枯れた花の後始末
ひたすら説得する話です。
可愛い女の子が異世界に召喚されてその世界を救うお話・・・よくある。
その世界で王子様に見初められて元々生きていた世界か異世界か迷うお話・・・これもよくある。
結局その異世界にとどまって王子様と結婚してハッピーエンド・・・よくあるお話。
「じゃぁ残された側は、どうなるの?」
その子は私の家族だ。
高校生で、お金のかかる子だった。
裕福でもなければ貧乏でもない我が家だけど、奨学金が必要だった。
奨学金といえば聞こえはいいけれど、所詮は借金。それを誰が返すと思っているの?
それだけじゃない、親にどうやって恩返しするの?今まで育ててくれた親を捨てるの?
「それって随分都合がいいよね。」
心配していたよ?泣いていたよ?ねぇお前は帰るべきだ。
関係ない、ましてや世界すら違う人に救いを求める無責任な国なんて最初から救うべきではなかった。
・・・・知っているよ、従わなければ生きていけなかったんだよね?
でももう何もかも無事終わったのだから、ここにいる必要はないよね。
王子と結婚する?馬鹿なことを言わないでよ。
愛が永遠であるとは限らないよ、もし離婚でもしようものならどうなる?
なんの後ろ盾もないまま浮浪することになる。この世界にお前を無条件で守ってくれるような人間はいないんだよ。
「でも、お前の生みの親で育ての親なら別だ。」
無条件で守ってくれる。
あちらの世界には戸籍だってあるし保証制度だってきちんとしていただろう?
―――――――――妹を元の世界に帰るよう説得すること。
それが、私が召喚された理由。