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日陰の恋花  作者: 篠宮 梢
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☆+4 男の正体

 半ば来留逵さんに無理やり引きずられる形で、会社の最上階に連行された私は、そこで初めてもう一人の男性の存在に気付いた。


 誰だろうと思いながら、その人の顔を見上げた私はそこで、思わぬ人の顔を見て急に脂汗が吹き出してきた。


(ど、どうして、この人がここにいるの!!)


 見上げて見てびっくり。何とそこにいるのは昨日お世話になったヒトではありませんか。しかもなんだかとても偉そうな雰囲気を醸し出しているのは、私の気のせいだろうか。


 いや、気のせいなんかじゃない。

 間違いなくこの人は偉い人だ。


「おや?篠田さん、社長の顔に何かついてますか?」


 はい?今何と仰いましたか?私の勘違い、聞き違いでなければ、社長と聞こえましたよ?普段滅多に会社に不在なはずの、あの社長デスか?


 来留逵さんは私の表情を見なくとも、私がどんなに驚愕をしているのかが手に取る様に判ったのか、楽しげな声を立て、笑った。でも、私は暢気に笑う事は出来なかった。だって。


「あの、その、昨日はお世話になりました。えぇっと、それで・・・」


 冷汗はダラダラ、向けられる視線は鋭い刃の様で、何を怒っているのか判らない。何か私は怒らせるような事をしただろうか。それとも胃でも痛むのだろうか。


「最初に言っとくが、俺は胃も痛くもなければ、怒ってもない。ただ呆れているだけだ。」


 なんで私が考えてる事が判ったの?もしかして社長は超能力者だったの?と、私がまた思案していると、また睨まれた。


 もう、なんなのさ。


 私のその念が届いたのだろう。

 来留逵さんに社長だと紹介された人は盛大な溜息をお吐きになり、私に真実を教えて下さいました。


 その真実を聞いた瞬間、私は顔から火が出るのでは無いかと、初めて思った。


 社長曰く。


「お前は思ってる事が顔にも出てるが、言葉でも出てるぞ」


 と。



 御鹿倉みかぐら 弌葉ひとは、この時38歳。


 お互いこの時は、互いに恋愛感情すら抱いていなかった。

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