壊れない友情を無いことを仮定とした私達の[証明]
それはどうしますかでは済まない出来事だった。
ただ気軽に私とその友達はスーパーに寄って、買い物をしていたのだった。
「ねぇ……ヤバくない?お店の人に言う?」友達が言った。
「だけど……」
私は迷っている。
「いや、絶対言った方が良いよ!だって、商品に悪戯して逃げるなんて!」
そうだった。私達は見てしまった!目の前にいる少女がお菓子の箱に穴を開け、逃げようとしてるのを。
「幾ら友達だからってさ、犯罪だよ?」
そう、少女の名は「璃子」私達の友達な筈だった。
────証明だ。
これはまるで証明。
言えば、私達の友情が壊れてしまう。だが、言わなければ……"共犯者"
まず、私達の名前を整理してみる。
私の名前は「由美」そして、隣にいるこの少女は「梨絵」だ。
つまり、由美=梨絵(友達)
は明らかだと言う事。
更に此処に「璃子」を追加してみると
璃子=梨絵=由美となる。
「とりあえずあっちへ行こう。」梨絵は私の手を引いて、一角の休憩コーナに行った。
「ねぇ?どうする?早くしないと、店から出てっちゃうって!」
「でも、私達ずっと仲良しだったじゃない。それも壊れちゃうんだよ!」
「私は犯罪者の友達なんて嫌だよ!それに、友達なんて新しく作れば……」
その言葉に激怒した、私は机をドンと叩いた。
───また証明は続く。
もし、璃子を除いたら、 =梨絵=由美になってしまう。この空白をXと置いてみると、
X=梨絵=由美となるが、私はXが剥がれる事は無いだろうと思っている。Xに代入すれば、Xは消える。しかし、代入なんて事は現実的に不可能なのだ。
だが、もしこのまま放っておいたら?
「ねぇ?このまま逃げたらどうなるのかな?」
梨絵は今更?的な顔をした。
「どっちみちギクシャクするよ。だって、犯罪者だもん。」
──証明は完了した。
結論は 璃子≠由美=梨絵って訳だ。
よって今、注意する。
「分かった。もう、迷わない。」
そう言ったら、抱えてた頭を上げた。
「やっと分かった?じゃあ……行こうか?」
私はこくりと頷いた。
「ちょっとお聞きしたいのですが?」
璃子の肩をトントンと叩いた。
「あら、由美に梨絵じゃない。どうしたのそんなに怖い顔してどうしたのよ。」
そこへ梨絵が指さして言った。
「あなた今、そこのお菓子売り場に悪戯しましたよね?見たんですよ。」
璃子は知らん顔して、その場から去ろうとしたが
「誰かー!店員さん!」
と、由美が店内に向かって叫んだ。
そして、私は璃子の体を逃げられない様に掴んでいた。暴れている璃子をとにかく一生懸命、掴んでいた。
「う、裏切り者!!あんた達一生許さないから!!」
鬼のような顔で璃子は叫ぶ。その目には涙が溢れていた。
しかし、笑顔で梨絵はこう言った。
「裏切り者?あなたこそ裏切ったんじゃない?じゃあね。」
それを聞いた璃子は今まで暴れていたのがうそみたいに、ストンと床に落ちた。
結局、私が一番泣いていただろうな。と後から思う。
───それから、店員さんが到着して、騒動は落ち着いた。
璃子が素直に白状したため、私達は証言するまでも無かった。
璃子は何処かに引っ越して、二度と会っていない。
梨絵は新しい友達を作って、仲良くしてる。しかし、梨絵とはもう、友達の様で友達では無い気がする。
それはまだ"X"が消えて無いのだとずっとずっと私は思い続けた。
証明は失敗かな……