1004回目 2021/12/12
この主人公に共感を寄せている自分がいる時点で、精神的な危うさが透けて見えますね。やばいです。
一回目
お題『愛すべき場所』
必須要素(無茶ぶり)『1万字以上』
文字数『1123文字』 未完
タイトル『根無草の寝床』
昔から一つの場所に留まるのが苦手だった。
親の影響が強いんだろう。借金があって、夜逃げを繰り返して、友人はもちろん馴染みの場所なんかも作れなかった。
成人してからも、幼少期の暮らしは影響した。団体行動が取れない、思いやりが持てない、自分のことで精一杯になってしまう。
孤立するのはすぐだった。それを当然だと思ってしまっていた。
俺は致命的に、社会生活に向いていなかった。
「……今日はこれだけか」
日雇いのフリーター。その日暮らしというには貧しくてみすぼらしい生活を、ずっと続けている。
ひと所に留まれないとはいえ、アパートにさえ居付けない自分には笑いが出た。自分一人の面倒さえ、同じ場所で見られないのか、と。
寝床もそうだが、職場も同じところより別々の場所の方が性に合った。その場限りで途切れる人間関係に安堵した。
そんな自分を自覚してより、自分の社会性の欠如が浮き彫りになる。
どうしようもない異物感。人間の皮を被った獣のように自分を錯覚する。
「ありがとうございましたー」
コンビニから出た俺の手には、ペットボトルのお茶とおにぎりが二つ。
燃費がいい、と言えばいいのか。昔から小食だった俺は、たったこれだけで一日中動き回れる。
人より食費がかからないのは、日雇い労働者の身分としてはありがたい。かといって、他に金をかけたいところなんてないが。
「ごゆっくりどうぞー」
宿はほとんどがネットカフェだ。同じ場所にはなるべく行かず、会員カードばかりが無駄に増えていく。
荷物を適当に置き、飯を食べればさっさと横になる。
盗まれて困る荷物はない。強いて言えば現金くらいか。通帳なんか作る気もなく、これまでの稼ぎを全て現金で手元に置いている。
不思議と、金に執着はない。生きていけるだけの稼ぎがあればいいと、盗まれたところで被害届も出さなかった。
もしかしたら、俺はこの世に未練がないのかもしれない。自分を大事にしないのも、この世に留まる意欲が欠如しているからだ。
死んだら死んだで構わない。こんな人間がまだ生きているなんて、笑えてくるな。
荷物を抱えて、布団をかぶって、丸くなる。
あぁ、そう。唯一、寝るのは好きだ。
自分がどこか遠いところへ行く感覚。ここじゃないどこかへ吸い込まれるような感覚。
強制的に一人になれる場所へ、いつもたどり着けるから好きになった。
俺は夢の中でさえ、何も持ち込むつもりがなかったらしい。人も、建物も、動物さえ、寝ている間は現れなかった。
場所はいつも違う。
草原の真ん中だったり、森の中だったり、すきとおる//(時間切れ)
二回目
お題『奇妙な時雨』
必須要素(無茶ぶり)『豚肉』
文字数『954文字』 未完
タイトル『止まない時雨』
「……長いな」
「というより、多い?」
外を見ながら話しているのは、昼ごろから降り出した雨のことだ。
時雨、ってやつかと思ったのに、降っては止みを繰り返してもう夜だ。
天気予報では晴れだったし、ヤスとぶらぶらしようと思っていた予定が、ずっと家で過ごす羽目になった。
で、外に出る気力も失せて晩飯を作ることになり、豚肉があったから豚玉を作っているところ。
キッチンが狭い上に味音痴のヤスを追い出して、せっせとお好み焼きを焼く俺の甲斐甲斐しさに涙が出そうだ。
「あれー?」
「どしたー?」
「なんか今日、他のところは結構いい天気だったっぽいよ。ネットニュース見てたらそんなん見つけた」
「は?! 何だよそれ?」
ちょうど皿に盛った豚玉のタワーを机に置いたところで、スマホ見ながらくつろいでたヤスから衝撃の事実を知る。
一言断ってスマホを見せてもらうと、たしかにこの日の同じ地域でイベントがあったらしく、屋外の画像がニュースで取り上げられていたが快晴だった。
「……マジじゃん」
「なー? ここはまだ降ってるのに、どういうことだ?」
カーテンを開け放したままの窓を見れば、しとしとと時雨がベランダを濡らしている。
「まさかとは思うけど、上階の人が水撒きしてただけだったり?」
「いや、昼からずっとやる水撒きってなんだよ? 趣味にしても仕事にしてもだるいだろ」
山になった豚玉を二人で崩しつつ、首を捻って窓の外をチラチラ見る。
でも、同じ地域なのに俺たちがいる場所だけ雨が降り続けてるのは、やっぱり気になる。
「むぐむぐ……飯が終わったら見に行ってみる? ずっと家の中にいたから、散歩もかねてさ」
「だなー。あ、後片付けはやってくれよ」
「りょうかーい」
結構腹が減っていたのもあって、すぐにお好み焼きタワーを攻略した俺たちは、皿を洗ってから外に出てみることにした。
「……やっぱ降ってんな」
「よかったね、ご近所トラブルとかじゃなくて」
「嫌がらせだったらマジでクレーム入れてたところだ」
まず空を確認すると、薄く雲が張っているのが見えた。手を差し出してみると、ポツポツと弱い雨粒が当たってくる。
互いに傘を持ってアパートを出た。//(時間切れ)
こういう友達とだべって一日無駄に過ごすみたいなの、雰囲気が割と好きなんですけどわかる人います?
まあ、私の場合一日他人と一緒にいたら気疲れして、翌日以降は引きこもりになりがちですが。




