14 LEVEL3-2
「で?どうするの?」
エルナはウォンに答えを要求した。
しかしウォンは、エルナの言葉を聞いておらず、あの世界の事を思い出していた。
『それじゃぁー!行ってきてくれ!それから運命には逆らえない事を分かってくれ、それと娘を頼むよ!』
誰だったのか・・・。
男は実体がないと言っていた。それに、娘の救出と安全の保障。
「運命・・・か・・・」
「何か言った?」
エルナはウォンの顔を覗き、目を見る。突然、顔が現れ、物にふけていたウォンは驚いた。
いきなり大声を出すもんだから、エルナも驚き、二人の頭部がぶつかった。
「イッターー!!!」
「イッテーー!!」
二人はデコを押さえ、摩ると両手を足に乗せる。
そして、ウォンは決意したとクルスとエルナに目を配った。
「できるのは一つだけだ。だが、それも条件がある」
「それは何?」
エルナは首を傾げ、その一つを問う。
「当たり前だが、婿の件は無しだ。その代り、適任はいるはずなんだが、護衛はやってやる」
ウォンはクルスの顔を見ながら話す。途中、ウォンの言葉に頷くが、最後まで聞くとガックシとうな垂れた。
「その条件っていうのは・・・、あるダンジョンについて来て欲しい。そこにいるある女を助けなくちゃいけない」
「それは、誰が言ったの?」
「さぁー?分からない」
分からない。分からないが、その誰かに助けられた以上、借りた恩は返さなければならない。
出来るだけ早く行かなければならないが、この貧相な装備ではダンジョンでスタート地点であの世に逝ってしまう。
「そういえば、あの石は・・・?」
ウォンは辺りやポケット、体を探すが見当たらない。
すると、クルスが部屋から出ていき、しばらくして戻って来た。クルスの手にはあの石があった。
ウォンはクルスから石を受け取ると、ポケットにしまった。
「大事な物ならずっとそこにしまっておけ。石に助けられた冒険者さんよ」
石に助けられた?エルナが命じたんじゃないのか?
「言いにくいんだけど・・・その・・・あなたの切られた頭と胴体をくっ付けてその石を近づけたの。あの時、実は少しだけ意識があったの。あなたも見ていたから分かるでしょうけど、私の上に何か落ちてきた時に、腕が再生したの。それと真似てみたら・・・」
それがあまりにもグロデスクだったのはエルナが口を手で押さえる行動で分かった。
そのことに関しては分かった。だが、もう一つ疑問がある。
あの時、あの男が生き返らすと言っていたが、違うのか?
・・・あ、そうか。あちらの世界では魂を蘇生させるまでしかできず、体の再生は別の問題なのか。・・・あれ?だとしたら、あの男、俺の体が再生できてなかったらどうするつもりだったんだ?そこも想定済みとか言うんじゃないだろうな?
ウォンは立ち上ると、ポケットに入っている2000ギルと少しの金を出した。
「どこに行くの?」
エルナは部屋から出て行こうとするウォンの腕を掴んで、止めた。
「この貧相な装備で行ける訳がないだろ?それとも、俺一人で行けって言うのか?」
ウォンは腕を握るエルナの手をはがすと、部屋を出て、宿屋から出て行った。
宿屋から出ると、辺りの街並みを見渡す。知っている宿屋で良かった。ここからなら近くの安い武器屋まで行ける。
「さて、これで良い装備品でも一式買えるか?」
金の入っているポケットを数回叩くと、宿屋からエルナの声が聞こえた。
後ろを振り返ると、急いできたのか息を切らせているエルナの姿があった。
「ちょっと待って!・・・あなたの金で買わせるのも、あれだからクルスからお金くすねちゃった」
「くすねちゃったって・・・あのクルスに俺が叱られないか?・・・金は要らんわ。強姦に合わないうちにクルスの所に戻ったらどうだ?」
「ダメだよ!もうあなたは私の護衛なんだから!それに私の職業、決めなくちゃ!・・・ね?」
めんどくせーーー・・・。やりたきゃ自分でやっとけよ。だが、体の再生の恩もある。断る事はできんな。
「ハァーーー・・・分かった!ついて行ってやるよ」
ウォンはエルナに一言返事すると、「行くぞ」とだけ言って歩き出す。
それを見て、エルナは嬉しそうにウォンの後をついて行った。
「最初に、どこに行くの?」
エルナはウォンの横に並び、顔を覗く。
だが、ウォンは少しばかり恥ずかしいのか、エルナが近づくたび一定の距離を離れる。
「お前の要件から終わらせる。そういや、この前半日で終わらせろって言ったろ。あれは・・・って知ってるか」
ウォンは歩きながら、話すが、自分より歴が長い人物にこう言った事を話すのは河童に水練だ。なんだか恥ずかしくなったウォンは顔を赤くし、さらに歩を進める。
役所まではすぐに近くまでなのは明確だった。役所に入ると、この前の受付の所まで行く。
「おぉーー。この前の嬢ちゃんか。あの時は大変だったな。それじゃぁ目当てはこれか?」
男は相変わらず表紙の名前の分からない本を閉じると、窓口の奥からカードを取り出した。
「村人になるんだろ?もったいないなぁー。もっと良い職業があったのに・・・」
男は顎を指で摩りながら、カードを提示するが、エルナは笑いながらそれを返した。
男はどうしたのか?と、首を傾げた。
「冒険者になります」
は?こいつ何を言ってんだ?一国の王女が冒険者になるだと?・・・いや、こいつは以前魔王討伐隊長をしていたんだ。だが、今のこいつは弱い。こいつが、以前どれだけ強かったか知らないが、それは昔の話だ。
ウォンは、嬉しそうにカードに職業を記載していくエルナを見る。まち針で、隣のカードに血を垂らし職業を記載させていく。
「ハァーーー・・・。ったく、お前はそれで悔いはないんだな?エルナ」
「うん」
「そうか、・・・分かった」




