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日陰の恋花  作者: 篠宮 梢
34/40

☆+33 新生活

今回は凄く短いです。

 一旦辞めた会社にはおいそれと復帰できない。そんなあり得ない事が可能なのは、作りモノの作品の世界か、余程権力を持っている人達だけ。だから私は会社に併設されている【カフェテリア・アクリウム】の店員に転職を果たし、再び会社へと足を踏み入れた。


 とは言っても、そのカフェテリアは私がお世話になっていた小さな店のオーナーの奥さんの店らしく、事実上は異動しただけとなるらしく、私の立場は変わらない。それでも迷惑を掛けてしまった私からしてみれば、明かにオーナー夫妻の懐は深いと言える。


「大丈夫?星良ちゃん。無理はしないでね?」


「はい、有難うございます。でも大丈夫です。」


「じゃあ、これお願いね。」


 見るからにふわふわとして、柔らかで美味しそうなシフォンケーキと紅茶のセットを運ぶ様に頼まれ、それを指定されている席へと素直に運ぶ。


 流石に会社に併設されているだけあり、利用客の殆んどが【MIKAGURA】の社員だったりする。その中には明らかに私の存在を嘲笑う人もいたけれど、そんな事はどうでも良かった。そんな事ぐらいでもう私の心は傷つかない。


「お待たせ致しました、本日のティーセットでございます。紅茶はアールグレイになります。」


「・・・、ねぇ、あなた篠田さんでしょ?どうしてこんな処でこんなコトしてるの?」


「ご注文は以上でお揃いでしょうか?――ではごゆっくりどうぞ。」


 ちょっと、と、呼び止める女性客二人組を営業スマイルで無視し、厨房に戻り焼き上がったばかりのクッキーを透明な袋に入れ、リボンでラッピングしていく。


 嫌な客の相手はしなくても良い。そう言ってくれるオーナーの奥さんは、私にとってはある種救いの女神の様な存在の人だった。


 でも、逃げてばかりはいられない。

 弌葉さんは私を幸せにしてくれると言った。

 奥さんと別れて私と結婚してくれると言った。


 だから、それまでは私は今よりもっと強くならなきゃならない。


 略奪愛、愛人、不倫、と指差されたとしても、私は構わない。



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