【第4章:甘い熱の侵食】
第3章をお読みいただきありがとうございます。
ハルに牙を立てられ、ついに発現したりくの「特別な体質」。
理性を溶かす熱に浮かされる彼女の前に、冷酷な科学者・カイが立ちはだかります。
ハルの牙が突き刺さったまま、りくの視界はぐにゃりと歪んだ。
吸われた場所から火がついたように熱くなり、それがドクドクと全身へ広がっていく感覚。
「あ、つ……っ、体が、熱い……っ」
彼女の「特別な血」は、吸血されることで成分が変質し、りく自身の心身をも激しく昂ぶらせてしまう副作用があった。
「おや……予想以上に反応が早いな」
歩み寄ったカイが、ハルを強引に引き剥がすと、ぐったりとしたりくの額に冷たい手を当てた。
「心拍数が跳ね上がり、体温も40度近い。りく、君の血は吸血されることで『発情』に似た熱を産むようだね」
「はぁ、はぁ……たすけて、カイさん……なにか、変なの……」
りくが袖を掴むと、彼は眼鏡の奥で残酷に目を細めた。
「助ける? いや、これは経過観察が必要だ。この熱がどこまで君の理性を壊すのか……。ここからは『治療』の時間だ」
不満げなハルを無視し、カイはりくを横抱きにすると、自分の研究室へと運び出した。朦朧とする意識の中で、りくは感じていた。自分を運ぶカイの腕が、驚くほど強引で、その胸の鼓動もまた激しく打ち鳴らされていることに――。
第4章をお読みいただきありがとうございました。
ハルの純粋な暴力とは違う、カイの「逃げられない管理」。
「助けて」と縋った相手が、最も残酷な捕食者だったという絶望をお楽しみいただけたでしょうか。
次回、第5章。
カイの研究室で、りくの体はさらに「熱」に侵食されていきます。
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