わたしは一人が大好きなのだ。
「無趣味って、楽だな」
天井から視線を部屋の中に戻すと、ワンルームの室内には物がほとんどなかった。ミニマリストと言っても嘘にはなるまい。
服は数着を着まわして、食事は一日に一回デリバリー。生活雑貨もネットスーパーで、たまの運動は部屋の掃除。
前は深夜帯に散歩していたこともあるけど、変な人に絡まれてから極力部屋を出なくなった。それこそ震災でもなければ家から出ようと思わないだろう。
そういえば、郵便受けを確認したの、いつだっけ? 両親からの手紙が催促状みたいに突っ込まれてたのを見た時から、あまり郵便物を確認しなくなった。
わたしの親は、多分一般的な娘の愛し方をしていたと思う。あの人たちは悪くない。いびつなのはわたしの方。
そう言っても、あの人たちは理解してくれなかった。『自分たちの育て方が悪かった』と、見当違いな罪悪感でわたしに謝ってくるのだ。
気持ち悪かった。親の気持ちがわからないわけじゃなくて、泣きながら謝る親に対して嫌悪感が出た自分に吐き気がした。
親でさえこうなのだ。わたしは人と関わっちゃいけない。
それに気づいたのが中学生の時で、良かったと思う。こうこ//(時間切れ)
二回目
お題『同性愛の魚』
必須要素(無茶ぶり)『直木賞』
文字数『908文字』 未完
タイトル『同性愛はバグか仕様か?』
動物の遺伝子に組み込まれたプログラムに、果たしてバグは存在するのだろうか?
「ってのを聞いてみたいなぁと思って」
「生物学なら大学行って勉強しろ。俺にはわからん」
高二の期末テスト明け、友達の家に押し入って緩みきった休日を過ごしていたのに、無下に突き放された。
手元の小説に落としていた視線を持ち上げ、パソコンでネットサーフィンしている友達の背中にちょっとした怨念を送ってみる。
「なんだよー、話くらい聞いてくれたっていいだろー」
「万年成績上位のやつと話し合わせるこっちの身にもなれ。俺の前回のテスト結果、教えたよな?」
「下から数えた方が早いのは覚えてる」
「黙れガリ勉。二度とその口を開くな」
「逆ギレかよ!」
同年代にしては落ち着いている考え方や性格のわりに、学校で査定される成績がよろしくない彼は、何かにつけて成績でコンプレックスを刺激されるらしい。
別に学校が示した指標が世の中の全てじゃないだろうに。狭い考え方で生きていたら息が詰まるだけだって、何度言っても嫌味として受け取るからなぁ。
「で、なんの話だ?」
「ん? あぁ、この本の話」
「……『同性愛の魚』?」
「知らない? 何年か前に直木賞取ったやつ」
「あいにく小説なんか読んだことがない。感想を語り合いたいなら他を当たれ」
「や、語りたいのは中身じゃなくて、『同性愛』の方」
瞬間、彼はガバッ! と音がしそうな勢いで回転椅子を動かし、眉間に皺を寄せた顔をこちらに向けた。
「ま、まさか……カミングアウトか?!」
「違うよ。最初になんて聞いたか、覚えてない?」
「お、おおお俺はノンケだ! 貴様の毒牙になどかからんからな!!」
「おーい、話聞けー」
しばらく興奮して取り乱した友達を眺めていたが、やがてトーンダウンして耳を傾けるくらいの余裕が生まれたらしい。
パソコン画面を一度フリーズしてから、彼は膝の上にひじを乗せて、彼の部屋の床に寝転ぶこちらを前のめりに見下ろしてくる。
「はぁ、まったく紛らわしい……生物学の話だったか? それがどうした?」
「いやね、このしょうせつの//(時間切れ)
お題がそのまま本のタイトルっぽいなと思いました。もちろん、そんなオサレ感があるタイトルで私は書けませんけど。




