1019回目 2021/12/27
一応完結設定ですが、半分以上続ける自信がなくなったので強引に終わらせた、が正しいです。
一回目
お題『オチは職業』
必須要素(無茶ぶり)『FX』
文字数『717文字』 完結
タイトル『天職』
「お金持ちになりたい方が、今とるべき一番の手段は資産運用です。為替、FX、投資信託、デイトレードなどなど、株式運用にも種類がありリスクやメリットは一長一短ですが、ご自身の資産状況から最適な運用方法さえ見つかれば、確実に大金をその他にできます!」
黒だな、ここ。
株式運用に確実や絶対はない。小さな講演会でも、詐欺まがいな言い回しをすれば、最悪しょっぴかれるぞ。
っていうか、詐欺師にしてもそんなことさえ知らない奴らなら三流か? 劇場型でやるにしても、ディテールはしっかりしておかないとボロが出やすいだろ。
「では、ここから質疑応答の時間とさせていただきます。今回の講演内容から、興味を持った点や疑問点などはありませんでしょうか?」
これ以上は話を聞いてても意味ないか。
時間の無駄だったな。帰って次の調査対象でも見繕うか。
「あ、お帰りですか?」
「はい……俺には少し難しかったようで」
会場から出る時、受付をやっていた男に声をかけられた。
面倒臭い、が、ここで目立つようなことをしたら顔を覚えられる。
せっかくの十人並みな見た目だ。有効活用するに限る。
「そうですか……ちなみに、ご職業は?」
警戒されている? いや、単に唾をつける顧客か確かめているだけか。
いいだろう、ここは正直に答えてやる。
そうすれば、こいつも俺への興味を失うだろうからな。
「はは、三十六にもなってフリーターですよ」
「あ、そうですか」
こうして、俺はあっさりと解放された。最後に見えたあの興味が一切削ぎ落とされた顔、思い出しただけで笑えてくる。
やっぱり、趣味の探偵ごっこはやめられない。
二回目
お題『今度の火事』
必須要素(無茶ぶり)『挽き肉』
文字数『869文字』 未完
タイトル『連続放火魔はここにいる』
「聞いた? また火事だって」
「このところ立て続けに四件も……やっぱり本当なのかしら、放火魔がいるって噂」
「うちの旦那が消防官なんだけど、放火の可能性が高いらしいよ。犯人、早く捕まればいいけど」
田舎寄りの地方都市では、連続で起きている火災の話題が広まりつつあった。
一ヶ月で四件。意図的でなければ多すぎる火事は、各々が気をつけなくても起こる人災の可能性が高い。
しかも、今のところ被害者同士に共通点はなく、完全な無作為で選ばれている可能性が高かった。
姿を見せない連続放火魔の影に住民たちは怯え、声をかけ合っている。
「ありがとうございましたー」
そんな暗い雰囲気が漂う町でも、商売人はいつものように営業スマイルを浮かべている。
近所でも評判の精肉店である『ブタクサ』の店主も、不安げな主婦たちに愛想を振り撒いていた。
「ったく、どこの誰だか知らないが、放火だなんてはた迷惑なやつだ。通り魔でもねぇのに客足も少ないし、商売あがったりだよ」
「仕方ないですよ。犯人の特徴もわからないんでしょう? もしかしたら隣にいる人が犯人かも、って思ったら怖いですって」
ため息をつく店主に答えたのは、店の奥で挽き肉を作っているアルバイトの青年だった。
『ブタクサ』は元々夫婦での経営だったが、半年ほど前から店主の妻が腰を痛めてしまい、臨時で従業員を応募した時に採用されたのが彼である。
「確かになぁ……最近じゃ、町内会でも夜の見回りをするかって話になってるくらいだし、みんな怖いのは同じかぁ」
「放火された家が全部金持ちだった、とかなら安心できる人もいるんでしょうけどね。二件目が一般家庭でしたし、三件目では死者も出ちゃったんですよね?」
「おうよ。まだ小さい息子さんだったそうだ。かわいそうに、奥さんはうちの常連だったのに、あの火事が原因でまだ入院してるってよ」
「……許せませんね、犯人」
「まったくだ」
青年は挽き肉用のマシンを止め、店主は人がまばらな通りを眺めてため息をつく。
き//(時間切れ)
タイトルで『ここにいる』とか言っておきながら、時間内に書けたのは登場人物だけでした。まあ、二者択一でどっちが放火魔かは皆様のご想像にお任せするということで……。




