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106回目 2019/6/29

 いろいろな情報に触れるということは、新鮮でありながら危険でもあります。


 頻度(ひんど)こそ多くはないが、『なろう』以外で創作意欲を刺激するものに出会うことがある。


 なお、私が『なろう』をよく利用するのは『慣れ』と『無料』という、あまり積極性があるとは言えない理由が大きい。(他にもテレビやネットも『手軽さ』という面で優れているため、利用率は高い)


 まあ、何にも興味を示せず(から)に閉じこもるよりはマシだろう。そう自分に言い聞かせることにする。


 ともかく、手段や質はともかく、創作意欲(モチベーション)を上げるためにいろんな情報に触れようとするのは、割と昔からの傾向だった。


 その中でも、特に『面白い』と思えた作品(小説、マンガ、アニメ、映画など)に出会うこともある。


 だが私の場合、心に生じる効果が正反対の二者択一なので、受け止め方には注意が必要になる。


 一つは、『自分もこんな作品を書いてみたい!』という単純なあこがれからくる反応だ。


 こちらは純粋な尊敬を抱ける反応になるため、今後の目指すべき目標としてその作品を置き、創作意欲(モチベーション)を向上させる効果を見込める。


 その作品に見いだすのは、私がおぼろげに掲げる『理想の欠片』を感じさせる要素なのだろう。


 それはたいてい、『自作に取り入れたい技術・知識・感性』などで、『その作家自身になりたい』というよりは『自分の目指した形になりたい』という欲求の方が強まり、発奮(はっぷん)材となるのだ。


 ちなみに、こんな考えだからか『到達点』という意味で尊敬する作家はいなかったりする。ここを見習いたいのはこの人、そこを取り入れたいのはこの人、という風に技術・能力別に目標を設定しているフシがある。


 何とも不純な見方で先達(せんだつ)を評価しているが、そういう人間もいると思って大目に見てもらおう。


 もう一つは、『こんなにすごい作品があるなら、自分の作品なんて無価値なんじゃないか?』というひねくれた嫉妬(しっと)のような反応だ。


 こう感じる大きな理由の一つとして、無意識に『無い物ねだり』をしていると思われる。その作品と出会った瞬間の私ではとうてい真似できない優れた技術を前にして、劣等感を強く刺激されるのだ。


 つまりは、『努力しても近づけない(と思ってしまった)能力』をうらやましく感じながら、習得を最初から諦めている状態と言えよう。


 正直、自分でも『気にする必要はない』と気づいているが、感情の方が理性と折り合いをつけてくれないのだから仕方がない。それがドツボにはまれば、簡単に腐ってしまってやる気を失ってしまうのだ。


 このように、『面白い作品』は私の創作意欲(モチベーション)を引き上げる発奮(はっぷん)材でもあり、自信を喪失させる消火剤にもなりうる諸刃の剣である。


 しかも、自分ではそのどちらへ転ぶか予測ができず、コントロールも不可能なのが厄介さを引き上げている。


 常に発奮(はっぷん)材として作用させられればそれに越したことはないが、時々何も手に着かなくなるほどの消火剤とぶち当たることもある。


 私がどちらに転ぶかは、本当にふたを開けてみるまでわからないのだ。勝手にやる気になったり落ち込んだりと、簡単に揺れ動くメンタルには自分も手を焼いている。


 小説は一応、文芸――芸術の分野としても扱われる。他人と比較してもメリットはほとんどないから気にしないように、と頭では理解しつつ誰かの目を気にせずにははいられない性格は変えられない。


 私が形成してきた『感性の価値』を私自身が『絶対評価』で認めることができれば、世に出るすべての傑作(けっさく)発奮(はっぷん)材になりえるだろうに。


 私の面倒くさい心の機微(きび)などとは無関係に、私にできることはきっと『物語を書くこと』だけである。


 私は己の矮小(わいしょう)さを受け入れながら、自分の価値を見つけるために壮大な空想(ホラ)を語っていくのだ。


 結局は受け手の扱い方や飲み込み方次第ではあるのですが、私は人よりその能力が低いのかもしれません。


 仕入れた情報をうまく処理して、私に適合した形へとチューニングすることが下手なのでしょう。


 薬にも毒にもなるのは、何も物質に限った話ではないということですね。


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