1071回目 2022/2/17
『○○(国名)式の』ってお題、めちゃくちゃやりづらくてどうしたらいいのかいまだにわかりません。
一回目
お題『ロシア式の螺旋』
必須要素(無茶ぶり)『コーヒー牛乳』
文字数『815文字』 未完
タイトル『マトリョーシカ・サークル』
銭湯の後はコーヒー牛乳と決めている。
ラベルを剥がして一気飲み。手は腰に当てなくてもいいけど、飲んだ後は口元を腕でぐいっとぬぐう。
これが毎晩のルーティンで、良くも悪くも代わり映えしない私の日常。
ただ、今日はちょっと、いやかなり、奇特な出来事が間に挟まってきた。
「……こわっ」
いつものように銭湯で汚れと疲れをさっぱり落とし、脱衣所に戻ってきたところで、床に置かれた人形に気付いた。
同じ顔と、色違いの格好をした、ボウリングのピンみたいな人形が大小いくつも直立している。
「マトリョーシカ、だっけ? なんでこんなとこに? イタズラ?」
中身が空洞になった大きな人形の中に小さな人形を入れていき、最終的に結構な数が出てくるロシアの民芸品。
それがバスマットの上に、螺旋状に置かれていた。一番小さい人形を中心に、反時計回りに大きくなっていくマトリョーシカは、全部お風呂場の方に向いていて普通に怖い。
小さい子のイタズラを疑ったけど、さっきまで湯船に浸かっていた光景から子供はいなかったように思う。
むしろ中学生の私が最年少だ。あとは年配の人がほとんどで、ほぼ全員が顔馴染みでもある。
こんな奇妙なイタズラをするような人なんていないし、いたとしても意味がわからない。
何かの儀式と言われても納得してしまいそうなそれは、じっと女湯へ視線を向けている。
「……マトリョーシカも女の子だから、なんて慰めにもならないよね」
相手は人形とはいえ、あまりいい気分にならない。出入り口に突っ立ってるのも邪魔だし、さっさと着替えようと自分のロッカーに足を向けた。
「やっぱ邪魔だし、片付けとこ」
が、妙に気になって先にマトリョーシカを回収しようとしゃがみ込む。
「あれ?」
そこで初めて、マトリョーシカがバスマットに固定されていることを知った。
真ん中の一番小さなにんぎょう//(時間切れ)
二回目
お題『今度の内側』
必須要素(無茶ぶり)『ハロウィン』
文字数『879文字』 未完
タイトル『この世の内側』
ハロウィンはもともと、正月とお盆を足したような時期だった。
仮装をするのは、現世に現れた死者や魔女などの目をごまかす、あるいは逆に脅かすため。
弱い気を見せれば、こちらが冥界に連れていかれるから、自衛手段として化け物の扮装をしたのだという。
今じゃホラー要素があるならなんでも、みたいな感じではある。いや、むしろホラーなんて関係ないアニメやキャラクターの仮装で町を練り歩く人ばかりだ。
本来の霊的かつ恐怖も混じって迎えられたハロウィンは、ほとんどの人から忘れ去られているのだろう。
だから、突然目の前に突きつけられてようやく、思い出すんだ。
現世と冥界、彼岸と此岸は、陸続きの場所にあるのだということを。
「……え?」
例えばこの男。
先ほどまでとある都市のハロウィンイベントに参加していたのだが、突然その場から姿を消していた。
次に男が気づいた時には、誰もいない澱んだ空気の墓地に一人で佇んでいた。
「なんだこれ? サプライズのイベント?」
これを人為的なものと判断した男は戸惑いをすぐに消した。
だが、これは超常的な位相のズレであり、超自然的な災害である。
タネも仕掛けもあるが、人類ではまだ到達し得ない領域の現象。
研究者でもなければ頭を使うこともない男にとって、現状を把握できる可能性など全くのゼロだ。
「おーい! 誰かいないのかー!? イベント会場まで戻りたいんだけどー!?」
迂闊にも男は大声をだして歩き回る。すでにこの世ではない場所で自らの存在を知らせ、あの世の出入り口になりうる場所から自ら離れていってしまっては、もう生還の希望さえ望めない。
冥界において、生者はプラスエネルギーの塊だ。マイナスエネルギーに満ちた世界において、とても煩わしくも魅力的に映る。
磁極と同じく反発するからこそ惹かれ合う。
男の周りには、マイナスの死者が溢れかえっている。
「誰かー! あ……ぇ?」
ここは墓地だ。
墓地とは死者が眠る場所。
そう……眠るのならば、いつかは//(時間切れ)
『ハロウィン』の前身であるケルトの『サウィン』について調べたことがあるので、ちょっとだけ知識があったりします。やはり創作において知識は力ですね。




