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冒険者へ LV.1から始まるファンタジー  作者: 森林樹木
ランクF  An adventurer who does not hate(人嫌いな冒険者)
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16  LEVEL3-4

「エルナお前、こっちくんな!つーかあいつら誰だよ!!」


「知らないよ!・・・でもどっちもおかしいのは確かだし!!・・・もうーー訳分かんなあいよ!!」


 後ろから追ってくる2人のマントの何者かは目は見えない。だが、歯からはよだれを垂らし、それが、横に飛んでいくのが目に見える。しかも、犬歯は普通の人間より尖っていおり、尋常ではないほどの必死さが分かる。


 なぜ必死なのかは定かではないが、狙われているのは確実だった。


「お前、魔王討伐隊長だろ!?あんぐらい簡単だろ?」


「忘れた?私は、あなたと同じレベル3なのよ!!」


「しらねーよ、んなこたーー!!・・・とにかく、クルスのとこまで走れ!!」


「宿屋はとうに過ぎたのよ!!今更言っているの?」


 マントの者達はウォン達のように腕を振っておらず、両手をだらりと垂らした状態で、足だけで勢いをつけ走っている。

 フードを被っているせいで、相手の顔までは分からない。・・・というか、後ろばかりを気にして走っていては追いつかれてしまう。


「目当てはどーせ、王女であるあんただろ?そっちの方へ別れるぞ!」


「・・・・・・う、うん・・・」


 エルナは、何か言いたげな様子だったが、小さな声でウォンに返事した。

 そして、次の曲がり角で、ウォンは路地裏に曲がった。横目にエルナを見ると、予想通りエルナの方に走って行った。


「フーーー・・・何とか囮になってくれたか・・・」


 ウォンは深く深呼吸をすると壁に背中をくっつけ、そのまま地面に座った。


『当たり前だが・・・その代り、・・・、護衛はやってやる』


 宿屋で言った言葉が頭を霞む。

 なんだよ・・・自分で言ってんじゃんか。

 ウォンは顔に手をやると、降ろした。そして、立ち上ると路地裏から出た。が・・・

路地裏から出ろと、役所側の方向にエルナが未だ手を押さえ、立ちすくんでいた。しかし、その顔はかなり青ざめていた。


 その正体に気になったウォンもエルナが見たその方向を見た。そこには・・・・・・



 数十分前~


「お前は、金を使う必要なくね?」


「なんで?」


 ウォンは武器屋で、胸当てや短剣を持っては試しに振って見たり胸に当ててみたりしてみる。

 だが、なかなか気に入る物が見つからず、何度も同じ事を繰り返す。


「だってさー・・・エルナお前、めっちゃ高そうな装備してるよな。それで何を付け足すんだ?」


「あるでしょ?別に戦闘に必要なのは、武器とは限らないし」


 言われてみればそうだ。戦闘には回復、戦闘を有利にさせるための道具が必要とされる。

だが、その一つ一つを複数数種類買おうとしても、金にはすぐに尽きてしまう。そうそう、そっちの方に金を使おうとするやつはいない。

 俺も一時、それは嘘だろうと思い、宿泊代をはたいて使ったが、結果、俺が野宿したうえ、回復アイテムも戦闘であっさり使い切ってしまった。


「経験が浅いおr・・・」


 いや、いくら今現在のレベルが低かろうとも、戦闘経験が高いこいつなら使いこなせれるのか?

 意見を言うのを躊躇うと、考え事をまた始めてしまった。以前は、ここまで考える事があったか?

 ウォンは新しくもう一本のダガーを1500ギルで購入した。今現在使っているタガーの430ギルの物よりかはかなり良い代物だ。


「私は別に買う防具も武器もないから、回復アイテムでも買おうかな?」


「勝手にしとけ」


 婉曲に曲がったショーテルを鞘に納め、ポケットに手を突っ込みクルスからくすねた金を探す。もともと貧乏なウォンからすれば、それは嫌がらせにしかみえないんだが。


「いいの?君の分も買うんだよ?」


「あーーー・・・・・・やっぱ要らんわ。自分のために使っとけ」


 他から見ればたわいもない会話に見えるが、その会話の意味を知ってしまったら、誰でもウォンが悪いであろうと答えるだろうか?

 どちらsにしろ、二人の会話を目の前で聞かされている店主からして見れば、さっさとどこかに行ってしまって欲しいものだ。


「なーーそこの若い二人のーーーー夫婦?」


 夫婦じゃない。そもそもそういう風に見えるなら、こいつが悪い。できる事なら消えてもらいたいものだが、・・・あ、そうか自分から消えればよかったんだ。

 ウォンは、こっそりエルナから離れると、後ろに後退した。

 すると、後ろにいる二人の人にぶつかった。その衝撃で、地面に尻餅をつく。


 それのせいで、エルナに気付かれた。そして、ぶつかった奴も腰を降ろそうとする。


「大丈夫!?・・・まったく隙もありゃしないんだから・・・」


 手を差し伸べようとするエルナの手を、無情にもウォンはそれを右手で弾き返す。その瞬間、エルナの手はマントの男の口にある歯に当たった。普通は人の歯に当たってもなんともないが、そいつはたまたま口を開いており、それが鋭い犬歯に少しばかり刺さった。


「イタッ・・・・・・」


 エルナの手から血が流れ、場所が悪かったのか、それは止まることなくトクトクと流れ続ける。

 しかし、一難去ってまた一難。エルナにとってそれが一難だとすると、もう一つ難があるという事だ。まぁ、言いたい事は、難という物はすぐにやって来た。それだけだ。

 傍にいたそいつは突然、立ち上ると、エルナの肩を掴んだ。


「え・・・・・・?」


 そして、そいつはエルナの首から肩にかけての筋肉に勢いよく噛みつこうとした。

 何とか、そいつを払いのけ、エルナは立ち上るとウォンを連れ走り出した。



 そして、現在にいたる。


 ウォンが見た物、それは人を喰う怪物。それはゾンビでも吸血鬼でもない。


「こいつは・・・何なんだ?」


 マントを被ったそいつは倒れている子供のハラワタを食いちぎり、膝をついてまるで獅子が小動物を食べるがごとく、辺りを食い散らかしていく。

 子供の口からは血が垂れ、そいつのマントも血でビタビタだ。


 化け物を挟んだ向かいには、エルナが口を押え壁に寄りかかっている。

 ウォンはエルナの傍に行くと、エルナは歯をカタカタ鳴らせながら、答えた。


「あ・・・あれは、死者を食べる・・・魔物・・・『グール』」


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