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真夏の金魚。
「くっだらな・・・。」
そう小さく、吐き捨てた。
青い空が憎たらしい、そんな真夏日に。
「愛しているなんて、そんなものが一生続くなんて限らないでしょう?
物語の結末が何故人生の結末ではないと思う?
一生愛されるなんて保証はどこにもない。一時の情に流されてそれで終わり。
一生愛せるのは自分だけだよ。人間が個である限り他人を永遠に愛せるわけがないじゃない。」
朗々と、詩でも読み上げるかのように言葉を紡いだ。
馬鹿みたいに信頼しきって愛して痛い目を見るのは自分なの。悲しむのは自分なの。傷つくのも自分なの。
だから・・・
「私は、貴方を愛せないよ。」
悲しそうな彼を見上げた。
信じられない、信じてあげられない。
一時とはいえ、私にその想いは重すぎるの。
止めて、やめて。
私に何も求めないで。