人類の未来はおっさんに託された。
堕落したニート生活を送っていた佐藤ヒロ。三三歳。しかし、突然拉致され異世界から来るモンスターとの戦闘に巻き込まれてしまう。
亜人との交流が二〇年前から始まり紆余曲折あったものの、今は日本人として多くの亜人が暮らしている。
ヒロは幼少期からアクシスの管理下に置かれ監視されて生活されていた。すべてはエースパイロットになるためだった。しかし、世間から離れて二〇年彼は体は大人頭脳と体力は子供のままだった。
今日もまとめサイトを素早くチェックし、2chにレスする。モニターが二つあるのは、アニメを横で流しながらレスするためだ。
「忙しすぎて、働く暇がないんゴねえ‥…。」
ワンクール(一年を4分割)40以上のアニメを見て、レスして、ユーチューブとかもチェックしてたら働く暇なんてないんゴ。
カーテンの隙間から日が差し込む。もう朝みたいだ。
パチンコでも行くんゴ。おいらは、自室をでて台所の朝食を食べ、親の用意した。お小遣い5千円をもってパチンコに行く。
「今日はマクロスターの新台を打つんゴ」
おいらはタバコを吸いながらモニターにくぎ付けになる。
マクロスターのナンカイーの演出きたあああ。これは連荘するかもしれないんゴ。
「こい、こいっ。」
その瞬間おいらの視界が真っ暗になり猛烈な眠気に襲われる。首に鋭い痛みが走る。
12時間後
おいらは何故か。巨大なモンスターに対峙していた。それも、ロボットに無理やり乗せられて。
「いやだおおおおお。戦いたくないお。勝てないお」
メカのコックピットで泣き叫ぶおっさん。
今年で三三歳、ニート、ちなみに童貞。
「女の子とセックスも出来ずに死にたくないお。ダミープラグとか使ってください。」
「あなたに日本の……。いえ世界の未来がかかってるの。男でしょ戦いなさい。」
気の強い女性の声で命令される‥…、が。
「なんで、オイラガあんな化け物と戦わないといけないんだお。ほかの人がやればいいお」
目の前には触手を持った、爬虫類みたいな気持ち悪い巨大怪物が一体。
これと戦わないといけない。勝てるわけない。俺は今まで喧嘩もしたことないし、ひきこもり続けて体力も小学生程度だ。
「おっさん?早くしてくれない。いい年して何言ってんのよ。」
右のモニターに金髪のロングの美少女が映し出される。耳は髪からスッとはみ出し、エルフの耳のようだ。
「むっ‥‥、無理だお。」
「あんたそれでも男なの?」
彼女はこのアーマーのパイロット。成績優秀、容姿端麗。「レイア、仕方ない彼は経験不足。私たちでやりましょう。」
左のモニターに獣人の少女が映し出される。彼女もパイロットのようだ。
「大型リザードね。近接戦闘によるアタックダガーでしとめよう。」
「了解。ったく、使えないおっさんね。」
金髪碧眼の美少女はそう吐き捨てると回線を切った。
息が苦しい。誰が助けて。目の前が真っ暗になった。
気が付くとオイラは病院のような部屋にいた。
「(さっきのは夢だったのかお?恐ろしい夢だった。)」
ベッドで天井を見上げる。見知らぬ天井。無機質な部屋にはベッドと配膳台、そして、テレビだけが置かれていた。
すると、そこに金髪碧眼の少女が入ってきた。
「まだ寝てんの?このデブ。」
彼女がここにいるということは、夢ではないというのか?全く訳が分からない。
「私はレイア。アンタの先輩だから。ちゃんと覚えておきなさいよ。」
レイア腕は包帯でグルグル巻きになっていた。
「その包帯は。どうしたの‥‥?」
「アンタ本当に覚えてないんだ。」
レイアはおいらを一瞥すると、急に怒り出した。
「私とティファニアが戦っているときにアンタが突き飛ばしてケガしたのよ。そして、リザードを撲殺したの。ったく、アンタのせいなんだから」
オイラわけが分からないまま
「ゴメン‥‥。」
「私は打撲だけど、ティファニアは肩を脱臼して、脳しんとう起こしたんだから。あとで謝りなさいよ。獣人でも体は、そこまで頑丈じゃあないんだから。」
なんか大変なことをしてしまったようだ。
「わかったお。」
「今日は休んでいいわ、明日から訓練だから。いいわね。」
「はいだお」
部屋にはテレビが置いてあった、どうせならパソコンでまとめサイト巡回がしたかったお。
おいらは、テレビを付けた。ワイドショーの時間だ。こんなの見たの何年ぶりだろう‥‥‥。
「今日またゴブリンが強姦事件を起こしました。彼らの犯罪は社会問題ですよね。」
司会者がコメンテータに話を振る。亜人が日本にやってきてから、もう5年以上たつ。最初はお互いに戦争で死者を出したが、その後、停戦協定が結ばれ、経済の交流も盛んになった。今では亜人、例えばエルフ族や、サキュバス、ドラキュラ、獣人も町で当たり前のように見かけるようになった。
エルフ族は、知能が高いため頭脳労働を、獣人は土木関係など、特性に合った仕事につき活躍している。
が、いい話ばかりではない。仕事にあぶれた亜人が犯罪を犯したり、日本人が仕事を奪われて不満が高まっていた。