1035回目 2022/1/12
私の場合、電気羊の夢は見ませんでした。そしておそらく、タイトルの浅さは随一になった自覚があります。
一回目
お題『いわゆるロボット』
必須要素(無茶ぶり)『全身脱毛』
文字数『893文字』 未完
タイトル『アンドロイドは全身脱毛の注文をするか?』
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「全身脱毛ヲオ願イシマス」
「帰れアンドロイド」
いつもニコニコ100%の接客で、全身脱毛を所望した金属肌のツルツルボディ持ちに言ってやった。
新たな労働力として人型のアンドロイド、いわゆるロボットが普及してしばらく経つ。
人型というのが案外ミソで、接客なんかの人が必要だった場所はもちろん、ロボットアームでは難しいような場所を選ばない作業ロボとして多方面で大活躍。
AIも急速に発展したことにより、見た目こそマネキンに近い感じだが人間と同じように活動することが多くなった。
昔はゲームや映画の世界だったものが現実になったのだ。まぁ、昔の映像を見るまでは知らなかったけど。
ただ、発達しすぎたAIは時によくわからない行動を取ることも多くなった。
今回のこれも意味不明行動の一種だろう。
「全身脱毛ニキマシタ」
「だからあんた脱毛する毛根ねぇだろ」
さっきから何度も笑顔で帰れと命じてるんだが、一向に引く気配がない。
現在流通しているアンドロイド用のAIはヒューマンラーニング、簡単に言えば人間観察で必要な学習を行なっている。
人間の会話や動作、感情的な反応をインプットし蓄積していくことで、より人間と同じ細かな仕事に従事できるようにと開発された機能だ。
が、そうすると人間特有でありながらアンドロイドには不要な行動を学習してしまう時がある。
全身脱毛は社会人のエチケット、などと吹き込んだ人間がいるのだろう。または、そうした会話を影で聞いていたか。
労働用アンドロイドは細かな融通が効かない欠点がある。全身脱毛はレアケースだが、散髪や歯科受診などはよく見られるエラー行動なのだとか。
「えぇっと、人間は時に清潔感を表さないといけない仕事があるけど、アンドロイドには求められていない要素なんだ。だから君たちは全身脱毛などする必要はない。わかったか?」
「……了解シマシタ」
「わかったなら、ついでに他のアンドロイドとも共有してくれ。君たちに全身脱毛などひつような//(時間切れ)
二回目
お題『気高いユートピア』
必須要素(無茶ぶり)『400字以内』
文字数『398文字』 完結
タイトル『理想論者の理想郷』
ユートピアに多様性はいらない。
理想郷と訳されるように理想そのものであるべきだ。格差も差別も腐敗も対立も、あらゆる負の側面は必要ない。
平等、統一、清純、共同。誰もが理想のために動き実現させるために生きる社会。
そこに飛沫一つの汚点さえ許されない。
ユートピアは純白で無垢で静謐であるべきなのだ。
「潰せ」
故に、どこからか湧いて出た汚濁は消し去らねばならない。
貧困を理由に建物の陰に潜む害虫を、個人主義を表明して人々に優劣をつける俗物を、快楽を餌に民衆を堕落に誘う悪魔を、あらゆる甘言に身をやつした亡者を。
一つ一つ、チリすら残さずプチプチと潰し、間引いて、管理して、ようやくユートピアは正常を保てる。
「うるさい蝿どもが」
銃の音も、臭いも、悲鳴も、腐臭も、肉片も瓦礫も何もかもが相応しくない。
もっともっと浄化せねば。
理想を遂げるために。
どうしても『気高いユートピア』をイメージすると、完全管理社会のディストピアしか思い浮かびませんでした。




