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日陰の恋花  作者: 篠宮 梢
4/40

☆+3 人事異動は嵐の予感。

更新しました。

 頭が痛い。


 どうしてこんなにも私にはこんなにも面倒臭い試練が、次々と襲い掛かって来るのだろうか。


「厄年なの?厄年なのね!?そうよ、私は厄年なのね!?」


 その書類は朝イチで掲示板に寂しく堂々と一枚張られていた。

 それをその他大勢の社員に見られる事が無かったのが唯一の救いだった。

 

 掲示板からその忌まわしい紙を剥ぎ取り、グシャグシャに丸め、近くにあったゴミ箱に投げ入れた。


「感心しませんね、辞令書を勝手に処分するとは」


 それを涼しい表情かおで言いのけ、躊躇いなくゴミ箱から拾ったのは、我が社のナンバー2とも噂されている人事部の部長補佐・来留逵くるるぎ かなめさん、29歳だった。


 来留逵さんはその名字から見て取って判る様に沖縄の出身で、顔立ちも日本人より甘く、またそのせいか、女性からも大変人気がおありになる。


 かく言う私も、実は隠れファンだったりする。


「み、見逃してくれると言う案は・・・。」


「ありません。それにしても残念ですね。毎年美味しい手作りトリュフを下さる方が、こんな事をするなんて・・・」


 実に残念です。と、言われた私は、あまりの恥ずかしさと、動揺で、顔が一瞬にして真っ赤になってしまった。


 名前もメッセージカードもつけてないのに、どうして私だと解って、いや、バレてしまったのだろうか。


 まさか、あの時の物音は・・・。

 そう言えばあの時も・・・。


 グルグルと回る思考に囚われていた私は、来留逵さんの浮かべた勝利の笑みに気付かなかった。


「彼女は単純で良いですねぇ~。社長」


「・・・、コイツがウチの頭脳か・・・。」


「それは確かですよ。会長もそれをご存知です。」


 眼鏡を綺麗にプレスされたハンカチで拭きつつ、来留逵さんはにっこりと黒い笑みを浮かべ、私がグシャグシャに丸めたそれを、ご丁寧にも皺を伸ばしてまで再び掲示板に張り付け、満足げに頷いたのだった。


 

 篠田 柚妃、もうすぐでアラサ-になる私は、今日(2008年5月6日付で)この日を持って、秘書課・秘書室長付きに移動となりました。

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