【第9章:闇に溶ける銀の影】
第8章をお読みいただきありがとうございます。
シオンと共に逃げ出した、りく。
しかし、そこにはすでに追っ手の影が迫っていました。
「追いかけっこ」を楽しむ吸血鬼たち。
必死に森を駆けるりくの前に立ち塞がったのは……。
「……シオン、逃げられると思っているのかい?」
静寂に包まれた教会の跡地に、心臓を凍らせるような声が響いた。降り立ったのは、次男格のルカと、冷徹なカイだった。
「シオン、君の越権行為は目に余る。りくは『共有財産』だと言ったはずだ。独り占めは規約違反だよ」
カイは眼鏡の縁を指で押し上げ、冷たく言い放つ。
「……やだ、来ないで……!」
りくはシオンの背中の服をぎゅっと握りしめるが、シオンの体は怒りと飢えで、みしみしと音を立てて強張っていた。
「……黙れ。この娘は、もう誰にも触れさせない」
シオンが地を蹴り、二人に飛びかかったその瞬間。
「あはは!追いかけっこだ!僕も混ぜてよ!」
ハルの狂気に満ちた声と、ノアの不気味なピアノの旋律が響く。
「っ、りく、走れ! 森の奥へ行け!」
シオンの叫びに、りくは夜の森へと走り出した。背後からは刃物がぶつかり合う音と、男たちの笑い声が聞こえてくる。
しかし、必死に走るりくの前に、ゆらりと大きな影が立ち塞がった。
「……どこへ行くんだ、りく」
そこにいたのは、長男格のエダン。彼は一歩も動かずに彼女を待ち構えていた。
第9章をお読みいただきありがとうございました。
シオンの必死の抵抗も虚しく、現れたのは絶対的な長男エダン。
「どこへ行くんだ」という一言の絶望感、いかがでしたでしょうか。
次回、第10章。
逃げ場を失ったりくを待ち受けていたのは、さらなる精神の檻。
テオとレンによる「幻惑の迷宮」が始まります。
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