12 DEAD WORLD
ここは・・・どこだ?
あ、そっか・・・俺は死んだのか・・・
周りは暗く、目を閉じようが開けようがくらいままだ。少なくとも俺は寝ていないんだな。
さて、あの時、俺は何をしていたっけ?思い出せねーな。
気が付くと、ウォンは暗い部屋にいた。
辺りに必死に壁を探すが見つからず、結果先ほど、どこに居たのかさえ分からなくなってしまった。
ここがあの世か?噂通り何にもねーんだな。・・・いや、二つあったわ。
闇と自分の意識に二つだけ。今の俺には、それで十分だった。
歩いている感覚はない。ただ、移動している感覚があるだけ。位置も分からないから床を這いずり回っているのか、低空飛行しているのか、上空を浮遊しているのか、それすらわからない。
まるで暗い何も見えない宇宙の一つの小さい何もない星に取り残された気分だ。
壁もないから出口もない。出口もないから、入り口も外に出ることもできない。その上、光もないから自分の今の姿を見る事さえできない。自分を見る事が出来ない事はつまり・・・自分の体の有無の確認さえできない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
声が出ない。口が存在しないのか?そういえば、歩く感覚もないから足も存在しないのか・・・。
俺は、幽霊にでもなったのか・・・それともこれから転生でもされるのか・・・?
意識を集中させる。
俺以外、誰もいない。
闇と言う色以外何もない。
・・・まぁ、いいか。どうせ死んだんだし。もともと俺は死ぬ運命だったんだ、別に今更もう生きる死ぬなんて関係ないのかもしれない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ウォンは上を見上げた。すると、一つの小さい光の点が見えた。そして消えた。
光だ・・・。闇以外のもう一つの色・・・だ。
この何もない世界にもしかしたら生き返るかもしれないという、希望が見えた。
俺は生き返っても良いのか?俺は人として・・・言ってはいけない事を言った。それが心から思ってしまったことなのに・・・。
『だっておかしいだろ!?俺らもうすぐ死ぬはずっだのに、逆にあの詐欺師女が死んだんだぜ?これを笑わずにしてどうする!』
死ぬべきなのは・・・俺だ・・・。
『正直言うけど。お前ら・・・狂ってるよ』
狂っているのも・・・俺だけだ・・・。
『お前みたいなのがいるから、俺らの評判が落ちるんだ!まともに魔法も使えない癖に、なんだ!その生意気な目と口調は!俺ら二人がいればお前いらねーんじゃね?』
そうか・・・俺はいらないんだ・・・この世界に必要のない存在・・・。
あのさっきの光は未だ点滅している。
見放された。当たり前の報いだ。ただ、神という存在が本当にいるのなら、一つだけ・・・一つだけでいい、俺の願いを聞いて欲しい。
俺はトロールを倒したことでどのくらい強くなったんだ?いくら他の奴よりステータスが低くたっていい。レベルが上がる事でステータスが大きく変わると聞いた。その俺のステータスがどのくらい変わるのか知りたい・・・知りたかった!!!
「その願い、叶えてやろうか!?」
頭の中に男の声が響いてきた。この闇の中で誰かを探すことなんてできない。ウォンはその幻聴に耳を傾ける。
誰だ・・・どこにいる!?・・・叶えるって何をだ!?
「ステータスだよ・・・思った通り、君のステータスはレベルが上がっても君は普通より弱いままだ・・・」
分かってる!そんなことくらい・・・内容を教えろ!、それで用はもうない。俺の魂を転生させようが、消滅させようが、地獄にでも天国にでも送りやがれ。
「ふむ・・・最初のはもうやっちゃったからな・・・よし、選択外で行こう」
おい、もうそこの話をすんな。はやく俺のステータスの内容を教えろ。
「待て待て・・・だから、そこの話をしなくちゃ教えるもんも教えれないだろ。・・・といっても、私が教える訳じゃないんだがな?」
どういうことだよ?
ウォンはその言葉の意味に理解が追い付かない。考えるための脳みそもないのに、理解しようなんて笑ってしまう。
「要は・・・自分の目で見てろって言ってるんだ」
・・・は?
「ウォン・シャルディック。君を生き返らせよう」
・・・・・・は?おいおいおい、俺は別に生き返りたいとは言ってない。それに、首が消えるあの激痛はもう二度と味わいたくない。ので、生き返さないでください。
「あれ?普通の人間なら即答で了解するのに・・・まぁいいや」
良くない良くない。
「生き返らす条件だが・・・」
だから、生き返さなくても良いって、言ってるでしょうが!!!
「王都から西端に位置する森にあるダンジョンに来て欲しい!そこに苦しんでいる者がいるんだ」
嫌です。自分で行ってくれ。俺は言ったはずだ、ステータスの内容を教えてくれってさー。それさえ分かれば、俺はそれでいい。そもそも、自分で行ってくれ、そんな事くらい自分で出来るだろ。
「いいの?君のステータスを知っているのは、この暗~い世界で私だけなんだけどなー」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ウォンは言葉を詰まらせた。確かにこの神と思われる男の声の主に逆らうと、ステータスの件はなくなってしまう。
分かった分かった。それじゃあ俺は生き返って、そのダンジョンにいる誰だって?
「私の娘だ」
ふーん。・・・じゃー尚更あんたが助けなくちゃいけないんじゃなくいのか?
「それは無理だ。今の私には君と同じく実態がない。だが、君を生き返らせれる位の魔力は残っている」
・・・・・・あれ?西端のダンジョンってうちの街の近くじゃん。まさかそれって・・・そういう事か。
「それじゃぁー!行ってきてくれ!それから運命には逆らえない事を分かってくれ、それと娘を頼むよ!」
上で点滅していた光は突然大きくなり、次の瞬間、光は彼を包んだ。
ウォンの頭には男の声がまだ残っていた。




