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コンビニ書紀  作者: 田中芭蕉
1/2

4社目

連想ゲームのような行き当たりばったりの連載になる予定なので,完結するかはわかりません.感想もらえたら励みになります.

 

 平成の世は就職希望者,そして学を志す者,それら日本国民にとって息苦しい時代であった.

 アルバイト――という言葉がある.これは勤務形態のひとつである.正社員とは違い,待遇が圧倒的に劣っている.

 給料,保険,その他,社会を生き抜くために必要不可欠な,おおよそ人生保険といえるようなものがない.


 坂本少年は大学を中退し,バイトをしている.埼玉の地が彼を育み,彼を作り上げたのだが,大きな欠点が彼にはあった.これは家族から,呆れられるほどによく知られている.

 鈍い,である.

 筋肉であろうか,脳であろうか,その両方になる.両方において動きがおそく,機転がきかず,呑み込みに時間が掛かった.

 実験レポートに某大な時間がかかり,ついに研究は向いていないのだと,思いこんで大学を去った.そんな過去を持つのだが,無職のまま親の財産をしゃぶりつくすような真似だけはできなかった.

(働かなくては)

 と,思い立つとすぐにバイト探しに奔走してまわった.なるほど,人並みの正常な思考を彼は持っている.ニートと呼ばれる選択肢は,坂本少年のなかに存在しえなかった.

 しかしだ.

 3社になる.それらの面接に落ちた.当然,大学を中退した男を欲しがる会社はない,ということであろう.

 ひとつはスーパーマーケットのレジ打ちを落ちた.当時,面接官を務めた山口修二はこう語っている.

「頭が悪いわけではなさそうだ.時間をかければ大抵のことはできる,そう見えた」

 しかし,と山口氏はいう

 レジ打ちがそれではいけないのだ,と.

 坂本少年は適性がなかった.レジ打ちに時間がかかっては売り上げに影響する.

 残りの二つは肉体労働の仕事であった.

 2社の面接官のうち,ひとりは

「彼の筋肉は飾りにしても,必要がない」

 といい.もうひとりは

「重労働ごっこがしたいなら他でやってくれ」

 と,厳しく突き放した.

(俺の体はなんのために有るんだ)

 坂本少年は憤りを覚えた.しかし,事実であるため,反論もかなわなかった.

 4社目にしてようやく決まった.コンビニのバイトである.

 店長は女性であった.しじゅうをゆうに超え,顔のしわは

(回折格子みたいだ)

 と,坂本少年は思うのである.無論,言葉には出さない.

 店長の名を花子と仮名する.

 花子氏には子供がいたのだが,そのこどもが丁度坂本少年と同じくらいの年齢であった.

 半ば同情といえる.

  



あらかたの初期設定はおわかりいただけたと思うので,次回からは日記風になるかもしれませんね.全部きまぐれです……はい.作風も実験的にころころ変えるかもわかりません.

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