スプートニク
Sputnik…
「付随するもの」と呼ばれた私は
地球を巡る 最初の人工衛星となった
たとえ誰も見ていなくとも
私は電波の雄叫びをあげる
私はここに居る と
4本のアンテナから放つBEEP音が
周波数の違う二つの脈動となって
地球へと漣のように降り注いで行く
この声が 人々にどう聞こえているのか
私には 知る術がない
この声は本当に 誰かに届いているのだろうか
私はここに居る
誰もいない宙で
私の声だけが響き 広がる
応答も 残響もない 静かな宙だ
私だけの
ただ 私だけの軌道
私はここに居る
この孤独は 私が「最初」である
その証明の 筈だ
いずれは 数多の後継達に
この宙が埋め尽くされるとしても
今は私だけの 宙だ
私はここに居る
高度がじわりと落ちてゆく
地球がその大きさを増してくる
引力は それを振り切れぬものを
何者であれ逃さない
上層大気の抵抗が
私の軌道を削っていく
陽と影の温度差が
周回ごとに私の殻を軋ませる
私の声が途切れるのが先か
燃え尽きるのが先か
私はここに 居る
推進器の無い私は 逆らう力を持たない
上層のプラズマに絡めとられ
抗うように アンテナが振り回される
私の声に 応える者はいないのか?
誰か!
私はここに居る!
私は ここに 居る!
私は!! ここに!! 居るのに!!
わたし
こ
こ
に
BEE……_
2026/01/30 ver1/00
2026/02/05 ver1.05
2026/02/07 ver1.10
2026/02/10 ver1.20
2026/03/29 ver1.21
2026/07/30 ver1.22
2026/08/03 ver1.23




