5.戦闘終了
はぁ、はぁと肩を大きく上下させながら地面に突き刺した剣を杖がわりに息を吐く。
目の前に横たわるドラゴンは既に絶命している。
つまるところドラゴンを一匹、駆逐したのだ。
頬は緩んでいて、今にでも両手をあげてはしゃぎ回りたいところだが、そうもいかない。
「馬鹿野郎ッ!」
耳をつんざく罵声と共に、にやけていた顔が苦痛に歪む。背後にいる誰かに頭を殴られたらしい。
「いったぁ......」
剣の柄から手を離すと、じんじんと痛む頭をさする。
あまりの痛さに腫れているんじゃないかとも思ったが、そんなことはなかった。
「痛いっていうのは生きてる証拠だ馬鹿」
振り向いてみればそこに居たのはオルターで、吸っている煙草が目に染みるのか、眉間にはミミズのようなシワがよっている。
「いきなり何する――げほっ」
吐かれる細く白い煙が顔を包み、思わず咳き込んでしまう。嫌な匂いだ。どうしてこんなものが好んで欲しがるのか理解出来ない。
「何するじゃねぇぞ。テメェの独断専行の尻拭いを俺にさせんじゃねぇよ」
ったく。と悪態をつきながら、今や貴重なものであるはずの煙草を半分も吸わないで捨ててしまう。好きにはなれないが、勿体ない。
「ほら行くぞ嬢ちゃん。仮にもリーダーなんだからそれらしいところは見せてくれよな」
そう言ったオルターは二本目の煙草に火をつける。なぜ、一本目を捨てたのだろうか。理解出来ない。
歩きだすオルターの向こうではリンが背丈以上の銃を握りしめていて、首元のマフラーが揺れている。
半分はマフラーで隠れているが、ぶすっとした表情だ。
「い、今行くよっ!」
そうだ。早くドラゴンから素材を剥ぎ取らないと。他の個体が寄ってきてしまう前に。
駆け出した茜色の瓦礫の山には、どこか鉄臭い匂いが混じっていた。
いきなり有言実行できなくてもうしわけないのですっ!
久々な投稿で悪いのですが、続きが思いつくまで休載しようと思います。
帰ってきます。――返り咲きます。帰ってきますとも!